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愛用、共感、支持。3つのファンタイプを理解して「ファン」の一括りをやめよう!

「ファン」と一言で言ってもその中にはさまざまなタイプが存在します。しかし、マーケティングの場面などで抽象的な話題になるほどファンをひとまとまりで捉えてしまいがちです。その結果、ファン一人ひとりの異なるニーズや関心に対応しきれず、せっかく築いたファンとの関係を最大限に活かせないケースもあります。

この記事では、ファンを「愛用」「共感」「支持」という3つのタイプに分けて考えることを提案します。彼らが本当に求めているものや、プロダクトやブランドへの期待をより深く理解することができるはずです。話をカンタンにするために、ここからはファンの対象を「プロダクト」、そのプロダクトにまつわる世界観や価値観を「ブランド」と表現することにします。

「愛用型ファン」は、プロダクトを生活の一部としている存在です。彼らは日常の中でそのプロダクトを使い続けることで、そのブランドとのつながりを深めています。一方で、「共感型ファン」はブランドの世界観や価値観に共感しています。そして、「支持型ファン」はプロダクトやブランドへの支持を表明し、その魅力を他者に積極的に伝えたり応援したりしてくれるのです。

それでは、なぜこの3つのタイプに分けることが重要なのでしょうか?それは、ファンのタイプごとに異なるニーズや期待に応えることで、彼らとの関係をより深く、強固なものにできるからです。この記事では、「愛用」「共感」「支持」という3つのファンタイプを掘り下げ、それぞれの特徴を解説します。

それではいきましょう!



愛用型ファン:機能的価値によるファン化

愛用型ファンとは、主に製品やサービスの機能的価値に惹かれてファン化する人々を指します。彼らは、プロダクトの性能、品質、使い勝手、コストパフォーマンスなど、具体的な機能的要素に高い評価を持ち、そのブランドを長く利用する傾向があります。毎日のスキンケアに欠かせない化粧品、自分にフィットしたランニングシューズ、仕事で必須の文房具など、日常生活に深く根ざした製品が愛用型ファンを生み出しやすいのです。

愛用型ファンの特徴は、プロダクトとの深い日常的な関わりにあります。彼らは単なる一時的なブームに乗るのではなく、実際の使用体験を通じてプロダクトの価値を実感し、その結果としてファンになります。

愛用型ファンはプロダクトのブランドイメージよりも、その機能性や効率性を優先して評価します。また、一度気に入った製品やサービスを見つけると他の選択肢に目を向けることなく継続的に利用します。使い慣れた製品の安心感やブランドへの信頼感が高まるからです。

愛用型ファンの存在は、企業にとって貴重な資産です。彼らは安定した売上をもたらすだけでなく製品改良のための貴重なフィードバック源となるからです。

しかし、機能的価値だけでファンになる人を増やすことにはリスクもあります。競合他社が同等以上の機能を持つ製品を開発する可能性は常にあります。そのため、機能的価値に加えて、ブランドの世界観や価値観など、情緒的価値も同時に育んでいくことが重要です。


共感型ファン:情緒的価値によるファン化

共感型ファンとは、ブランドの世界観や価値観に共感し、その情緒的な側面に惹かれてファンになる人々を指します。彼らはプロダクトの機能的価値以上に、ブランドが目指すものに魅力を感じているのです。共感型ファンにとってそのブランドは自身を表現する手段ともなります。

共感型ファンが生まれる背景には、現代社会における消費者意識の変化があります。人々は単に物を所有することよりも自分の価値観に合った選択をすることに意義を見出すようになっています。そのため、共感型ファンの獲得にはブランドストーリーの強化が効果的です。創業者の想いやブランドのビジョンを積極的に発信し、ブランドの「らしさ」を伝えるのです。

共感型ファンを増やすことはブランドの長期的な成功にとって極めて重要です。しかし、それは単なる企業都合の戦略ではなくブランドの世界観と価値観に根ざした活動でなければなりません。共感型ファンは企業の発信内容に敏感で、世界観や価値観との不一致を感じた際には批判的な態度に転じる可能性もあります。そのため、企業は常にブランドの掲げるメッセージとの一貫性を保つ必要があるのです。ブレずにブランドを表現し続けることで、共感型ファンとの信頼関係が育まれていくでしょう。


支持型ファン:意味的価値によるファン化

支持型ファンとは、プロダクトやブランドに意味を見出し、積極的にその価値を他者に伝える人々を指します。彼らは単にプロダクトを愛用したり、ブランドの世界観に共感したりするだけでなく、そのブランドが社会やその構成員である個人にとってどのような意味を持つのか理解し、その存在意義を認め、応援する存在です。

支持型ファンの存在の背景には、現代社会における消費の意味の変化があります。人々は単に物やサービスを購入するだけでなく、その消費行動になんらかの意味を与えたいと考えるようになっています。このため、社会的インパクトを重視するブランドや、イノベーションを通じて新しい価値を創造しようとする企業が支持型ファンを獲得しやすくなっているのです。

支持型ファンを増やすには参与の機会を提供するのがいいでしょう。プロダクトやブランドの意思決定プロセスに参加できれば、支持型ファンはそのロイヤリティを一層高めるはずです。また、その意思決定がもたらす変化や社会的インパクトを定期的に共有することも有意義でしょう。

支持型ファンは、他のタイプのファンとも相乗効果を生み出します。愛用型ファンがプロダクトの使いこなしを共有し、それを支持型ファンが広めることでより多くの人々にプロダクトの価値が伝わります。また、共感型ファンの情熱と支持型ファンの行動力が結びつくことでブランドのメッセージがより強力に発信されるようになるでしょう。


まとめ

ファンを「愛用型」「共感型」「支持型」の3つのタイプに分類し、それぞれの特徴と重要性について掘り下げてきました。これらのファンタイプを理解し適切に増やしていくことが、プロダクトやブランドの成長につながります。

愛用型ファンはプロダクトの機能的価値に惹かれ、日常的に使用することでブランドとの関係を築きます。共感型ファンはブランドの世界観や価値観に共感し情緒的価値を見出します。支持型ファンはブランドの意味的価値を積極的に他者に伝え、その成功に貢献しようとします。

これら3つのファンタイプは静的なものではなく、時間とともに進化していくでしょう。愛用から共感へ、共感から支持へと移行していく過程で、ブランドとファンの関係はより深く、強固なものになっていきます。

(補足)ブランドやプロダクトによっては、「愛用」していないが「共感」はしている、「共感」はしていないが「支持」はしている、というケースもあるので、必ずしも「愛用」→「共感」→「支持」という順番で積み上がっていくわけではありません。

これらの3つのファンタイプを個別に捉えるだけでなく、その相互作用に注目することも重要です。ファンとの関係を「双方向の対話」として捉え、さらにファン同士の関係性も生まれるコミュニティを形成するのです。これにより、ファンは長期的にプロダクトやブランドと信頼関係を結び、異なるタイプのファン同士が熱量を高めあうことでさらなる共感や支持を伝播することが期待できます。

今回提案したファンタイプの3分類が、ファンとのコミュニケーションの前提となり、長期的で深い関係構築のお役に立てば嬉しいです。



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