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媚薬と妊活 マリー・アントワネットのチョコレート


こんにちは、ショコラリスト®︎サユリです。


今回は時代も国も超えたわたしたちと同じスイーツ女子、マリー・アントワネット王妃について書いてみました。

宮廷文化の爛熟したフランス、ブルボン朝第5代のフランス国王ルイ16世の時代。


パンがなければ、お菓子を食べたら?
とも語ったマリー・アントワネット。

実はお菓子だけでなく、チョコレートも好んでよく食べたとのこと。

パリで最古の薬局でショコラトゥリー、ルイ16世の王室薬剤師でもあったスピルス・ドゥヴォーヴのチョコレートが、マリーアントワネットのお気に入りでした。

当時、チョコレートは薬局でしか扱っていなかったのです。


1779年、苦い薬を飲みやすくするよう王妃マリー・アントワネットが命じ、コイン型のチョコレートが作られました。




1ピストル金貨の大きさなので、このショコラは、〈マリー・アントワネットのピストル〉として、同店の銘品となりました。チョコレート検定の公式テキストにも記載されていて、世界史にも残るチョコレートです。



さて、ソフィア・コッポラ監督の映画『マリー・アントワネット』(2006年)を、チョコレートに気をつけながらよくよく観てみると……


マリー・アントワネットはオーストリア🇦🇹から政略結婚でルイ16世🇫🇷にお輿入れ。お世継ぎを産むのが彼女の最大の使命です。


が、なかなか子供ができず……

王も王妃もまだまだティーンエイジャーとはいえ、お世継ぎ問題は国勢に影響します。

ひいては、マリー・アントワネット自身の存在意義も危うくなります。異国の地で子供を産まなければ生き延びられない。プレッシャーと孤独。幻覚をみるほどに追い詰められていきます。

映画では、王室医師がルイ16世に、子作りのためチョコレートを毎朝摂るように診断をくだします。

また、マリー・アントワネットもベッドの中でピストル型のチョコレートを食べるシーンがあります。ルイ13世をその気にさせる媚薬として服用していたのでしょう。



チョコレートの効果かわかりませんが、やがて2人は無事に一男一女を授かり、祖国を賭けたお役目を無事に果たします。

正式なお世継ぎであることを証明するため、貴族たちの見守る中の、公開出産でした。

……いやいや、王妃はお菓子やチョコばかり食べているわけではない、大変な宮廷生活に囚われていたのですね。

さて、その媚薬にも妊活にも使われたというマリー・アントワネットのチョコレートを入手しました。


当時は王侯貴族しか食べられなかったチョコレートが、およそ240年後のジャポンで食べられるのです。わたしは日本橋三越の地階で買うことができましたよ。


さすが高貴なショコラ、一枚当たり250yen。
金貨大だけど、薄くて繊細。
あっと言う間にお口で溶けて消えてしまいました。



チョコがお薬で、媚薬にも妊活にも効果があるのなら、王妃でなくとも毎日食べたくなりますよね。


映画ではこれでもかというほどのボリュームで登場するゴージャスでガーリーなスイーツの数々。

華やげば華やぐほどに、王妃の孤独がコントラストとなって暗い影を落とします。一方、宮殿の外では、市民たちが飢えに苦しんでいたのです。

やがて歴史の大波は王妃をも巻き込んでいきます。

おしゃれ感満載の画面でありながら、揺れる心や孤独感の描き方は、さすがソフィア・コッポラ監督。

マリー・アントワネットも、わたしたちと同じ、スイーツ女子で、お洒落も大好きで、必死で自分の居場所を探していたのかもしれませんね。

お読み頂き、ありがとうございます。
歴史を紐いてみると、新たなチョコレートの世界が広がります。

どうぞ、今日は王妃の気分でチョコレートをお召し上がりください。

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