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自分の「普通」は誰かの「変」かもしれないけれど~カフェ・ド・巴里~

門限の決まっている真面目なご家庭でずっと実家暮らしの人や、しっかりと終電で帰ることが常識にある人にとっては「朝帰り」なんて自分の世界線には存在し得ないことかもしれない。

私も長い間そういう風に生きてきたから、気持ちは分かる。
とはいっても高校生までの話だから、流石にそういう機会はそもそも無かったと思うけれど、部活で帰りが遅くなることすら憚られて退部したくらいだ。そんな抑圧から解放された分、大学で一人暮らしを始めて以降、その辺りの制限は自分の中で思い切り緩めた。

飲み会は、途中で潰れない限り最後まで参加することにこだわった。
だから、音痴のくせに鉄カラなんかは、わりと行った。
「行こうぜ!」と言い出すのは、いわゆるウェイ系っぽい感じのカースト上位、リーダー格みたいな人で。
でも彼らは案外早く寝落ちして、結局徹夜が特別ではなく日常茶飯事なオタク連中の独壇場になる、というカオスさが好きだった。

全員終電で帰るような時には、私だけわざと終電を逃して、夜パフェチャレンジをしようとして失敗して、4時間くらい歩いて帰ったり。
なんとなく1人家で悶々としているのが物悲しくて、視力の悪さのせいで大して星の見えない夜空をぼんやりと眺めて過ごした夜もあった。

友達の家に遊びに行って、おしゃべりが弾んで夜が更けていた、とか。
彼氏の家で一晩過ごして、とか。
Barで偶然出会った人と一夜の過ち...なんてこともあるだろう。
私自身にそういうことがあったかどうかは、まあ言及しないでおこう。
人生には、色々ある。

そんなこんな「朝帰り」といっても多種多様にあるけれど、まあ大概は寝不足で、化粧の崩れた顔で「帰ってシャワー浴びて寝よ」とぼやきながら各々の帰るべき場所に帰っていく。
それが、多分”フツウ”なのだ。

私はどこまでも凡人な分、普通を嫌った。
多数であることを普通と定義した普通に溺れてしまうことが怖かった。
嫌われないように、浮かない様に、
自分の個性を押し殺して普通であることに徹した自分が嫌いだったから。

故に、私は「変だよ」と言われつつも不自然であろうとも、私が私であればこその普通を大切にする。
朝帰り後の私の普通は、カフェでモーニングを楽しんで、温泉に行くことだった。

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池袋でモーニング、といえば、「伯爵」に行く。
最後に行ったのは3年以上前か。
酔い潰れた後に行った、ちょっと苦い思い出。

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「めにゅう」が可愛い。

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スタバやドトールはあれど、さすがに7時台から空いている喫茶店は超貴重。が、そんなお店が池袋には「伯爵」の他にもうひとつある。
そちらが、伯爵に辿り着く前に目についてしまった。

カフェ・ド・巴里

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”おいしいコーヒーをどうぞ”
あ、はい。いただきます。
「入れ」という圧力をかけてくるね。

モーニングといえばお得なトーストセットを注文するのが普通。
そういうのも好きなのだけれど。
でもさ、トーストだったら、美味しいパン屋さんで食パンを買って家で好きなジャム付けて食べるわ、ってチラリと思ってしまうのよね。

だから、朝からケーキの注文ができるのなら、私はケーキを食べる。

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よし、ガトーショコラ。
...と思ったのだけれど、こちらは無かった。
朝だから、売り切れというか仕入の問題なのだろうか。

まあ、無いものは仕方がない。
ということで。
抹茶のロールケーキ

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可愛い。

鮮やかな草のような緑色のクリームに、抹茶らしい少し深い緑。
茶色のラインを薄くまとい、眩しい程の白が深緑の生地を走る。中央にチョコンと小豆。
クリームは、屋根の瓦みたいな塗られ方。

可愛い。

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フォークを”押し込んだ”時の弾力が、もの凄い。
モチィッとした弾力としっとり感。

抹茶クリームと抹茶の生地は、ほんのり苦味も漂わせつつ、凄く甘い。
バニラクリームと小豆が織り交ざり、さらに凄く甘い。
良き和の甘味、という感じ、とても良い。

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私がその高級感やシェフの技術に惚れ込むようなパティスリーのケーキは、ほどけるような、”食べる”という行為を邪魔しない舌触りであることが重視される。
でもこういう、プリンで言えば「懐かしの、卵黄たっぷり固めプリン」みたいなの。これはこれで、凄く良いのだ。

だからこそ、古くから愛されてきた喫茶店にも好んで行く。

休日は、モーニングからカフェ巡りをしようかいつも迷うのだけれど、結局迷っているうちにいつの間にかお昼で、なかなかできない。
だからこそ、そもそも朝から必然的に外出している朝帰りの機会を利用して、私はモーニングを楽しむのである。

そして、前日お風呂に入れていないことが多いので、そのままカフェ巡りを続けてしまうのは女の子としてどうなのだろう、ということで温泉に行く。
それはまた、別の話にとっておこう。

兎角、モーニングの後に温泉、そしてカフェ巡り。
それが朝帰り後の私が私らしくあるためのルーティーンだ。

誰だって、そういう「変だよ」という自分だけの普通をもっているものだと思う。それを”恥ずかしいこと”として隠したり我慢してしまう人がいるけれど、なんだか寂しいような。

皆が、それぞれの普通を謳歌して、尊重し合えればいいよね。
なんていうのは、綺麗ごとかなあ。

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とても良い朝!!

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