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シェフおすすめに身を委ねる(ダンデライオン・チョコレート)

ショートケーキ。
真っ赤な苺が柔らかそうな真っ白クリームの上に燦々と輝いている...。
ガトーショコラ。
ずっしりと、その身にどれだけのチョコレートを内包しているのだろう...。
チーズケーキ。
あぁ...更にレアとベイクドがあって。自分はどちらが好きだったっけ、このお店の推しはどっちだ、口の中にチーズの風味が広がる気がする。
モンブラン、フルーツタルト、ミルフィーユ、シュークリーム、あぁ、あぁぁ......。

スイーツのお店に行くと、並ぶその全ての子たちが「自分が美味しいのよ!」と全力アピールしてきて、しかし1つに絞らなければならない。
辛い。幸せだけど、辛い選択なのです。

そんな時に、シェフのおすすめが色々試せるテイスティングセットがあったのならば。
我々はただただ、シェフの自信を幸せと共に享受すれば良いのです。
素晴らしい。

*****
素敵なカフェがたくさんある街、蔵前に出掛ける機会がありました。
機会というか…カフェ巡りスポットに悩んだ末、持ってるカフェ本の表紙についていた蔵前の人気カフェ「喫茶 半月」に行きました。

とても素敵な喫茶店だったので、それはまた別のnoteに書くとして。

蔵前に来たら行きたいお店の筆頭に「ダンデライオン・チョコレート」があります。
世界10ヶ国以上のカカオ農園からカカオ豆を直接買い付け、選別、焙煎、テンパリング、成型、ラッピングまですべての高低を自分達のファクトリーで行っているという、世界でも有数のチョコレートにめっちゃ拘った美味しいお店です。

その日、既にカフェは3軒目でしたが、それでもやはり何としても行きたいという想いが揺るがず、まあドリンクだけとかテイクアウトで...くらいの気持ちで伺いました。

お店に入ると、ふわっとカカオの香りが...。
レジのところに並ぶ、チョコを使ったスイーツたち。
うっ...やっぱりお菓子も食べたいぞ……。

「ここでしか食べられないテイスティングセットおすすめですよ」

!!!ぐはっ!!!
おススメが並ぶその木の板を見て、理性さん、さようなら!気が付いた時には
「じゃあー…シェフズスペシャルひとつと——」
口に出していました。後に引けない。引かない。

*****
シェフズスペシャル(蔵前)

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辻(蔵前のシェフ):入社した頃からずっと考えていました。蔵前のシェフズテイスティングを開発する際に特に大切にしたのは「色合い」です。さらに素材とチョコレートが合わさることで互いが引き立つようにしています。シェフズテイスティングは一皿で食べきれることが重要です。1つだけ美味しくてもダメ。5種類のスイーツを食べきれるように、味のバランスとテクスチャーに気を配りました。

色合い!
確かに他店舗のシェフズスペシャルよりも色が圧倒的に鮮やかです。
それに、チョコレートを使用しながらも様々な果実などの組合せから非常にさっぱりと食べられる仕上がりで、5つもあるのに重たさを全く感じませんでした。

提供される時に、「右のカヌレからお召し上がりください」と言われます。
おすすめは、しっかりおすすめの食べ方に従います。
この順番にも意味があるようです。

1つめ:カヌレ(エクアドル産)

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最初のペストリーは、チョコレートの味がダイレクトに感じられるものにしています。

確かに、チョコが最もガツンと感じられる一品でした。
外側がカリッと。
中がぷるん、もちもちっとした食感。
標準的なカヌレよりも全体的に柔らかい感じがします。
噛みしめた瞬間、染み出して広がるように強いチョコ感が楽しめます。
穏やかな酸味とフルーティーなバランスで、フランボワーズを添えても良く合いそうなスッキリとした味わいです。

2つ目:クレームブリュレピスターシュ(グアマテラ産)

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チョコレートのナッツ感とピスタチオのコクがよく合います。しっとりとした食感に仕上げました。

惜しみなく苦味と甘さを繰り広げる、薄いブリュレ。
この層をパリッと割ると、ピスタチオの海!
”しっとり”、”なめらか”...?う~ん、その程度の言葉では表現できない...。
神戸魔法の壺プリン以上かもしれない素晴らしい口溶け。
ピスタチオの海が瑞々しく溢れ出して、幸せ度がぐんぐん上昇していくのを感じます。
その下には、ナッツ感豊かなチョコレートが潜み、さらに複雑な、飽きのこない構成となっています。

3つ目:タルトシトロン(ベリーズ産)

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チョコレートとシトロンのフルーティな部分が調和されたスイーツです。中盤で一度口の中を酸味でリセットし、食欲増進を計ります。

見た目の小ささと可愛らしさからは想像もつかないくらい、凄い酸味!
上のフワッとクリームから既にびっくりだったのに。黄色い、シトロンのクリーム?の印象が強烈です。
攻める攻める。
シトロンの味わいが強いので、その下に潜むチョコクリームの味わいがガツンと出てくることはないけれど、その酸味を心地よいものに調整する支えになってるのかな、という感じがします。多分。
なるほど、確かにここで先のピスタチオみたいな濃密な流れをリセットして一転。スッキリ爽やかな味わいにすることで、次への意欲が改めて湧いてきます。

4つ目:プロフィットロール(タンザニア産)

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わたしにとってキャラメルは南国のフルーツを連想させてくれます。タンザニア産のカカオが感じられるバナナのような風味は、キャラメルの酸味とマッチします。最後に向けて助走をつけます。

しっとり柔らかな生地は、噛むとちょっぴりシャクシャクと音を立てて、楽しい。
そして中にはもっちりムースが溢れんばかりに詰まっています。
チョコのムースはくっきりとした味わいながらもまろやかで、なるほどバナナのような風味です。
甘くて幸せだなぁ、もぐもぐ。

5つ目:ジュレ・ド・カカオフルーツ

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ラストはさっぱりとライチのような味が特徴のカカオパルプ(果肉)を使用しました。バラの香りで印象付け、華やかさとフルーティさを演出しています。

ここまで、〇〇産チョコと緊張感のある流れで、最後に転じてカカオパルプ。素晴らしい流れです。

真っ赤で華やかなソースは、単体だと非常に強い味わいで口の中がびっくりしますが、カカオパルプと交わることで、みるみるスッキリとした味わいに!
魔法のような、ミラクルな変化です。
なんだろう、空に綺麗な虹がかかったようなイメージがふつふつと流れてきました。
瑞々しい食感にプチプチが加わり、最後までしっかり噛んで食べるようになっているためか、寂しい余韻よりも、楽しかったー!という満たされた気持ちで終わることができました。

ドリンクはカカオパルプスムージーを!
スッキリ爽やかで美味しいです。

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シェフが様々な意図や想いを込めているのが伝わるスペシャルな5品。
食べる側としても真剣に楽しく挑むことができました。

ありがとう、ごちそうさまでした。
蔵前に来たら、やっぱりまたダンデライオン・チョコレートには立ち寄ろう。とても、最高に素敵なお店です。

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