アイデアの引き金

シャワーを浴びている時、洗い物をしている時、通勤時に歩いている時、または散歩時。
こういった場面において、突然頭の中で考えや記憶が賦活し、活動感(提案の軸となる案を思いついたり、ひとり言が多くなる)に包まれる経験はないでしょうか。きっと誰しも経験はあるはずですが、こういった時、DMN(デフォルト・モード・ネットワーク)と呼ばれる、脳の複数の領域で構成されているネットワークが活発になっていることが原因にあるのです。過去のさまざまな感情や記憶などをつなぎ合わせる時に重要な役割を果たしているのがこのDMNですが、このネットワークは、特定の活動に集中している時には活動が低下し、逆に何も考えていない、所謂アイドリング状態の時に活動レベルが上がるとされています。(石川善樹 著『疲れない脳をつくる生活習慣 働く人のためのマインドフルネス講座』より)

つまりPC画面と睨めっこしている最中には、過去の記憶を掘り返してパッチワークするのにはあまり向いていないということです。それは本を読んでいる時も同じことが言えますが、本棚はどうでしょうか。本棚とDMNとの相性は良いように思えます。物理的に背表紙が目に入る環境は、自然に脳にタイトルが入るということですから、タイトルから連想され得る中身も記憶に入る人はいるでしょう。(実際に方法次第で記憶に留められるようになります)

DMNが活発になる時、いかに本からの“大量の”もしくは“濃い”記憶が脳内にあるか。1から2、2から3への考えの道筋を立てることはビジネス上の筋トレで養われますが、1から20、20から100までの飛躍の引き金となるのは、DMNの活躍によるものだったりします。そしてDMNは偶然の産物ではなくすることが、選書本棚によって実現できると考えています。特定の物事に集中していない時間を脳内の整理整頓に活かす。これは本の冊数と選書された理由のインプット、そして、身体や脳が疲労した時にする散歩に鍵があります。

企業に置かれた本棚をファッションだけのものにするのではなく、またお客さまに見てもらう(これももちろん大事です。このお話はまた別の時に)ためでもなく、自らのDMNのために活用すること。そんな態度について少しずつ知っていただきたいと思います。

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