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【コンサル業界研究】監査法人って何してるの?②監査法人のコンサル部隊編

どうも、外資系うさぎのちょこさんです。

前回は監査法人って何やってんの?ってことで、監査法人のメインのお仕事である会計監査のお話をしたり、Big4監査法人の組織図を眺めていたりしました。

割と早めに続きのお話をリリースできるとたかをくくっていたのですが、思いのほかお仕事満載でちょこさんのここ2週間くらいがキングクリムゾンされてたようで予定より時間がかかってしまいました。

気づかぬうちにお仕事を増やしてくる新手のスタンド使いがちょこさんの近くに潜んでいるようです。

我こそはというスタンド使いの各位、リファラル採用でちょこさんチームへのご応募をお待ちしております。


さて、改めまして今回は監査法人って何してるの?②ということで、主に監査法人のコンサル部隊について解説していきたいと思います。


前編はこちらからどうぞ


その前に毎度おなじみいつものコピペです。
この記事も有料設定していますが、全文無料で読むことができます。もしいいねと思っていただけた場合は、ちょこさんの大好物のおいしいチョコレートを一粒調達するための費用としてカンパいただけると大変うれしいです。

では本編どうぞ。



◆監査法人って会計監査以外になにしてるの?

早速ですけど、2020年のBig4監査法人の業務収入を見てみましょう。

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業務収入はいわゆる売上なのですが、ここで着目すべきポイントは売上に占める非監査証明業務の割合です。

売上トータルで大きく差をつけられているPwCあらたは監査法人のエンティティでも監査証明業務より非監査証明業務の売上の方が多いんですよね。
しかも、あずさ、EY新日本の非監査証明業務の売上を上回っています。

残りの3法人はトータル、非監査証明業務の割合ともに割と似通っていますね。
しいて言えば、トーマツが非監査証明業務多めかなってくらいです。


ここで実は新しい用語が出てきているのですが、この非監査証明業務というのが監査法人がやっている会計監査以外の業務になります。

ものすごく雑に言うと、監査法事がやっているいわゆるコンサル業務のことです。

これは所属部署によって提供する業務が変わるものではなく、会計士の人が非監査証明業務に従事することも、会計士でない人が監査証明業務に従事することもあります。

今回の記事のテーマは、監査法人のコンサル部隊って何してるの?って感じのやつですが、この監査証明業務と非監査証明業務がキーとなります。

結論から言うと、監査法人のコンサル部隊はこのどちらにも従事します。
ちょこさんもそうでした。


というわけで、まずはこの監査証明業務と非監査証明業務とはなんぞや、というところから解説していきます。


ちなみにさっきの数字は↓から引用してます。
業界に興味がある各位はぜひ一度読むことをおすすめします。


監査証明業務と非監査証明業務

まずこの監査証明業務と非監査証明業務の定義を見てみましょう。

公認会計士法という法律に書かれているので、まるっと引用します。

(公認会計士の業務)
第二条 
1 公認会計士は、他人の求めに応じ報酬を得て、財務書類の監査又は証明をすることを業とする。
2 公認会計士は、前項に規定する業務のほか、公認会計士の名称を用いて、他人の求めに応じ報酬を得て、財務書類の調製をし、財務に関する調査若しくは立案をし、又は財務に関する相談に応ずることを業とすることができる。ただし、他の法律においてその業務を行うことが制限されている事項については、この限りでない

出典:e-gov法令検索(公認会計士法)

いきなりお硬い言葉が並んでますが、要は公認会計士は①財務諸表の監査または証明をやりますよ、それから②財務諸表を作ってあげたり財務に関する相談にも乗りますよってことを言っています。

