救いがきのこだったり、そうでなかったり〜ジョエル・ロブション〜
心配してくれるのは有難いが、なんだか申し訳ない気もしてくる。
私は結構心配されながら生きてきたと思う。
それほど狂った世界の住人ではないはずなんだけどさ、これはもう病気みたいなものだ。適当に手を抜くことが苦手だし、他にもやりたいことが沢山あるし、わりと常に満身創痍だ。
で、これももう本当に甘えでしか無いのだけどさ。
私の場合そうやってしんどそうにしていると結構周りが心配してくれる。でもトイレで「あいつマジつらたんアピールうざ〜」とか言われてたら嫌だな…そういうつもりじゃないんだ、辛いというかマジでいつでも眠い、寝不足だ。
で、実際に「大丈夫?」ということをマンツーマンで話すと、大抵は「まあ君は趣味が多くて発散の方法を知ってるから大丈夫だね」と言われる。
そうですね〜。
…そうじゃない。
いや、そういう風に言って貰えるのはありがたいけど。確かに楽しいことのひとつも無ければとっくに潰れているかもしれないけどさ。
好きなことができる瞬間があるから辛いことの全てが無くなるわけじゃない。辛いものは辛い。
辛いことも含めて楽しいと思えることが本当の好きということ、みたいなことを誰かが言っていた。
分かる。分かるけど、そんな簡単に「嫌」がクルリとひっくりかえるわけがないじゃないか。
しんどいものはしんどい!!!
もうね、そろそろ認めていいよ。
と言いつつも、どうせ辛いのは変わらないから…なんて言わず、好きなことに費やしていくことも勿論大切だ。
だからSNSで発見して「これは行かなきゃじゃん」と思った誘惑に私はあっさり釣られるのだ。
ジョエル・ロブション
マロンカシス
いや、きのこ…だってもう、こんなん欲しいわ。
ただのネタ系ならまあ私の求めるところではないけれど、だってジョエル・ロブションやで。ブランドで選んでいる訳じゃないけれど、これまでの経験則から美味しいことしか考えられない。分からないからこそ食べるんだけど、さ。期待値は高い。
きのこ…。
恵比寿の店舗。
イートインできるよ、と書いてあるわりにはどこで…?と思っていたのだが、入ってみると確かに脇にある扉の先に、ある。
うっひゃ〜、一人で使うには申し訳ない絢爛豪華な椅子と、これどうやって食べるんだ?お上品に食べるの無理だぞ??という低いテーブル。
そんな小洒落た雰囲気とは相反して、先に席取りをしてレジで注文&受け取りをして自分で席に運ぶカジュアルタイプ。
ん〜、よく分からん。
奥様方のお喋りティータイムや若いちょっとオシャレカップルの活用は多そうかな。古風な気質の取引先のおじさんを接待するのとかにはあまり向いていないかも。
私は色々なお店の形態を楽しみたい旅人だから、「ふ〜ん?ほう?楽しい!」でOK。
さて、断面を…。
え。上のムースは想像以上に柔らかく、真っ赤なカシスソースが溢れ出す。
途中でフォークが止まる。
なんか、血っぽい…絵面やば…
それでも頑張って割ったが…インスタ、映ない。
Twitterなら大丈夫なのかなと思っている。
まあ見た目はどうあれ美味しいから美味しいので良し。
チャーミングな酸味はカシスのクリーム。ふわりとマロンムースの甘さに覆われている。マロンシャンティ―に包まれたビターなチョコがどっしり図太い感じでとても良い。上品で高貴で柔らかな雰囲気を醸すマロンが内に秘める赤と黒。力強く個性的ながらも、ちゃーんと統率されつつ着飾ってバランス良くまとまっていて。異なる味覚が口の中に広がって、なんとも楽しいい。
“土”に見立てたプラリネチョコレート。
いやこれはズルすぎる。だって美味しいよ、サクサクだよ、ザクザク。プラリネの甘さが、刺激的な塩気が、なんともかんとも…そりゃあ好きだよ。
楽しい。
特に見立て系なんて、印象にズバリと残るから、いつまで経ってもそのワクワク感を心に思い出せる。
それは確かに生きることの救いだよ。
ただまあ、それでもすぐに、別のことでしんどかったりもするし、別の楽しい記憶も求めてしまうし。
キリがなくどうしようもなく、この選択の多さこそがまたしんどかったりして、救われず、だからこそいつも救われている。
あぁなんて厄介な世界に足を突っ込んでしまったことよ。
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