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黒猫ピスタチオの旅立ち【WACK】【おてて絵本】

         📙おはなし📚


ピスタチオは、心優しい黒猫です。
ノオト村に住んでいました。

引っ越してきた人に、村の歩き方やお店の場所を教えました。
迷っている人を道案内しました。
おなかがすいている人にたべものを分けました。

みんなピスタチオを大すきでした。


ピスタチオは音楽家です。

かっこいい曲や美しい曲を次々に作りました。

住んでいる人のために作った曲がたくさんあります。
ノオト村の人が書いた詩やお話に曲をつけるのも上手でした。

作られた曲を村の歌姫・kikiが歌いました。
みんなうっとりと聞きほれました。

ピスタチオは小説家でもありました。
人の心をじんわり温めました。

みんなピスタチオを大好きでした。
ピスタチオもみんなを大好きでした。


ピスタチオは夜が好きでした。
静かにひっそり過ごしていました。

ノオト村は人がふえて、どんどんにぎやかになりました。
ピスタチオは人気者で、いつも呼ばれました。

ノオト村のみんなとのおしゃべりは、いつも盛り上がります。
ピスタチオも会話を楽しみました。

親友のフリーザが冷蔵庫からごちそうを出して、ふるまいました。
音楽が流れ、お酒を呑み、夜が更けていきました。

フリーザとピスタチオはとても仲よしでした。
時どきいたずらを考えて、大笑いしました。

一人で過ごす時間が減りましたが、毎日楽しく過ごしました。
「こういう時間もいいな」


みんなピスタチオを大好きでした。
ピスタチオもみんなが大好きでした。

ときどき、チリリとピスタチオの胸が痛むことがありました。
「どうしてだろう・・・」


あるとき、モンキータイムといういたずらものが、「金貨1枚であだ名をつけるよ」と村の掲示板に書きました。

ピスタチオは金貨を出して「あだ名をください」とお願いしました。
モンキータイムは冗談のつもりだったので、困ってしまいました。

でもちゃんとあだ名をつけました。
「クルクル・ワイワイ」

みんな大喜びで二人を囲んでお祭りをしました。
輪を作ってクルクルまわり、ワイワイと盛り上がりました。

みんなピスタチオを大好きでした。
ピスタチオもみんなを大好きでした。

ときどきチリリと胸が痛みました。
「なぜだろう・・・」

モンキータイムはもらった金貨で手紙を書いてもらうことを考えました。
「好きな人に手紙を書こうよ」

切手代とプレゼントを用意しました。
村中にしあわせな手紙とプレゼントが届きました。

みんな、ピスタチオとモンキータイムに感謝しました。

ピスタチオはしあわせでした。


ピスタチオは村の勇者・ワディと村の教会の前で会いました。

ワディは村のあちこちに、突然姿を現します。
「ピスタチオ、今度またいっしょにやりたいことがあるんだ」

「そうか、ワディ。いつでも声をかけてくれ」
ピスタチオはにっこり笑って、答えました。

ワディは歩いていくピスタチオの後ろ姿を見ました。
いつもと違うような気がして、首をかしげました。

「・・・どうしてだろう?」


家に帰ったピスタチオは一人で考えました。

とても楽しくて、しあわせだな。
いつまでもここにいたいな。

でも胸がチリリと痛みます。

どうして痛むか、今はわかっているんだ。
ぼくにはやりたいことがある。
それにはとても時間がかかる。
みんなと一緒にいると、楽しくて時が立つのを忘れる。
どうしたらいいのだろう。

ピスタチオは考え続けました。

ここにいたら、声をかけられたらおしゃべりをし、誘われたら出かける。
楽しいし、とてもしあわせだ。
でもここにいたらぼくは、どうしてもやりたいことができない。
みんなのことが大すきだから、もっともっと一緒に過ごしたくなる。

ピスタチオは涙を流しました。
考えて、考えて、決めました。

次の日、一人で静かに荷物をまとめました。

手紙を書いて、何人かに届けました。

「やりたいことができたら、また帰ってくるよ」
「ありがとう、みんな大すきだよ」

夜が明ける前に、ひっそりと静かに家を出ました。

ピスタチオがノオト村から出るとき、夜が明け始めました。
光が射し、ピスタチオの瞳がキラリと輝きました。



※私が書いていいのかな。そんな迷いもありましたが、どうしても書きたくて、書きました。ピスタチオさんに感謝を捧げます。
もっとたくさんの方を登場させたかったのですが、長くなりそうで、ここまでになりました。ごめんなさい。

たくさんの方がピスタチオさんへの記事を書いています。

フリーザさんがまとめてくれています。

やっと【WACK】に参加できました。

書けていなかった「ふわっとゆるっとおてて絵本」にも参加しました。
締め切り後なので、入らなくてもいいです。書いてみたかったので。

ピスタチオさんの帰還を心からお待ちしています。


wack千都子



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