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スノースマイルという憧れが実現した話をさせてほしい

BUMP OF CHICKENの”スノースマイル”という曲をご存知だろうか。
この一文だけでタイトルの意味を察した人は、同士と呼ばせてほしい。

私の中高生の勉強のお供は基本、BUMPとELLEGARDENのアルバムたちであった。その中のひとつである思い出の曲が、このスノースマイルである。

名前からして、寒くなってきたこの時期にぴったりの曲なのだが、ここで冒頭の歌詞を少し紹介させていただこう。

冬が寒くって 本当に良かった
君の冷えた左手を
僕の右ポケットに お招きする為の
この上ない程の 理由になるから

ふじくんの優しい声と、この歌詞が最高にマッチするのです……そして歌い出し、北風ぴゅうぴゅうだった2人の間を、ほっこりとした温かい空気が包むのです。

これを彼氏ができたら絶対にやってほしい、と十代からずっと思ってた。大学生の時に、実は同じ願望を持つ後輩男子と巡り合うことができた時のこと……

私「こう、寒いとさ。スノースマイル思い出さない?」
後輩「あーめっちゃ分かります! ポケットにお招きするやつ!」
私「そうそれ! やりたいわー!」
後輩「俺も彼女できたらやりたいっす!」

ここでもし私が彼に気が合って、なおかつ小悪魔系の可愛い系女子な上に酒もそこそこ入っていたら、

「試しに今、やってみない?」

なんて言って甘酸っぱい青春が始まっていたのかもしれないが、残念ながら私はそんな質ではないし、彼とも普通の先輩後輩関係を築いていたし、向こうの彼女できたらって言い方が完全に私を恋愛対象に入れていないのも分かったので……

「な! お互い頑張ろうな!」

と返したのだった。

だがしかし、時は来た!
そう、今の私には彼氏がいるのだ!
そして、ここ最近本当に寒い。少しポケットから手を出しているだけでも、末端冷え性の私の手はすぐに氷の手と化す。

ただ残念なことに、彼はスノースマイルを知らなかった。そのうえ、彼の手は絶賛ジーパンのポッケにインされている。ジーパンじゃ、無理やりもう1つ手を捻じ込むには無理があった。となると、もうこちらからお招きするしかない。

「手、貸して!」
「え、やだ。寒いし」 

あっけなく撃沈。しかし、ここで引き下がる私ではない。

「大丈夫、すぐ温かくなるから!」
「えー……じゃあ、一瞬な」

来た!来た!!来たーー!!!!!!

が、ここで彼の天邪鬼。手をグーにしたままこちらに突き出してくる。それじゃ手を繋げないと思っているだろう。ふふふ、それくらいで諦める私ではないわ!

グーの手をすかさずパーで掴み、そのまま自分のポケットへとお招きする(引きずり込む)。そのまま満足そうにしていると、やがて彼も諦めたのか指を解いて手を繋いでくれた。

「温かいでしょー!」
「いや、そっちの手冷たっ!」

そして、スノースマイルを口ずさみながら歩いていく。
寒さを口実にはできなかったし、男女も逆だったけど、まぁスノースマイルの歌詞だって、彼氏目線っぽいけど明言されているわけじゃない。僕っ子の女の子が、自分より背の低いパートナーの話をしてるのかもしれないし、ね……?

ただ、冒頭と間の歌詞が素敵ですっかり忘れていた。
スノースマイルって、失恋ソングだったわ。
以下、ラスサビ。

君と出会えて 本当に良かった
同じ季節が巡る
僕の右ポケットに しまってた思い出は
やっぱりしまって歩くよ
君の居ない道を

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