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バランスのもんだい

まるでカップルだね、ときみが言った。
神社の社と、木のことだ。
なるほど、不思議なバランスが取れている。
きみはふざけてぼくに寄り掛かった。
ぼくは踏ん張ってきみを支える。きみが思いきり体重をかけてきて、ぼくはつんのめってしまった。だけど、きみが地面に倒れないように何とか支えた。
きみの体は華奢で、少し筋張っていた。ぼくは思いっきり抱きしめたくなった。
そんなことをしたら嫌われるかな。
躊躇していると、きみはぼくの胸にひたいで触れた。
「バランスが大切、だよ」
ぼくはきみをそっと抱きしめる。

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