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これから音声メディア市場は伸びるのか?ちょっと真面目に考えてみる。

どうも、広告屋のエルモ(@elmo_marketing)です。

昨日、面白いツイートを見つけました。

なんと、2025年までにデジタル音声広告市場が「16億円→420億円」に成長するそう。単純計算で、5年で2600%の成長率です。

本当に、こんなに音声メディアが伸びるのでしょうか?

今日は、これからの音声メディアの盛り上がりについて、思うところを書いていきます。

メディアの成長を見据えるにあたって

そもそも、新しいメディアが成長するとき、自分がどのポジションに属するかで、メディアの捉え方も大きく変わります。

たとえば、、、

①コンテンツ提供側(発信者)として、発信する旨味があるか?
②イチユーザーとして、コンテンツを楽しめるか?
③事業者(販売者)として、そのメディアに広告を出す価値があるのか?

基本的には、メディア成長は①②③すべてにプラスの三方良しであることがほとんどですが、①②だけ成り立つ場合もよくあります。

たとえば、noteは広告枠を一切提供していない形でメディアの生態系を作りあげていますよね。

この場合、「最近noteが熱い!」と言われても、このコトバがイコール「noteに広告を出せばモノが売れる」にはならないわけです。(どうしても広告屋の視点になっちゃいますね・・・・w)


まずは自分の立ち位置を理解したうえで、「これからこのメディアが盛り上がるぞ!!」という声が大きな人の掛け声に振り回されないことが大切なんですね。


ということで、そもそも論として、「音声メディアが盛り上がるにも、いろいろな意味があるよ〜」という話でした。ごめんなさい、早速話が脱線しましたね。

ではでは、本題の「これから音声メディアは盛り上がるのか?」について、いくつかの視点で考えてみます。

米国のPodcast事情を見てみる

まずは、米国の音声配信サービスの事情を見てみましょう。米国は、音声メディア大国です。

日本ではYoutuberという職業が生まれていますが、実は米国にはPodcasterという職業が存在します。

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「週4時間」だけ働く。」で大ベストセラー作家のTim Ferriss氏のwikipediaには、起業家、投資家、作家に合わせてpodcasterが書かれているくらいです。(笑)


そんな音声メディア大国のユーザー数、割合はどれくらいでしょうか?

こちらは、「月に一回以上podcastを聞いた人の割合」を表したグラフです。

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(出典:https://medium.com/sounder-fm/podcast-market-stats-and-data-may-2019-1610becd2c6f

2019年時点で32%の人が何かしらのPodcastに触れています(人口に換算して、およそ9,000万人)。2013年から右肩上がりで成長していることも見て取れますね。


あわせて、米国podcastの広告市場の規模と伸びを見てます。

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(出典:https://www.emarketer.com/chart/220819/us-podcast-ad-revenues-2017-2020-millions

2018年のデータではありますが、、

・2017年→2020年の3年間でおよそ200%の成長
・2020年の広告予算は、6億5900万USD
 (日本円でおよそ700億円市場)。

この数値感を見ると、現状の日本の市場規模16億円はまだまだ小さく、これから伸びが見込める数値ですね。

メッチャ個人的な意見を入れておくと、アメリカは日本以上のクルマ社会なので、ひとりで何かを聴く機会が多いのもひとつの要因だと思っています。


ただし!!!

すでに音声配信サービス市場が出来上がっている米国でも、音声メディアの効力は不確かといわれているよう。それがこちらの記事です。

米国でポッドキャストが主流のメディアになっているかどうかを尋ねるのは、メジャーリーグサッカーについて同じ質問をするようなものだ。どちらも20年以上成長を続けているが、ほかのメディアやスポーツと比べればまだ規模は小さい。

だが、テレビと比べればまだはるかに少ない金額だ。メディアエージェンシーのグループエム(GroupM)が最近発表した予測によれば、従来型テレビの広告収入は減少傾向とはいえまだかなりの金額で、2020年には610億ドル(約6兆4544億円)になるという。

さらに、ポッドキャストは「収益化と実際のエンゲージメントのあいだにまだ相当大きな開きがある」と、業界ニュースレターの「ホット・ポッド(Hot Pod)」を手がけ、LAイスト・スタジオ(LAist Studios)のポッドキャスト「サーバント・オブ・ポッド(Servant of Pod)」でホストも務めるニック・クア氏は指摘する。

つまり、「音声メディア大国でもコンテンツとユーザーは増え、メディア自体は盛り上がりを見せているものの、広告枠として価値があるかまでは分かっていない」というのが実情のようです。


ここからは、僕の音声メディアに対する個人的な意見を書いてみます。

ココだけの話、音声メディアはもっと伸び~る気もするし、伸びない気もします。

というのも、成長するプラス要素もあれば、逆にもう成長余地がないのでは?とリアルな視点の両方存在しています。

【伸びない要素1】メディアの変遷は不可逆変化

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メディア普及の歴史には、面白い原則があります。

テクノロジーの変化で「テキスト→音声→動画」と変化するにつれて、メディアの普及率は一気に高まる。さらにこの変化は、不可逆変化である。

歴史を振り返ってみると、情報はテキストを好む知識人のみに許されていた特権でしたが、ラジオ、テレビの登場で、爆発的に情報が広がるようになりました。(その分、情報の質も落ちますが)


実はいま、この流れがインターネットでも起きています。

そして面白いことに、日本では「テキスト(twitterやブログ)→動画(Youtube)」と音声メディアを飛び越えて、メディアの移行が起きてしまいました.......

