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そこにお店があるのはずるいよ〜ジャン=ポール・エヴァン〜

その立地はズルい。

飲食店にとって、立地は非常にとてもパワフル大事だ。
親ガチャなんてワードが問題になったけれど、人生はやっぱり家庭環境にはどうしても大きく左右されるもので、そのくらい大事なものだ。
って思いかけたけど、それは違う。

立地は戦略的に選べるものだし、お隣に大きな商業ビルが建ってお客さんが減ったりするのは運が悪かったにしろ、悪くなれば変える事だってできるのだ。家族との縁に比べたらなんのその。

とはいえ、やっぱり売上を大きく左右するもの。
地域活性化だったり、わざわざ求めてきてくれる質の良いお客さんを大切にするためだったり。意図していきにくいところにお店を構える場合もあるけれど。基本的には人がたくさん通る、思わず立ち止まってしまうような立地が良い。

そういう点を踏まえて、新宿伊勢丹にあるジャン=ポール・エヴァンは大変にずるい。まさに出入口のところにある。

あの価格でフラリと立ち寄るなど恐れ多いにも程があるのに、それでも何の魔法か「つい...てへっ」をやってしまう。
やってしまった。

はぁ...この日はその前に別のお店でモンブランを食べたばかりだったのに。

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流石に、超超美味しそうだけれど、更にケーキは罪深いが過ぎる。
でも、ボンボンショコラとマロングラッセくらいなら大した罪悪感でないのでは?うん、大丈夫。

はあぁぁ~~~、待っている間、カウンター越しに店員さんがカシャカシャとチョコを混ぜている様子を見られる。め、めちゃ上手っ!!!手際が良過ぎる。チョコの女神に愛されているかのような店員さんだった。

さて。
ムニュ ノエル アドヴェント

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美しいお菓子は永遠に見ていたいが食べたい!という矛盾の呪いにはよくよく苛まれるけれど、なるほどそれはスパークリングのドリンクにも言える。

小さな泡が下から上へ、下から上へ。
幼い頃、今でも、床屋さんの赤白青のくるくるを永遠に見ていられた。
自分と世界の時が止まって、まるでその一点にだけ動きがあるような。そんな感覚。

でも泡が出ているということは、つまりは炭酸が抜けているのだ。瞬間瞬間、味が落ちているということだ。うっとり眺めている場合ではない。早く早く!!

キンキンに冷えてキリッとした爽やかさに葡萄の甘さを滲ませたサラサラのシャンパンが喉を刺激的に潤す。

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この2つ、単体でも恋焦がれていたものの、まだ縁の無かったものたちだ。
とうとう、私の目の前に。ワクワクする。

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おっ、おおおう!!!
ちょっと食べたところで申し訳ないけど、中が、中が白いよ!!!
チーズだから当たり前なのかもしれないけどさ。このダークなチョコの中にたっぷりの白。こんなん、なかなか無い。
そういえばビターチョコのなかのミルクチョコ、とかならあるのに、ホワイトチョコってあまりガナッシュとして入らないよね。

チーズのガナッシュはフワフワと、サラサラと滑らかで。凄くエヴァン様々なガナッシュの舌触り。
爽やかなインパクト強つよチーズ。でも、甘くて。単体でもきっと凄くスッキリとして美味しいのだけれど、ダークのピシッとした味わいと溶け合うことで、口の中に広がるコク深さというか奥行も何もかもが幸せいっぱいに膨らみ膨らむ。チョコの物理的な薄さがまた、大変良い。繊細に上品に、チーズの良さを支えて強調する。

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マロンというものは、とても美味しい。
ボックリとした、あの柔らかく芯の固い、でも朗らかな食感が最高に粋。
それが果たしてマロンそのものの甘さなのか、滲んだ砂糖の甘みなのか。
分からないし、きっとどちらでも良い。
ただ、甘く、深く、甘い。

表面に見える、砂糖と分かる味わいと舌触り。
それに、染みきってもう存在の見えなくなった砂糖。どちらも違う甘さで、同じ甘さ。家族のようなまとまりが感じられる。

印象的に、甘い。
ひと口ひと口に酔いしれる、とんでもない甘さ。
それはそのまま、贅沢さだ。

高級店のマロングラッセって1粒で500円位するものだから、ちょっと手を出しにくいなあと思っていたけれど。でもこの満足感ならね。買っちゃうのも分かる。私もまた買っちゃいそう。


さあ、来週あたりにまた伊勢丹新宿に行く用事があるのだけれど。私はこの誘惑に勝てるのでしょうか。負けていいかも…って既に思っているところから、完全に永久にエヴァン様には勝てない。

美味しいが、正義だ。

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