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フランスでショコラトリー店員になる#2

ところで、渡仏前に決めた語学学校(Alliance Française de Lyon)。

日本にいるうちに、学校のホームページにアクセスし、仮登録(Préinscription)をした。内金を支払い、現地に着いてからテストを受け、クラス分けをするシステムだった。

学校選びのポイントは以前にも書いたが、学費や斡旋してくれるステイ先の費用等が高すぎないことと、授業数、入学時期も考慮した。大学も検討したが、開始が9月とあり、それだとヴァンダンジュ(葡萄摘みの仕事)に間に合わない。…それで、アリアンスフランセーズにしたのだった。この時、日本人学生の割合も実は気にしていた。当時は「1年という期限付きでフランスに来ているのに、日本人とつるむのは…」という抵抗感があった。それでもいつかは日本人の温かさに涙を流す日が来るとも知らずに…。

この時は、兎に角どっぷりフランスに浸かりたかったので、ステイ先ももちろんフランス人の家庭だと思っていた私は、ウキウキしていた。

ところが、ステイ先がフランス人家庭ではないことが発覚。どこの国がどうだから、というより、前述の”フランスにどっぷり浸かりたい”という目的とずれてしまう私は、かなり動揺していた。

それで、出発直前までフランス語の先生が現地と取り合ってくれ、ようやくステイ先が決まったのが成田空港を出る直前、空港で新しいステイ先の電話番号を聞いたのだった。(危なっ)

実はこの担当者…私の出発直前に風邪でダウンしていたらしく、一切連絡を取ることが出来なかった為に、今回のようなギリギリ決定となってしまったのだった。フランス語の先生には、本当に感謝しかない。


丁度同じ頃、知人の紹介で、とある地方のパティスリーで販売の仕事の話が持ち上がっていた。

興味はあったが、初めての海外での仕事に戸惑いもあり、労働条件等を知人に聞いた上で、真っ先に例の先生に相談した。

大好きなアルザスからはそう遠くないが、南フランスへ行くには遠い。

あまり端の方に拠点を置くことは、私のプランを考えると少し不都合だった。そして、店はおろか、初めて聞く街の名前…もちろん一度も訪れたことのない私としては、見えないところで”うん”と話を決め、一年間をそこで過ごす勇気が持てなかった。そして、言い方は良くないが、そこで缶詰状態で仕事をすることで、長年の夢だった”ヴァンダンジュ(葡萄摘み)"や"アルザスのクリスマス市を見てみたい”等が出来なくなるのではという不安もあったのだ。また、自分で探してみたいという気持ちもあった。

その頃初めて知ったのが、フランスの給料の仕組みだ。

SMIC(スミック)―つまり、国で定められた給料の最低賃金である。

この基準は業種によって異なり、毎年変わるらしいのだが、大体800~900ユーロくらいと相場は決まっている。(当時は、1ユーロ¥170位)

私の周りには、職業柄、フランスへ修行に行く人が多かった。

周りの人は大体、出発前に働き先が決まっていた。それなのに、私の就職先はノープランだった。

この滞在は、1年という期限付き。働きたいけれど、ブドウ摘みもしたいし、あちこち行きたい。ノエルも見たい。…という、欲張りプランだった。取り敢えず、美食の街、リヨンに行って、2~3か月語学学校へ行って、ヴァンダンジュへ行ったら、働こう!と思っていた。

それで、持ち上がっていた話は保留のまま、日本を発ったのだった。

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