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再訪の条件~フカガワセイジ 1894 ロイヤルキルンアンドティー~

リピートしたくなる店ってどんな店だろう。

気に入ったお店を見つけたらトコトンそのお店に通いつめる人は、まあ味が美味しくて接客に心地良さを感じ、そして雰囲気が自分に合っていたり・・・きっと自分にしっくりとくる要素と行きやすうさなどの行くための都合や理由が重なれば何度でもリピる。

私は真逆のタイプ。
できるだけ色々なお店に行きたい。
限りある人生、たとえば毎食違うお店に行ったって、とてもじゃないが行ききれっこない。だから「これは贅沢すぎる気がするし次の機会にしよう」なんてことはしない。いつだって自分にとって最良と思える選択をするのだ。まあ罪悪感と相談して我慢を強いることも多々あるが…しくしく。

そんなたった一度の出会いでそのお店のことを知った気になって、多くの場合その一度きりで終わってしまう。
でも最近は。
あまりに良過ぎてすぐまた行きたくなってしまうお店も多いし、季節限定を逃す気には到底なれないようなすっかりファンになってしまったお店もある。はたまた、時間をおいてふとまた行きたくなるようなお店もある。

そんなリピートしたくなるお店は、何が違うのだろう。今のところ一度きりになっているお店だってひとつひとつ私にとって素敵すぎる思い出だというのに。
そこに優劣なんて無いのに。

ずっと行きたいと思っていたお店があった。
再び行きたいと思っていた。

フカガワセイジ 1894 ロイヤルキルンアンドティー

チョコテリーヌが、あまりに美味しかったのだ。
美味し過ぎた。
そして私は知っていた。
スイーツがもう一種あることを。

20種もあれば見る分には楽しい。しかし1日経った頃には、どれほどの内容を思い出せるだろう。

一方で例えば二種なら…。
自分のと、もうひとつ。
そんなの、食べたい欲にて脳に刷り込まれるに決まっているじゃないか。

飾ってある5つの食器から選ぶことができる。
情報通だから、というか一度来ているからすんなりと分かる。
最初は富士山を選んだ。日本人だもの、和の心。
そして今回は…まあ視力が悪いからクッキリとは見えないのだけど、黄色が綺麗だなと思った。後から来た別のお客さんもそれを選んでいたし、このお店の画像を調べるとこの黄色の投稿がなんとなく多いような気がする。

ドラゴンかっくいい~。

中も良いのよ。

黒と白の対比というのは、もう本当になんにせよとても大変ウルトラ良い。中二病心にグサグサ刺さる。

シャリッ。
え。
予想外の食感というか舌触りというか溶け方というか…なんにせよ驚いたし、味にもまた驚いた。

ココナッツか。
これ程メニューを絞ったお店でココナッツ使うの珍しくない?
そしてこのシャリッはどう言葉に切り取れるだろう。

甘さを拡散させながらホロッとほどける感じは琥珀糖とかに近いんだよね。
でもあのオイリーな滑らかさはバタークリーム…いやいやもっと儚い感じ。

そんな軽やかな甘さは、しっとりずっしり、重くはないけど存在の輪郭が分かりやすいスポンジの味わいに、ちゃんと乗る。

全体的には凄く甘いと思う。
甘いに甘いをかけて、それは案外クラシカルな味わいで。
シンプルな美味しさの奥に眠るポテンシャルを引き出す紅茶との相性が非常に良いのよ。

食器とスイーツと飲み物が可愛いお店は、とてもポイント高いよ。

1歩目のハードルは高い。
しかし2度目の心のハードルも案外高いものなのよ。
そしてそこを乗り越えると……

あのメニューを食べてみたい。
そんな想起がありますか。

きっかけはきっと、ほんの少しのひと押し。


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