中のひとたちはこの条文の項番をとって、監査証明業務を1項業務、非監査証明業務を2項業務と呼ぶのが一般的です。

よって、非監査証明業務 = 2項業務 = いわゆるコンサル業務 と覚えておいてOKです。


補足:監査または証明って?
監査証明っていう言葉がちょっと分かりづらいですが、監査対象の会社の財務報告の数字が会計基準に沿って適切に作られているか、監査対象の会社のお仕事の仕方が業界などが定める基準を満たしているか、を公認会計士が第三者として評価し、「だいたいちゃんとやってましたよ」ってサインをしてお墨付きをあげることを指す、と思っておけばだいたい合ってます。
このサインをしてお墨付きをあげるってあたりが公認会計士のみに許可されている独占業務になります。


ちなみに、監査法人とはこの1項業務を組織的に行うために、この法律に基づいて設立された法人と同法で定義されています。
さらにちなみに、監査法人は公認会計士が5人以上集まると設立できる決まりになっています。
合体ロボみたいですね。


さて、これだけだとまだまだ分かりづらいと思うので、図解してみました。

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それぞれ解説しているとまたnoteが長くなってしまうので大胆にはしょることにしますが、監査法人に所属している公認会計士は上記の1項業務2項業務全てに従事でき、公認会計士でない人(いわゆるコンサル/システム監査採用の人)は主に2項業務に従事します。

ちょこさんのフォロワー各位はIT系の方が多いようなので、IT系の方向けの補足として、システム監査の専門家が担当する業務を赤字で記載してあります。

ポイントとしては、システム監査の人は公認会計士と一緒に法定の会計監査にも対応します。
あまり人数はいませんが、コンサルだけやる人はここには基本混ざりません。


次のセクションでは、じゃあ一体システム監査の人って何してるの?ってところを解説していきます。

最近よく質問箱でいただく「システム監査部門入る/入りたいんですけど」系のお便りでお求めの答えはきっとここにあるはずです。


◆システム監査って結局何なの?

さっきの図から、システム監査の人は1項業務2項業務どちらにも従事する可能性があることがわかりました。

ただ、やっかいなことに、このシステム監査という言葉は結構色んな意味合いを含んでいて、違いを理解するのがちょっとめんどくさいとちょこさんは思ってます。

というわけで、いつものとおり雑に解説します。


1項業務のシステム監査

まず、法定監査(会計監査)の一貫として行われるシステム監査的な手続きについての説明です。

なんでわざわざ↑みたいな回りくどい言い回しをしているかと言うと、監査法人では会計監査の一環として行われるシステム監査的な手続きをあまりシステム監査とは呼ばないからです。
※トーマツ、あずさ、EY新日本は「IT監査」、PwCあらたは「システムレビュー」と呼んでいるようですね。

監査法人の中途採用でITバックグラウンドを持った方に一番期待されるのがこのシステム監査的な手続きへの従事です。


で、結局何をやるのかというと、こういうことをやります。

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法定監査なので、監査の目的や、どういう観点を満たさないとちゃんと監査をやったと見なされないか、厳密に決まっているんですね。

監査法人のシステム監査部門に入ると、マネージャにあがるくらいまではひたすら↑をやることになります。
あまりにひたすらやるので、「システム監査ってつまらない」って意見が色んなところから聞こえてくるのも事実ではあるかと思います。

なお、ちょこさんはこう思っています。

具体的には、監査手続きの一環で、全社経営計画、IT中期経営計画、IT投資計画、今どんな領域にどれくらいお金をかけていてどんなコンサル/ベンダーが入っていて何を作っているか、社内のシステム構成の全体、開発手法、などなど、普通のコンサルやベンダーで出入りする場合は絶対に見せてもらえないような情報を職務上たくさん見ることができるあたりすごく魅力的だと思うんですけどね。。

もうこれだけでお宝の山って感じです。


2項業務のシステム監査

こっちの方はいわゆるシステム監査って言って差し支えないやつです。

ただ、1項業務のシステム監査と違って法定監査ではないため自由度がものすごく高いです。

監査の目的、監査の対象(見るシステムや期間など)はクライアントが好きに指定できますし、何なら別に監査法人じゃなくて普通のITベンダーに発注することだってできます。

要はオーダメイドで何をやってもいい、ってことですね。


じゃあどんなときにこの手のシステム監査をやるのっていうとこんな感じです。

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そのときそのときで必要な監査を委託している感じですね。

あ、これらの事例は全て架空のプロジェクトについて書いていますので、そのあたりご了承ください。
全て架空の事例、いいね?


