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第1部『地方から都市へ』それぞれを理解しながら地方の未来を創り出す人材育成

編集長@吉田です。

今回は「ちよだ地方連携ネットワーク」として2023年から実践している
地方自治体職員育成研修プログラム」について2部構成で書いていく。

第1部では、このプログラムを開始した理由やこのプログラムの狙いについて説明し、第2部では、このプログラムを実践中の長野県高森町の宮澤歩夢さんへのインタビューを交えて、プログラムの成果について振返ってみたい。

【第1部】地方と都市、民間と自治体、それぞれを理解しながら地方の未来を創り出す人材育成

現在、日本の地方においては様々な問題・課題が存在するが、その中でも人材不足というのは大きな問題となっている。
そもそもの人口減少という日本全体の問題はあるのだが、その他にも大都市への憧れや、労働環境の質(給与、やりがいなど)を求めて、都市圏へ流出している。
人材が流出することにより街の高齢化率が高まり、街の活気は失われ、、、と地方は人材流出をきっかけに負のスパイラルに組み込まれてしまう。

しかし、最近は都心においてもそんな地方の問題を感じ取り「都心の優秀な人材を地方へ」という動きが出てきている。

このような動きの中で地方でも積極的に都市の人材を獲得しようと動いているが、その多くが民間企業である。

自治体として都市の人材を活用している事例としては「地域おこし協力隊」があるが、これも期間が3年と区切られていることより、持続的な対策にはなりえていないのが実情だと感じる。

また、自治体や自治体職員自体が古い意識や体制のままで、受け入れる下地ができていない場合は、獲得した人材の能力を活かすことができず離れていってしまうケースなどもある。

このような実状の中で、「ちよだ地方連携ネットワーク」として、地方自治体向けに提案しているのが「地方自治体職員育成研修プログラム」である。

地方自治体職員育成研修プログラム

現在の地方自治体は、2004年の平成の大合併以降、行政改革による職員の削減や、国・県から市町村への約300件もの権限移譲が進められ、職員数の減少に反比例し仕事量は増大している。

職員一人にかかる負担は大きく、それぞれが孤立して自分以外の職員の仕事内容が見えないまま、孤独に仕事をしている現状がある。

このような環境は、新たな施策や改革に手を出しにくい風潮を生み、その結果、やりがいが感じられにくい職業として公務員の人気は下降しているのである。

自治体によっては、なり手不足や早期退職が大きな課題となっており、今後この公務員離れの傾向は大きくなると予想される。
職員の地元出身者の割合が下がり、災害時の対応など、公共の利益が維持できなくなる危険性も高まっている。

これからの公務員には、
チーム力でしなやかに課題を解決する能力が必要
となる。

民間企業や別業種で仕事をすることで、収益性やスピード感を意識し、チームで情報を共有しながら進めていく『仕事の在り方』を若いうちに経験することは、大きな意味がある。

こうしたことから、このプログラムでは、若手公務員が、期限付き(2年)で民間企業で働くことを提案する。
若手職員の育成が、魅力的な公務員を育て、魅力的な職場を作り、ひいては働いてみたい自治体となり、優秀な人材を受け入れていく土壌ができていくと考える。

研修の受け入れ先は、様々な地方自治体と連携をしている「ちよだプラットフォームスクウェア」。東京都千代田区神田という都会のど真ん中にある場所である。

ただ働く場所を変えるということだけだが、その働く場所を都会のど真ん中にある「ちよだプラットフォームスクウェア」にすることで、次のようなメリットがあると考えている。


1.自分たち地方自治体を外から見直すことができる

自治体の中にいる状態で自分たち自身を見直したとしても、毎日の生活を過ごしている場所を客観的視点で見るということは難しい。

自治体から一歩出て、違う場所より自分たち自身を見つめることにより、気づくことはたくさんあると感じる。

自分が住んでいたころは気付かなかった良いところに気づいたり、
自分が住んでいたころには気付かなかった、問題点に気づいたり、
自分が当たり前だと思っていたことが、当たり前じゃなかったり。

いったん都市へ出て、外から地元を見つめ直すだけで、新たな発見が多々生まれるはずである。

2.都市の人たちから見える地方自治体に気づくことができる

現在都市には多くの人が住んでおり、東京だけで日本の人口のおよそ10%を占めている。そんな多くの人がいる都市から人材を獲得するためには、まずは都市で暮らす人たちの気持ちを知ることが大切になる。

都市の人はどんな生活をしていて、どんな環境にいて、どんなことを求めているのか。都市の人から見たら自分たち自治体はどのように映っているのか。

それらを知ることにより、自分たち自治体が何を変えていかなければならないのか、何に取り組んでいかなければならないのか、を検討していくことができる。

都市で実際に生活したり、仕事をしてみなければわからないことがたくさんあるはずである。

3.民間企業の働き方を学び、今までの働き方を見直すことができる

研修期間においては、主に地方連携業務に携わるが、他にも研修先である民間企業の業務にも従事してもらう。

実際に民間企業の社員と一緒に仕事をすることにより、民間企業における収益性重視の考え方や、「柔軟な発想」「フットワークの軽さ」「意思決定のスピード感」を実感することができると考える。

民間の働き方を知ることで、今までの自分自身の働き方を見直すキカッケになるはずである。

4.他の地方自治体、近隣飲食店と連携することができる

ちよだプラットフォームスクウェアは地方連携を1つの事業として推進しており、全国各地の多くの自治体との連携事業を行っている。
今回のプログラムではこれらの連携事業にも携わっていただく。

それらの事業に一緒に携わることにより、他の自治体がどのような取り組みを行っているのかを直に触れることができるとともに、他の自治体とコラボした事業を立案し推進することもできる。

また、ちよだプラットフォームスクウェアがある神田近隣のアンテナショップや飲食店とも提携しているため、自治体の特産品のテストマーケティングや特産品を使ったディナーイベントなども開催することができる。

地元の生産者の方々が特産品への想いを熱く語るディナーイベント

このように物理的な環境(住むところ、働く場所、働く仲間、働く相手)を変えることは、その人にとって有益な経験になると考えられる。
そして、この研修が終わり、自治体へ戻った暁には、その自治体でよい意味での違和感を伝えることができる職員になっているはずである。

この研修で培った視点や考えが周囲へ影響を与え、
職員の考え方が変わっていき、
外からも優秀な人材が集まり、
活力ある街へとつながる

と考えている。

詳細は以下のページを参照ください。
興味のある自治体の方は、お気軽にお問い合わせください。


第2部では2023年から研修を開始している
長野県高森町の職員である宮澤歩夢さんにインタビューし、
この研修プログラムの成果や内容について詳しく書いてみる。


この研修プログラムについて詳細を聞いてみたいという自治体の方々のお問合せについては随時以下のフォームにて受け付けております。

どのようなプログラムなのか?
どのような契約となるのか?期間や人数などは調整できるのか?
などなど、お気軽にお問い合わせください。


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