[コラム] 異世界転生・召喚もの:アニメを楽しむための基礎知識
自己紹介のnoteでも書いたんだけど、私のアニメ鑑賞履歴は約30年間くらいのブランクがあり、2018年ころからまたやたら見始める…という経緯がある。
30年も触れていないと、完全に浦島太郎状態です。
で、一番驚いたのが、WEB小説原作のアニメが量産されている…ということだった。
◎異世界へのいざない
WEB小説に関しては私、全くノータッチだったので、この物語飽和状態が日本で起こっている現実に私は度肝を抜かれた。
しかも、ここ何年かの間に、あるジャンルが出現し、それが今や確固たる地位を獲得しているではないか。
それは、異世界転生・召喚ものである。
現実世界を生きる主人公が、ある日突然死んだり転移したりして異世界に来る…というタイプの物語だ。
それこそ星の数ほど作られていることを知り、なんなんだこれは…と一種の恐怖すら感じたのであった。
そんなこんなしているうちに、世界では新型コロナウイルスの猛撃が始まり、私達は家の中に閉じ込められた。
そんなころだったのですよ。
私がWEB小説を書き始めたのは。
そうして、私は「カクヨム」とか「小説家になろう」という巨大なWEB小説投稿サイトがあること知った。
そこに、めっちゃアップされていた。
異世界ファンタジーがっ!!!!
なんじゃこりゃ…!!!!
俗に言う「なろう系」というのが、この「小説家になろう」から世にでた物語のことらしいと知った。
それがいつしか、異世界転生もの=なろう系 みたいな感じになってきたのね。
もちろん「小説家になろう」出身じゃない異世界転生ものもあるので、ここでは「なろう系」というくくりにはしないことにする。
さて、さて、こうして、大量に物語が作られていることを知った私は、日本のWEB小説業界がこんなことになっているのであれば、足を踏み入れるしかないっ!! と思ったのだった。
というわけで、私は、WEB小説原作のアニメも順番に見ていくことにした。
※小説を読む気力が今の私にはないのごめんなさい。
見てみるとこれが面白いじゃないか!
そして、いくつか見てみると、これらの物語にはある種のパターンがあることに気が付いた。
特に、転生・召喚ものには「お決まり」が多い。
しかも、このようなタイプの物語が出現してから既に何年もたっているので、暗黙の了解というか、あえて説明のない設定や展開などがあり、前知識がないと戸惑う場合もあるかもと思った。
この記事では、異世界転生・召喚ものを楽しむために役立ちそうな基礎知識や、体系をまとめてみたいと思う。
ただし、私は上述したとおり、長い間アニメの世界からは離れていたし、転生・召喚系の物語もまだ氷山の一角しか知らない。
あくまでもド素人である。
ド素人の私が知って面白いなーと思ったあたりを中止ににまとめようと思うので、勘違いもあるかもしれない。
私と同じように、これから何か見てみようかな~という人のための、ちょっとした参考になればいいなと思い書くよ。
◎転生と召喚の違い:どうやって異世界へ行くか
現実世界の人間が異世界に行く物語の中には、大まかに分けて転生ものと召喚ものがある。
転生ものは、主人公が現実世界で死んでしまって異世界に転生するというもの。
召喚ものは、主人公が本人のまま(生きたまま)異世界へ召喚、もしくは転移するというものである。
・転生もの:死因の種類
転生ものでは、まず現実世界で主人公が死ぬくだりが描かれる。
その多くは交通事故のようだ。しかもトラック多し。
他には通り魔に刺されて死ぬとか、ブラック企業に勤めてて過労死とか、クラスの教室ごと爆破とかされて全員が転生するとかいうのもある。
中には自死するものもある。
これは転生もののお決まりであって、主人公が冒頭で死ななければならないのは理解するけど、その「死」に対する描き方によっては、私個人的に支持できないものもある。特に自死の場合など。
転生者たちは前世の記憶を保持したまま、異世界に赤子として生まれてくる。
死んでから転生するまでの演出は物語によって様々だが、わりとあっさりしているものが多い気がする。
