父の言葉をオブラートに包まないで持っている
「こんなに目の前にあるのに、探せないお前らが悪いんだ」
吐き捨てるようにいう父。
私が10歳くらい。
父が眼鏡を探していたので、母と姉と3人で探し回った。
何分も探して、目の前の本棚の手前のスペースにあるのを見つけて、
「あったよ」と渡した。
ちょっと誇らしげに。
「ああ、そこか」とだけいって、受け取った父に対して
「え~、あんなに探したんだから、お礼くらいいわないの?」
と笑いながら、軽く抗議の声をあげた。
その時の、父の返答だ。
「こんなに目の前にあるの