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田辺聖子『ジョゼと虎と魚たち』(角川文庫)

 同名の映画をいつか見たいと思って読んだ。田辺聖子という作家は知っていたし、エッセイなども読んでいた。しかし、小説を読んだのは初めてかもしれない。色々な意味で予想を裏切られた。テレビでよく見た、可愛い年配者というイメージと違って、(もちろん作者が若い頃の作品であるが、)その小説はびっくりするぐらいエロティックだった。許されない恋、的な舞台設定も多かった。ある意味、関西文化圏の、やや古典の情緒寄り、という印象だ。そういうのが文学の一つの動機というかネタなのだなあと思った。小説を読まなくなってかなり経つが、久しぶりの小説、まずまず楽しめた。

角川文庫 1987.1. 600円(税別)

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