見出し画像

「ズルい」の正体~丸の内CAFE会~

私は時折、「このメニューはズルい!」みたいなことを言い出す。
何を言っている。
誰もズルくなどない。

でも、そう思わずにはいられないものに出会うことがあるのだ。

昨日、KITTEのサザコーヒーに行った話を書いた。

画像1

その向かいにはタリーズと伊藤園のコラボ店舗、丸の内CAFE会。
隣に、日本橋千疋屋総本店、そしてメリーズカフェ、と並ぶ。

残念ながら、メリーズカフェは閉店してしまった。

画像2

千疋屋は、時折グッと心に刺さるメニューがあるから要チェック。

画像3

その日も、様々の豪華なパフェを見て、悩んだ。
それなりにお高いパフェではあるのだけれど、贅沢しちゃおうかしら。

丸の内CAFE会は、別の店舗で行った事があった。

画像4

でも店名に「丸の内」と付いているくらいだから、いつか丸の内の店舗に行きたいとは願っていたのだ。

広いフロアをグルリと歩き、3店舗を悩んだ。

パフェにしたならば、さすがにもう1つスイーツを楽しむのは躊躇われる。
この時点で、コーヒーゼリーは2店目で食べたいなと思っていたから、パフェはやめておこうかな。

じゃあ、丸の内CAFE会...店頭に置いてあるメニューをパラリとめくる。

......!!!

画像5

New「ライムとはちみつのタルト」...だと???
なんだこれ、ズルい。

お隣のゴージャスのパフェも素晴らしかった。
このお店の、夏季限定かき氷だって、魅力的ではあった。

画像6

でもそれらは、私の中の天秤でグラグラ揺れるにとどまっていた。
が、「ライムとはちみつのタルト」は見た瞬間、天秤がぶっ壊れた。
「食べる」という選択肢しかなくなる。

「このメニュー、ズルい」
何がズルいのか自分でも甚だ疑問ではあるのだけれど。
そういう自分の中にある天秤がおかしくなるくらい、圧倒的に心を揺らすものについて感じるのだなあ、なんて少しだけ、自分の感情を理解できた気がした。

と、いうわけでね。
食べた。

画像7

とんでもない。

タルトが、フィナンシェのようにしっとりと柔らかい。
これ程柔らかなタルトは、初めてだ。

全てが柔らかなフワフワクリームで出来上がったケーキ。
今ではクリームの繊細な使い方も好きなのだけれど、かつてはクリームが多い程正義のように思っていた。
スポンジとか、生地なんて無くていい。全部クリームのケーキがあったのなら...なんて夢のようなことだろう。

このタルトは、その理想に近かったかもしれない。
しっかりとタルトという形をしてはいるものの、クリームの舌触りを崩さないようにホロリと一緒に消えていく甘いタルト。
かつての夢を叶えてくれてありがとう、なんて思ってしまったよ。

画像8

そしてもう一つ。
物凄く「はちみつ」だった。

以前、「はちみつ」と「メープル」の違いがよく分からなくて。
食べ比べてみたことがあった。
全然違った。

言葉にすると難しいのだけれど、「メープル」の方は深い茶色を秘めたようなオレンジ色の味。もったりとした甘さの中に、香ばしさがある。
「はちみつ」のイメージは、もっと明るい黄色。爽やかな味わいは、柑橘のような、あるいは草木香るそよ風のような雰囲気で。軽やかでキレのある、涼し気な味わいだ。

もちろん専門店があるくらい、メープル同士、はちみつ同士を比べても全然違うんだけどね。

とりあえず、そうやって比較した時に、「あっ、はちみつだ」を理解した気持ちを思い出した。
それはまぎれもなく、メープルではなく「はちみつ」の甘さだった。
プーさんに食べられてしまう、危険な甘さだ。

そんなはちみつの中のはちみつという王道な甘さが、ライムの香りでスッキリとまとめられている。
そんなケーキだった。

画像9

クリームのフワフワしっとりの食感と「はちみつ」を存分に楽しめた。
味わいにはそれ程影響しないけれど、抹茶パウダーでお皿を飾っているのも伊藤園とコラボしているこのお店らしくて良い。


好きなものがあると、「全てが欲しいけれど、もちろんそれは無理。だからこそより良い選択を」という葛藤が必ず生まれるものだと思う。
この葛藤は苦しいけれど、でもそれが好きの醍醐味だ。
本当に全てが手に入ったのならば、きっとそれを好きであり続けることはできない。

そしてそういう葛藤があるから、「ウヘへ、これはズルいなあ。買っちゃうじゃないか」という感情が生まれる。
そうか、この「ズルい」は、「買っちゃうのは自分の意志が弱いからでは決してないんだよ。このメニューに購入欲をそそる魔力的な魅惑があるのがいけないんだ」という...いわゆる責任転嫁である。

なるほどソレが「ズルい」の正体か。
noteを書きながら初めて気が付いた。

そして「ズルい」と思える程のものに出会うこと。
それはある意味、人生の宝探し。

さて次の「ズルい」はどこにあるのかな。


この記事が参加している募集

コンテンツ会議

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?