そんなわけで2項業務のシステム監査は何だってアリ、ってお話でした。


◆監査法人のコンサル案件のその他の特徴

と、まぁ興味のある各位が多そうなシステム監査中心に語ってきました。

1項業務のシステム監査的な手続きに従事する場合、会計監査のシーズンに合わせた繁閑の波がきます。
ただし、決算期が異なるクライアントを複数もっていると年中忙しいといった稼働率にそうそう困らない状態にもなります。

その中でも、会計監査の閑散期と言われる夏場は割と稼働が緩やかになるのですが、そのスキを狙ってコンサル案件にアサインされることもあるのでお休み取りたい場合は要事前調整です。


その他の特徴として、監査法人のコンサル案件は基本的に第三者的な立場から評価やアドバイスをするものが中心となり、Big4であれば同じグループのコンサルエンティティが行うような業務改善やシステム設計のような、クライアントと一緒に何かを作る案件はまずないと思って大丈夫です。

今回は特に触れませんでしたが、ファイナンシャルアドバイザリー業務は会計士のお仕事なので、システム監査/コンサルの人はこれもほとんど縁がないと思います。

ファイナンシャルアドバイザリー業務のうち、M&Aや事業再生など財務報告をメインとしない領域は、ファイナンシャルアドバイザリーサービス(FAS)と呼ばれるエンティティが担当します。

Big4だと↓ですね。
デロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリー
PwCアドバイザリー
KPMG FAS
EYストラテジー&コンサルティング 
 ※EYはコンサルとアドバイザリーのエンティティを分けていないですね。


◆今回のまとめ

気づけば今回もそれなりの文字数になってしまいました。
ちょこさん監査法人のこと大好きなのでいくらでも語れる気がします。

なかなか特殊な業界だとも思うので、就職や転職にあたり思うように情報が得られなくて躊躇していた各位のお役にたてたようでしたらとても幸いです。


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あ、そうそう、「システム監査やコンサルで監査法人に入る場合、何か資格はいりますか?」ってときおり聞かれますが、入る時点では特に資格は必要ありません。
英語は当然できた方がプラスです。

で、システム監査で入った場合はなるべく早いうちにシステム監査技術者かCISAの資格を取ることをおすすめします。
※Certified Information System Auditor:公認情報システム監査人

どちらも資格を持っているから何かすごいことが起こるというわけではないのですが、監査法人ってやっぱり公認会計士の組織なので、システム監査の専門家を名乗るのであればこれくらいの業界団体の資格くらいは軽く取っておく必要はあると思うんですよね。

どちらも、ある程度の実務経験積んで、ちょっと試験対策すれば取れると思います。
公認会計士試験とは比べたらこの試験対策に費やす労力は微々たるものです。


◆オススメの1冊

せっかくなのでシステム監査技術者のテキストを貼っておきます。

その前に、ITパスポート、基本情報、応用情報くらいは取っておかないといきなりシステム監査技術者は難しいと思うので、まだの方はぜひ順を追って受験してください。

ちょこさん的にはこのあたりしっかり学んだうえでCISAを取ることをおすすめします。
理由はCISAは一応グローバルな資格だからです。


もっと入門編から始めたい方はこちらからどうぞ。
ちょこさん的にはこのシリーズがおすすめです。
理由は猫がかわいいからです。


というわけで、また次回もよろしくおねがいします。
チョコレートのご支援もぜひよろしくおねがいします!


今後も取り上げてほしいトピックやご意見ご感想などありましたら是非コメントなどお寄せください。

質問箱もどうぞ。


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