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吠えても世界は変わらないけれど

「けもなれ」の愛称で親しまれている今クールのドラマ、
「獣になれない私たち」。
昨日の放映で第9話を迎えた。

第1話を見た時の衝撃は今でも覚えている。
新垣結衣演じる深海晶の働く会社がまぁよくみるパワハラ・トップダウンの会社で。そして何より、私が務めている会社にそっくりだと思ったからかもしれない。

大声で飛んでくる上からの指示。仕事が遅いと怒鳴られる、嫌味は言われるの連続で、それに耐えながら仕事をこなす晶のその姿が、私を含めた同僚のように見えた。悲しい親近感のような、なんとも複雑な気持ちを抱いたのを覚えている。

今となっては「働き方改革」があちこちで謳われ、
「環境、よくなってますよね、ホワイトな会社増えてきていますよね」
なんて思っている方も多いかもしれない。
だけど、現状、そんないい会社は
・とても大きな会社
・そこそこ小規模な会社
のどちらかで真ん中くらいに位置する大多数の会社は未だに晶が働く
「ツクモ・クリエイティング・ジャパン」のようなんじゃないのかと思う。

幸せなら手をたたこうを歌いながら
胸に退職届という爆弾を忍ばせながら
恋のいざこざもありながら
耐えて耐えて耐えて耐え続けた晶がついに第9話で吠えた。

みんなが社長みたいにぱっぱと動ける訳では無い。ミスをするのは、
社長のせい。周りのみんなも黙って見ている。そんな環境を作り出しているのは社長だ。(大意)

だけど、社長に

文句ばかり言う奴はいらない。今すぐに辞めてしまえ、代わりはいくらでもいる。(大意)

と言われてしまう。

いつか投げてやろうと胸ポケットに忍ばせていた退職届という爆弾を
発動させる前に、社長から爆弾を、手渡されてしまい、晶は茫然として
しまうのだ。会社で自分が必要とされていると思っていたのにあっさりと
切り捨てられた現実は、彼女にとって辛いものだったろう。

この時、私も画面の前で茫然としていた。
やっぱりそうなんだな、という落胆を含んで。

私も今の会社を辞めたい辞めたいと思って結局5年が経ってしまった。
もはやここまで来たら辞める辞める詐欺のように思えてくる。
3年くらい前、ある事がきっかけで爆発寸前まで行った時にふと
次に閾値を越えたら辞めようと開き直った。
流石に胸ポケットには退職届は忍ばせていないけれど、そう思うことで
ほんの少し、変な方向につっかえていた魚の骨が取れたような気がしたのだ。

馬鹿馬鹿しい話だが、急に辞めたら上も困るだろうという小さな仕返し意識があったのかもしれない。

だけど、どんな会社に勤めようと代わりはいる。そのことは否定出来ない事実だ。認めてしまうには辛くて悲しい事実だけど、だったら獣になるしかないんじゃないか。

獣になって、思い切り吠えればいい。
吠えても吠えなくても、世界は変わらないのだから。だったら自分の心的環境を整備する為にも、大きく息を吸って、吠えるべきなんじゃないか。

第9話で晶が踏み出した1歩は、吠えるという勇気ある行動は、いつかきっと"吠えてよかった"と思う、その日のためにあるのかもしれない。たとえ会社を辞めることになったとしても、いつか自分の肥やしになるはずだ。

来週はいよいよ最終回。
獣になれないキャラクターたちの姿をしっかりと私なりに汲み取って解釈していきたい。

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