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今どきはバービーでいるのは受難の時代。ついでにケンも受難の時代。

こんにちは、サユリです。
映画バービーを観てきましたよ。
【ネタバレ注意⚠️】


映画もファッションもバービーも大好きなので、もう制作発表段階から待ち焦がれていた作品です。

劇場公開初日に特等席で観てきましたよ!
すぐにでもレビューを一番乗りでnoteに書くと決めていたのですが……

がっ!
オーマイガッ!

鑑賞後、頭の中が大混乱で渋滞を起こししまいました。正直、監督や作り手が支離滅裂でまとめきれていない…という印象でした。テーマもシンプルなようでシンプルではない。一直線には行かずに混線しまくっています。

思うに、Y2Kも懐古となり、世界的にもLBGTQが認められつつあるこの時代、旧世代的な価値観としてのバービーという女性像は、分が悪いのでしょう。

今どきは、バービーのような美女にとって受難の時代なのです。

セクシーすぎるな、痩せすぎるな、賢くあれ。
と言われつつ、でも美しく、太り過ぎず、知性は謙虚に。浮かれ過ぎるな、死について考えよ。

などと、八方塞がりの価値観にがんじがらめなのです。

映画はそこいらへんのモヤモヤをぜーんぶぶち込んで、予想外の展開とテーマのようなものを観る者にぶちかまけてきます。

どこを自分なりの琴線でキャッチするかは、その人しだいです。

わたしはバービー的な美しさは大好き。
大統領から苦言を呈されても、ヴィクトリア・シークレットのエンジェルたちも大好きでした。

理由はただひとつ、美しいから、です。

わたしが6歳の少女に戻ったとしても同じことでしょう。バービーもヴィクトリア・シークレットのエンジェルたちにも溜め息を吐いたことでしょう。

それは、ミロのヴィーナスや、裸足のブリジット・バルドーや、ショートヘアのオードリー・ヘプバーンや、クリスチャン・ディオールの伝説のバージャケットを見た時と同じ気持ちです。

バービーにはただただ美しい完成形でいて欲しいのに、時代はその価値を否定したり覆したり、新たな何かを付け加えて行かなければ映画になりえない。

ただただ、美しいが通用しない時代。
バービーにとっては受難の時代なのです。

ついでに言えば、バービーのボーイフレンド、ケンにとっても受難の時代のようです。

実は、この映画のもう一人の主要人物であるケンこそ、自分はどうあるべきかが問われているようです。バービーの引き立て役か、マチズモ復興か……

女の子向けに(ついでに)作られたキモくて嘘っぽいイケメン、葛藤だらけのケンの悲哀を演ずるライアン・ゴズリング。歌と踊りも含めた演技力は唯一無二の存在感、アカデミー賞ものです!

またバービーを作って販売しているマテル社の社員や重役陣も、現代というダイバーシティの中で必死にアイデンティティを探しているようです。映画では自虐的にコミカルにCEO像が描かれていて、苦笑いさせられます。

バービー曰く、もしくはマーゴット・ロビー曰く、バービーを作っている会社のトップは男性だけ?

制作から参加している主演のマーゴット・ロビーは、この難しい時代にあえてバービーに扮し、言葉や形にはならないメッセージを届けてくれました。

個人的には、映画に出てくる二人の年老いた婦人がすごく印象的でした。多様性の時代にあっても、凛とした美しさを放っています。

人工的とはいえ、完璧な美しさを持つバービーが思わずその年老いた婦人に口にしてしまった言葉。

You’re beautiful.

その、何気ないシーンの何気ない言葉に、わたしは賛成です。

お読み頂き、ありがとうございます。
美について、アイデンティティについて考えるきっかけになれば幸いです。

Yes, I’ m beautiful!

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