chocolat B&D(Book&Design)

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最近の記事

デザイン会社ディレクター視点の選書について(その2)

ひとつ前の記事では、企業における「選書本棚」の用途について、デザイン会社ディレクターの視点からお伝えしました。 本日の記事では特に、対外的な広報の役割を担う選書の意義について考えてみたいと思います。昨今、ミッション・バリュー・スタイル・ビジョン等々、その企業の理念を一行に凝縮したコピーを、コーポレートサイトのファーストビューに入れているのをよく見ます。企業が社会に対して果たすべき姿勢・役割・意義などを簡潔に伝えるために、一番目に入るところに置いておくものです。 このような企

    • デザイン会社ディレクター視点の選書について(その1)

      今日までの記事では、言葉の表情に意識を向けること、DMN(デフォルト・モード・ネットワーク)を活用するための選書本棚、課題へ向き合う時の言語化/概念化について主にお話してきました。本を読むことを企業で活かすためにはどうすれば良いのか、という視点で考えてきましたが、選書本棚を活用するってどういうこと?とそもそも疑問に思われている方も多いはずです。 社員が興味を持っている本を持ち寄って集めたものではいけないのか?社長や上司が部下にオススメする本を本棚に詰めていけば良いのでは?と

      • 課題へ向き合う時の言語化/概念化について

        ある概念や言葉そのものを知る事が、自分の思考の限界値そのものを拡げる、という捉え方があります。言葉にしてしまう事で何か別のものとなってしまい、どうしても言葉には表したくない、という考え方もあります。それは特に、表現の世界で多く見られる現象ではないかと思います。ここでは、個人の(または団体の)表現における言及は置いておき、企業内の課題に向き合う時を考えてみたいと思います。ある現象において、現象そのものが言語化/概念化されていることで、一つ以上、上の視点から概況を見ることが出来る

        • アイデアの引き金

          シャワーを浴びている時、洗い物をしている時、通勤時に歩いている時、または散歩時。 こういった場面において、突然頭の中で考えや記憶が賦活し、活動感(提案の軸となる案を思いついたり、ひとり言が多くなる)に包まれる経験はないでしょうか。きっと誰しも経験はあるはずですが、こういった時、DMN(デフォルト・モード・ネットワーク)と呼ばれる、脳の複数の領域で構成されているネットワークが活発になっていることが原因にあるのです。過去のさまざまな感情や記憶などをつなぎ合わせる時に重要な役割を果

        デザイン会社ディレクター視点の選書について(その2)

          待ってくれる存在について

          1冊の本を1週間かけて読めたとして、わざと、例えば1ヶ月かけて読むということも読み方の一つです。1枚の絵を、時間を倍かけて鑑賞/観察すると、今まで観ていたものと異なる見え方が突如として現れることがあります。本も同じで、読み方を変えてみたり、「疑いすぎ!」と笑われるくらいに読み込んでみると、驚くような筋が浮かび上がってきたりするものです。 本は、読まれる対象としては受け身なのかもしれませんが、読む側はいっときとしてとどまっていることがないのです。動いている私達主体に対して、常

          待ってくれる存在について

          言葉の表情(後編)

          言葉の表情について、本を数冊紹介しながら思うことを記しました。(前編)はこちらから。 『数学の贈り物』森田真生(著)では、言葉にできない思いに口ごもってしまうこと、迷って考えてしまうことは「道徳的な贈り物」だといいます。 2019年2 月に京都恵文社一乗寺店で行われた数学ブックトークでの森田氏の言葉で「言葉の逡巡のプロセスがその人の自由の根拠である」というのが印象に残っています。常套句の使用で妥協してしまうことは、人の自由を奪っている、とおっしゃ

          言葉の表情(後編)

          言葉の表情(前編)

          「生きた言葉」「魂ある言葉」とはどのようなものでしょう。反対に、「言葉が表情を失ってしまった」状況を感じたことはあるでしょうか。 『言葉の魂の哲学』古田徹也(著)は、「言葉に魂が入ったように表情を宿し始めること、言葉の独特の響きや色合い、雰囲気といったものを感じること、あるいは、それらのものが急に失われ、魂が抜けて死んだように感じることについて。そして、こういった体験は、私たちの生活にとって、どのような影響や重要性があるのか」について書かれた哲学書

          言葉の表情(前編)

          選書は時限爆弾

          本には即効性のあるもの、遅効性を有するもの、どちらの側面もあることが魅力の一つと言えます。特に、私が提案する企業への選書では「遅効性を有する本」が入っているかどうか、且つ、「遅効性×緊急性を要しない」や「遅効性×即効性」など、(しつこいようですが)遅効性を隠し味としたさまざまなパターンを試みています。 企業がまず目指すことは営利活動、すなわち売り上げを上げることです。そこに対して、私は遅効性を持つ「本という時限爆弾」をたくさん置いていきたいと思っています。いつ誰のもとで開く

          本と組織、本と個人をむすびつける

          chocolat B&Dがお届けする 選書の対象は大きく二つに分かれます。 一つは、「組織」に対する選書、 二つは、「個人」に対する選書です。 「組織」における選書とは、 企業ブランディングの役割に近いものがあります。 その企業が大切にしている思考や情熱、 または企業がこれから向かう姿勢を 本を通じて表現することによって ステークホルダーに対しての意思表示も担います。 「個人」における選書とは、 その人をより強く、よりしなやかに 導くための治療のようなものです。 どんな

          本と組織、本と個人をむすびつける