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愛の形。〜ジャン=ポール・エヴァン〜

好きだと思ったものを何度もリピート購入する。
好きなものに出会えても、次の出会いを求めて違うものばかり購入する。

スイーツに関して言えば、私は圧倒的に後者だ。

どちらが良い、ということはなくて。
むしろ私は前者を選択できる人を尊敬する。

食べることに興味が無さすぎて、洗剤のように「いつもこれだから」という理由だけで同じものばかり繰り返すのは「勿体ないな~」と思ってしまうけれど。

リピート購入派の人の話を聞くと、実は結構こだわりが深かったりする。
自分の”好き”をよく分かっている。
商品が改良されていたりすると、すぐに気が付く。
愛が深い。

一冊の本を何度も読む感覚に近いのかもしれない。

でも私は、やっぱり色んなスイーツに出会いたい。
それは不安の表れでもあって。

初めての体験はドキドキする。
そういうドキドキの欠片を自分の中に数多く満たしていないと、いつか心の動かし方を忘れてしまいそうで不安なんだ。
誰かと、あるいは自分と対話する時。
たとえ自分の引き出しに一級品の磨き抜かれたダイヤモンドがひとつあっても、私はその魅力をきっと上手く変幻自在に切り取ることができない。
次々と披露できる拾い集めたビー玉が沢山ある方が、安心するんだ。

なんてことが多分、心に根付いているのだと思うけれど。

まあ、そんな難しくアレコレ考えずともいいか。
有限な時間の中で、色んなスイーツを見て味わって感動する。
ただそれが、とんでもなく楽しい。それだけ。


だから、私が2回以上同じケーキを買うって、結構珍しい話。

*****
ジャン=ポール・エヴァン

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この箱。
カッコよくて可愛い、王者の風格さえあるデザイン。
これを目にしただけで、鼓動の音が少し速くなる。

「ドゥジャ ピスターシュ ポワソン レ」

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期間限定の中から選んだ。
じっくりと説明文を読みながら。

”ポワソン ダブリルをイメージした魚型のチョコレートデコール。
ピスタチオ風味のチョコレートとビターチョコレートのムース、ビスキュイショコラの組合せ

はい、好き!!!

ウキウキと購入して、早速いただきます、
と一口...。

...おや?おやおやおや?

もちろん、「おいしい~~!!」と踊り狂っている自分もいるのだけれど。
一方で、広がるチョコの美味しさの在処を見つけようとする自分もいる。

これは...知っている。
自分の中にある味だ。
いつか、どこかで出会った、あの味だ。

そうだ、昨年もこれ、食べたわ。

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成程、上に魚型のチョコが乗ってるあたりが期間限定なのね。

昨年。

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今年。

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同じような角度で撮っているけれど、今年の方がより愛を感じる気がするなあ。チョコ愛が育まれている。

そして説明文を読んで同じケーキを買っちゃうあたりは、好みがぶれていない証拠だ。
「そうそう、コレが美味しいんだよな!分かる?うんうん、分かるわ~」
過去の自分にもの凄く親近感がわく。

”好き”を見つけたらリピート購入する人の気持ちが、少し分かった気がした。


何層にも重なるこのケーキ、よく見ると、いやよく見なくても、チョコ一色だ。ビターな生チョコ、ミルクなチョコムース、しっとりと染み込んでスポンジと分類するのかさえ悩んでしまうスポンジ、パリパリのチョコ…。

こんなにチョコ尽くしなのに、全然重たくなくて。
むしろエヴァン様のチョコケーキにしては非常に軽め。
そして、濃厚!

「濃厚=重い」ではないんだなと、物語っている。

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魚、可愛い。

**

「うっかり」からのリピート購入だったけど、これはこれで心踊るものがある。
過去の自分と今の自分。
どう感じるのか、同じところもあれば違うところもあって、それが面白い。

やっぱり今は、
色々食べて味覚の世界を広げたい想いが強くある。

けれどいつか、10年後、20年後…コレが我が人生を物語る味だ!と語れる"好き"が見つかるかもしれない。

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