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がんばれ子供たち・・ピアノもだけど人生も

週に一度、たった30分のピアノ・レッスンですが、それが何年も続くと、トータルにして実の甥っ子よりも、長い時間をいっしょに過ごしていることになりますし、椅子にようやくよじ上っていた子の背が私と同じくらいになり、つまり幼児がティーンエージャーになり、時々茫然とするわけですが。

30分でなんとかその子のピアノのスキルを少しでも上げようとする中、過去25年以上にわたるティーチングの歴史の中で、レッスンの約3分の1くらいの時間を、生徒の人生相談のようなものに費やさざるを得なかったことがあります。

それは時に恋愛に関することであったり、友達、先生、親・・とさまざまですが、おかあさんに怒られた直後らしく、「ぼくのママはぼくのことキライなんだ!」とふくれっつらで入ってくる6歳の子の場合なら、「じゃあどうしておかあさんはあなたにピアノを買ってくれて、月謝を払ってくれて、車で送ってくれて、待っててくれて、家に帰ったらごはんを作ってくれるの?」的に3分で納得させられるのですが。

大人と子供の中間の年齢にいる子が、目に涙を浮かべて、ボーイフレンドに好きな子ができた、先生がアンフェアで学校を辞めたい、いやなことばかりで死にたくなった、などと言われると、「そっかー大変だね、はいじゃあ今日の曲弾いて」とも片づけられず・・

結局彼らも私に答えを求めているわけではなく、ただ話を聞いてほしいんでしょうね。

聞いてるうちに本気で腹が立ち、「なんなの、そのいいかげんな男、最低!」とか、「そんなわけわかんない人、先生の資格なくない!?」と言いたくなるのを抑え、「私思うけど、早く別れて正解だと思う、まだまだこれからいろんな人とめぐりあえるよ」とか「私も大嫌いな先生いっぱいいたけど、とりあえずちゃんと学校終わらせて早く自由になろうと思ってた」とか

親や学校の先生とは違う、ちょうどよい離れた距離にいるからこその、”ものわかりのよい大人”的な発言をしつつ、「わ、こんな時間になっちゃった、ピアノもちょっとはやらないと」と言うと、みんなそこはわかっていて、「OK」と笑ってピアノを弾いてくれるんですよね。

一度そんな子の一人が本土の大学に行った後、おかあさんにバッタリ会って話をしていたら、「あの子は音楽も好きだけど、先生と話すのがすごく好きだったのよね。 高校はいろいろ大変だったし、ピアノのレッスンは気分転換にもなっていたと思うわ」と言われてほっとしました。

ピアノの先生としては、願わくばピアノを弾くことが楽しく、癒しになり、活力になり、大げさにいえば生きるエネルギーになってほしいと思いますが、抱えている悩みがそれでは解決できないほど大きなものだったとしても、とりあえず週に一度のピアノのレッスンが、苦痛でなく楽しみであったなら、それは何よりもうれしいことです。

日本はもちろんのこと、ハワイで昔教えていた生徒たちも今や結婚してパパやママになったりしていますが、たまには「ピアノに全然関係ない話してたら涙が出てきて、先生が黙ってティッシュくれたことあったなあ」なんて思い出してくれることもあるのかしら。

ちなみに昨日の3歳の生徒は、お昼寝する時間がなかったそうで、眠気と闘いながら最初ぐずっていたのですが、なぜか私が鉛筆削りで鉛筆を削り出すと、突然そこに注意が向き、ぐずるのを忘れて(?)その後は普通にレッスンしました。

小さい子は小さい子なりにまた、いろいろ大変なこともあるわけですよね。

とにかく、子供なりにそれぞれの年齢で忙しい日々を過ごしている生徒たち、いろいろな困難を乗り越えて、たくましく人生を送っていってほしいと心から思います。

それにしても、ピアノのレッスンでは、こんにちは、おねがいします、はい、いいえ、ありがとうございました、さようなら以外の言葉を発しなかった私の子供時代。

1曲弾き終わって突然「先生、あのね今日の夜、うちカレーだって」と言える生徒がちょっぴりうらやましいです。

✨今日の英会話✨

I forgot about all the negative things when I focused on playing Beethoven Sonata.  ベートーヴェンのソナタを弾くことに集中したら、ネガティブなことは全部忘れていた。

これは実話です!

母や弟と喧嘩した時、一人で部屋にこもって好きな曲を練習していたら、いつのまにかイヤな気分も消えていました。

音楽の力・・ですね(^-^)










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