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SNSが”ブランドの資産性”を殺した話

本日は、SNSがこれまでの「ブランド資産」を過去のモノにしたという話について。

古い広告業界やマーケ界隈では、いまだにSNSはオマケのように扱われていますが、SNSはマーケティング界の黒船です。


SNSの登場により、広告やキャンペーンの在り方も変わってくるはずなのですが、いまだに過去のやり方で、キャンペーンをやっているのが実情。

本日は、誰も言わない”ブランド資産の変化”の話について書いていきます。ここだけの内緒話にしておいてくださいね。

そもそもブランド資産ってなに?

そもそも、”ブランド資産”って何でしょうか?

よく経済や金融で使われる用語で、『資産』は未来でもお財布にお金を運んできてくれるものを意味します。

配当で毎年お金が入ってくる株や、人に部屋を貸していると家賃収入が生まれる不動産が資産の代表例です。


実は、マーケティングの世界でいうブランドにも資産があります。それが「顧客がブランドに持つポジティブイメージ」です。※厳密には、ポジティブイメージを超え、売上をもたらす行動が必要になりますが。


消費者の頭に「iPhoneって良いよね」というポジティブイメージがあり続ければ、今年も来年も再来年もAppleの売上に貢献します。

チャリンチャリンと、ブランドに富をもたらす。これがブランド資産です。

図にすると、こんなイメージです。

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このように、ブランド資産が存在すれば、一瞬ではなく、長期にわたってブランドの売上を確保することに繋がります。

SNSはブランドの資産性を抹殺した

ぼくは、SNSとブランド資産の関係について、思っていることがあります。

SNSが、ブランド資産の存在を殺したなと。


ブランド資産の正体とは、「人が持つブランドに持つイメージ・評判」です。

SNSの登場で、このイメージ・評判がコロコロ切り替わるようになりました。

大金をかけてその場でポジティブなイメージを作り上げても、SNS上での口コミ(企画屋からすると横やり)が生まれれば、そのイメージもすぐに崩れ落ちます。


たとえば、世界一のブランド企業Appleですら、3回連続で顧客が満足しないiPhoneを発売してしまうと、「もうさすがに面白くない」「まったく革新的ではない」のようなコメントがSNSに溢れかえり、ブランド資産もなくなるでしょう。


このように、情報(評判)のアップデート頻度が増えると、ブランドの資産性は損なわれます。iPhoneですら、5年前の口コミではなく、今この瞬間の評判・イメージをもとに購入が決断されているわけです。


逆にいうと、ブランド資産というのは、情報(評判)のアップデート頻度が少ないとき、非常に有効に働きます。

余談ですが、SNSがいまだに普及していない、おじいちゃんおばあちゃんコミュニティでは、ブランド資産が非常にうまーく働いています。

「パナソニック?あぁ~、松下電器やろ。あそこの電化製品は良いよな。ウチもいつも松下電器を買うようにしてるわ。」

といったように、イメージが昔のままで止まっているので、いまだに松下ブランドが有効に働いているんです(笑)

これからのブランド資産の作り方

ではこれからは、一体どうやってブランド資産を作っていけばいいのでしょうか。

タイトルどおり、これまでの"ブランド資産"は死んだと考えたほうがいいです。


ド正論の話で恐縮ですが、これからのブランドは「1回きり」のビッグキャンペーンで作りあげるモノではなく、”1回ずつ”の製品ローンチから日々のコミュニケーションで顧客満足度を上げ続けることが大事になるでしょう

力技や裏技を使って評判を作るのではなく、真に顧客と向き合った者が強いんです。

だって、見せかけのポジティブイメージを作り上げても、消費者が「このイメージは嘘や」とコメント(企画側からすると横やり)を入れてくれるわけですからね。


ちなみに、ブランドの資産性が失われたことは、悪い面だけではなく、良い面もたくさん存在します。

それは、何度でも下克上のチャンスがあるということです。それも、どんな企業、個人にもです。


おじいちゃんおばあちゃんコミュニティでは、松下電機が永遠のNo.1ブランド。情報がアップデートされないので、一度彼らの頭の中に出来上がったイメージを刷新することは至難の業です。


しかし今は、SNS上で頻繁に評判が更新されるので、そのたびに顧客の頭にブランドの姿が想像される機会が与えられています。

一度作り上げたイメージで、長期的な売上を立てつづけるブランド資産が失われた代わりに、今はどんな商品も顧客の視野に入りやすいようになっているんです。そして、真に良いモノは、顧客の声によってすくい上げられるようになりました。


「良いモノが良いと評価されやすい」という意味で、現代は良い時代になったのではないでしょうか。

おわりに

今日はブランドの資産性について、書いてきました。

-昔はブランドに資産性があった
-しかし、SNSでその資産性が損なわれた
-いまは、何度も下克上をするチャンスがある

そんなところを覚えていただければ幸いです。

SNSの登場でブランドが資産性を失なわれつつある中で、いまだに根強いブランド資産を持ち続けてるAppleやコカ・コーラは、素直にスゴイと思っています。

あの商品、ブランドたちは、「昔からあるから強い」のではなく、「今も顧客に満足されているから」こそ、強いブランドであり続けているのではないでしょうか?


ここからは余談です。

今日の話、企業ブランドの話に聞こえるかもしれません。でも実は、個人ブランドもまったく同じことが言えます。むしろ、SNSを主戦場にしているという意味で、個人がよりこの話の影響を強く受けるかもしれません。


どんなに有名なインフルエンサーも、日々発信を続けていますよね?

その理由は、インフルエンサーが戦っているフィールドが、評判がつねにアップデートされる場だからにほかなりません。

「ブランド人」を掲げている田端信太朗さんも、独立されて発信の量が増やされています。SNS上のブランドに資産性がないことを、お気づきになられているのだと思います。


ということで、一発でブランドを作り上げるのではなく、「1回ずつのコミュニケーション」で顧客満足度を高めることが、SNS時代の新しいブランドを作り上げる秘訣ではないでしょうか?

本日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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