悪戯よりも、美味しいお菓子を食べましょう~ピエール・エルメ・パリ~
悪戯かお菓子か。
トリック オア トリート!
10月31日、今日はハロウィンだ。
お菓子を下さい。
金曜日、職場の人に「もうハロウィンスイーツ食べられるのこの土日しかないんですよ~」と嘆いてしまったけれど。しまった…皆、別にそんな興味無かったかな。
そう思っていたら、友達がハロウィンの可愛らしい飴ちゃんをくれた。
めっちゃ嬉しいし可愛いし嬉しい。
「そういえば今年は、そんなに盛り上がってないね」と言われた。
各地のハロウィンスイーツが、である。
そんなことは無い。
確かに、メディアで連日話題になるようなものは無かったかもしれないけれど、でも盛り上がるところではちゃんと盛り上がっていた。
かくいう私も、今日ハロウィンスイーツの話題をするわけだが、明日からもする。ごめんな。
だってまだ、開封すら叶っていない冷蔵庫の中で眠っているハロウィンスイーツが色々あるのだから。
はい、いかにもハロウィンな雰囲気のある???
いやカボチャ男爵とかじゃないから「いかにも」かは微妙なところだけれど、ちょっと怪しげな雰囲気のある可愛らしいイラストだ。
パリを拠点とするデザイナー、ジュリー・ステファン・チェンによるものだが、さて、じゃあこれが何かと言えば日本でも大人気、ピエールエルメパリのマカロンである。
ディアボリックマン デリシュー
「やみつきになる悪魔的な美味しさ」を意味するハロウィンコレクション。
黒とオレンジとか、ハロウィンっぽいだろう??
そそられるだろう???
アンフィニマン ローズ
フワッと消えるのに甘い余韻は残る夢のようなクリーム。
しっとりでフワフワで、その外側の表面だけパリッポリなマカロン生地。
まさしく、私の理想とするマカロンの美味しさを、ピエールエルメはこの世に顕現させてくれている。
マカロンの神である。
ローズは、ピエールエルメのマカロンの中でも特にそれが顕著だ。
華やかな花の香りを残しながら、気が付くともう消えている。
舌にはフンワリとした心地の良い食感の余韻も感じられている。
ピエールエルメ、絶対ローズ風味のクリーム得意分野だよね?
力を入れているはずのとらやとのコラボだって、というか定番のイスパハンが、かな。ローズが主人公。
本当に、甘く柔らかで、気品がありつつも軽やかで可愛らしい印象的な魅力をもつ。一度食べたら虜になる。あの味を、時々フッと思い出す。
ピスターシュ
明るくて甘いピスタチオがたっぷり!!
クリームはもっちり滑らか、それだけでケーキになりそうだ。
ほんのりミルクっぽい甘さをもちながら、軽い爽やかさも持っていて。
凄くシンプルに、全身でピスタチオであることを語る。
「濃い」という一言に収まらない、ピエールエルメが故のピスタチオの濃さ。バニラの香りというか、少しオイリーな滑らかさを滲ませたガナッシュ感というか。濃いピスタチオ。でもピスタチオだけを投げつけられたような濃さとも違う。凄くシンプルなのに、シンプルじゃない。
だから、好きなんだ。
ジャスミン
え…何、この煌き。
ミルククリーム!って感じの、舌に触れるともっちりとしていそうで、けれど実際にはサラリと溶けちゃう甘いクリームに、ドキドキした。
ジャスミンらしい柔らかな良い香りを漂わせながら、ゆるやかに溶けていく。軽やかで爽やかな花の香りが、まろやかなミルクに馴染む。素敵なミルクティー。そんな余韻が広がって。
サックリとしたマカロンの欠片が、その中でキラキラと輝くように、小さく消えていく。
その一粒を味わう時間、それはとても穏やかな時間だ。
アンヴィ
カシスコンフィのたっぷりさがヤバい!!!
その濃い甘酸っぱさは、バニラとスミレの香り良い柔らかな味わいに包まれて、角のない丸いまろやかな味わいに馴染んでいく。
口に含んだ瞬間、「んんんnーーー!!」と声にならない叫びをあげるくらいに上がるテンションが、その優しいまろやかさによって落ち着いていくのだ。マカロンによって動く感情が忙しい。
「スミレ味」だなんて珍しいのに、ピエールエルメでは時々登場する。
多分、下手に使えば慣れないクセの強さが目立ってしまう。
それを、バニラと上手く合わせることでコントロールしているのだと思う。爽やかな甘い酸味が、フッと顔をのぞかせる。
最初にピエ―ルエルメはローズが得意、みたいなことを書いたけれど、バニラの使い方も本当に上手いなと思う。
バニラの奇術師とでも呼びたい。
輝かしい宝石を、大切に守っているみたいだ。
ジャルダン ドートンヌ
マカロンの食感は、お店ごとにかなり食感が異なる。
サクサクやねっちり、パリパリ。
生地とクリームのバランス。
かなり分かりやすく違う。
「マカロンって、どれも同じようなものでしょ?」という人はとりあえず「ピエール・エルメ・パリ」と「ラデュレ」のマカロンを食べ比べてみるといい。同じ「マカロン」というお菓子に集約していいのかと議論したくなるくらい違う。
しかし同じお店ならどうだろう。
これを食べて、同じお店でも商品によって違う、ということがよく分かった。ローズのクリームはフワフワ感が強いのだけれど、一方でこのかぼちゃクリームは、ホクホクとギュギュっと固め。全然違う。
そして凄く、とても安直な感想だけれど、めっちゃ南瓜である。
コーンも入っていて、これは、なんだ。
マカロンって、なんだ。
料理だ。
コース料理の前菜としてスープと共に出てきても全然違和感がない。
というかコーンってなんだ?え…コーン???
とうもろこし???
脳がバグる。
いやいやいや、かつてベルアメールでコーンのチョコだって食べたじゃないか。
南瓜もトウモロコシも、今や料理だけにはとどまらないのだ。
ショコラ アンフィニマン ヴァニーユ
バニラと甘いショコラオレ、ビターなチョコレート…
それぞれがそれぞれに、本当に香る。
ギュッと詰まっている。
シンプルだ。
でも「シンプル」ってなんだろう。
単純な1色では決して表現できないバランスの上で成り立つシンプルさがこのマカロンにはあった。
1色の「チョコ色」に見えるそのガナッシュは、全然1色なんかじゃなかった。
そこに込められた情熱はとても重いのに、けれど味わいはとても軽やかで、バニラの甘さと、コーヒーみたいなショコラのほろ苦い香りが入り混じった香りがふんわりと、口の中に漂っていた。
ハロウィンとかクリスマスって、普段スイーツをあまり食べない人でも食べたりするでしょう?
それって凄く素敵なこと。
私みたいに毎日スイーツを食べていたって、知らなかった世界が目の前にパッと開けて感動することの連続なのだ。
きっと世の中にたくさんの驚きと喜びが生まれている。
もしかすると、それがきっかけでスイーツ大好き人間が誕生するかもしれないね。
トリック オア トリート!
美味しいお菓子はいかがですか?
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?