残念ながら、大半のユーザーは動画メディアのYoutubeに辿りついてしまったので、もう音声メディアにユーザーが逆流するような現象は起きないのではないか?と思うのです。

【伸びない要素2】そもそもデジタル音声広告は成り立つのか?

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音声メディア”市場”が伸びないと感じる最大の理由は、「音声デジタル広告は、実質的にオフライン広告であるから」です。


これ、どういうことは分からないと思うので、詳しく説明します。

いまネット広告が急成長していますが、その本質は「広告をクリックできて、流入を可視化でき(アトリビューション)、リマーケティングもできる」、オフライン広告にはないその有意性にあります。

テレビや新聞のようなオフライン広告にはない機能を実装しているからこそ、ネット広告にお金が集まっているわけです。

一方の音声広告は、ネット上のサービスとはいえ、ネット広告が持つ大半の機能が欠如しています。

・音声広告はクリックできない
・広告からそのままサイトに遷移できない
・アトリビューションもない
・リマーケティングもできない

と、ネット広告お得意の「効果の可視化」と「顕在層への追跡」ができません。

となると、実質的にオフライン広告なので、音声配信サービスの広告はそこまで伸びないんじゃないかなぁと予想します。


ただし!!

twitterでこのような意見をいただきました。

既に海外では、双方向のやりとりができる広告も実験的に始まっているそう。テクノロジーを音声メディア広告に組み込むことで、これまでにない新しいマーケットができる可能性は十二分にありえますね。楽しみにしたいところです。


そして、次。やっと伸びそうな要素をご紹介できます。

【伸びる要素1】耳からのインプットが空白&圧倒的コンテンツ不足

超ワタクシゴトですが、先週妻からAirPods Proをイタダキマシタ。

自称アーリーアダプター、ガジェットも大好きなんですが、AirPodsだけはすぐに失くす自信があり、手を出せずにいたんです。




満を持してAirPodを使ってみたところ、かなり革命的な体験になりました。

(いまさらドヤ顔で言えることじゃないですね.......w)


この数日間使ったミーハーの感想ですが、

「いままで耳からのインプットが全然なされていなかった...」
「もっとAirPodをつけて、いろんなコンテンツを聞いてみたい」

と痛感したわけです。

ぼくのようなレイト層がAirPods体験を経て音声インプットを渇望するようになると、必然的に音声メディアへのニーズは高まるはずです。

AirPods体験層が音声のニーズを駆り立てるんですね。


ただし、コンテンツを聞きたい欲望に反して、コンテンツ供給が全然追いついていないとも感じます。

これは梅木さんのツイートですが、まさにその通り。

これからもしコンテンツ供給が増えてくると、

「コンテンツが増える→リスナーが増える→コンテンツが増える→音声メディアが盛り上がる!」

の好循環が起きる可能性は十分にありえるのではないでしょうか??

逆に、あなたが発信者側なら、音声メディアへの種まきは影響力を高めるチャンスだと思います。

まとめ

音声メディアがこれから盛り上がるというニュースを見かけたので、「これから本当に音声メディア市場が伸びるのか?」、noteに考えをまとめてみました。

このnoteの要点をまとめると、

音声メディアの現状
・日本の音声メディアは5年で16億→420億円市場になるらしい
・先行する米国では、全体の32%が音声メディアユーザーで、すでに700億円市場

もう音声メディアが伸びないオピニオン
・ネットメディアの移行からすると、もう日本では音声メディアは伸びない
(テキスト→音声→動画は不可逆変化)
・そもそも、音声メディア広告は、ネット広告の機能を持っていない

これから音声メディアが伸びるオピニオン
・AirPods革命で、音声ニーズが高まるのでは?
・いまはまだ、聞きたいコンテンツが足りていない。圧倒的供給不足!
・これからコンテンツが充実したら盛り上がるのでは?

ということで、理屈的には音声メディアはもう盛り上がらない気がするのですが、イチユーザーの気持ちとしては、これから音声メディアが大いに盛り上がって欲しいなぁと思っています。


メディアが多様化し、いろいろな情報にアクセスできることは、ユーザーにとってプラスでしかないですからね。

最後まで、長いnoteをお読みいただき、ありがとうございました。


あ、オススメの音声コンテンツがあれば教えてください。耳に取り入れるコンテンツが不足しております。


最後に、音声メディアを運営している起業家のnoteも載せておきます。


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エルモ(@elmo_marketing)

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