私は「臨死体験」について興味があり少し調べたことがあるのだが、臨死体験をした人の多くが「光を見た」「絶対的な愛で包まれてるように感じた」などの高揚感を味わっているそうだ。
近年の研究では、死ぬ直前に脳内にドーパミンやエンドルフィンと言った快楽物質が放出されることがわかってきたそうな。
そして、その体験から生還した人の多くは、人生観が変わってしまう(いい方向に)とのことだ。
転生ものの主人公についても、そのようなことが起こっていることは、物語を進めていくとわかる。
だから、もうちょっとこの「死」から「生」への演出をがんばってほしい…と私は勝手に思っているのだった。
・召喚もの:転移の理由
召喚ものは、転生ものに比べてあまり決まったパターンはないようだ。
異世界の魔法を使うものによって呼び寄せられるとか、勇者として召喚されるとか、何か必要があって呼び寄せられているパターンが多い。
誰が自分を召喚したのかわからないまま物語が進むケースもある。
召喚ものでは、本人が自分自身のまま異世界へ行く。服装やその時持っていた物もそのまま所持している場合も多い。
何の前触れもなくいきなり異世界にいる…というパターンが多い感じである。
ちなみに、転生でも召喚でも、主人公たちの現実世界での様子はそれほど長くは語られず、物語が始まってわりとすぐに異世界に行く。
物語の中の主人公たちは、転生・召喚・異世界といった通常ならばパニック状態に陥るような出来事なのに、わりとあっさり受け入れてしまう。
自分に起こるとは思ってなかったけど、よくある出来事のひとつ…みたいな感じ。
日本では仏教が身近だし、転生をテーマにした物語は昔からあるので、「輪廻転生」の概念も受け入れやすい。
それに彼らが飛ばされる異世界は、私たちが子供のころから慣れ親しんでいるRPGの世界そのものである。
だから、主人公のみならず私達もこのような展開をわりと無理なく受け止めるのであるが、海外の人、特にアジア圏じゃない人が見たらどう感じるのかな~と興味が湧いてきている。
◎現実世界での主人公は
現実世界での主人公は引きこもりなどしていて、内向的で自分に自信がないタイプが多い。
(無論例外もあり)
年齢は10~40代とマチマチだ。
男性が圧倒的に多いが、女の子が主人公の物語もある。
なので、現実世界でちゃんと生きれなかった分、異世界で必死に生きようとする姿や、もっとうまく生きようとする姿が描かれている作品も多い。
このような展開が当たり前になってくると、若い世代に現世を諦めさせる影響があるのでは…との懸念も生まれるかもしれないけど、いくつか見てみた私の感想としては、逆に環境が変われば人は変われる可能性があるというメッセージのようにも思えてくるのであった。
主人公たちは生き抜く力強い。
決してダメな人間ではなくて、魂の強い人たちなのである。
◎童貞について
日本のアニメの主人公には童貞であることを強調するくだりがよく出てくる。
転生・召喚ものも例外ではない。
全部が全部童貞ではないけど、童貞率は高い。
なんでかな…と不思議に思っている。
さらに言うと、現実世界にいるころに、主人公に配偶者や恋人、子どもなどがいるパターンは私の知る限りではない。
これは、現実世界に未練を持たせないためか。
それにしてもわざわざ童貞を宣言する理由は何だろう。
別に童貞だろうがなんだろうかいいじゃないかと私は思うのだが。
これは主人公と自分は同等、もしくは自分の方がイケてると思ってもらうための仕掛けなのか?
そういう奴が成功していくのを見て爽快感を得る…とかそういう構造だろうか。
元からイケてる奴が成功しても面白くないということなのか?
そうだとしても、そんなに童貞を強調しなくてもよかろうにと思ってしまうのだった。
主人公が童貞…というのには他にも理由があるのかな??
酒造りをする巫女が処女でないといけない、みたいな理由が…。
◎転生・召喚先の世界
主人公たちが行く異世界は、ほとんどが「剣と魔法」のファンタジー世界である。
それは J・R・R・トールキンの「指輪物語」から脈々と継承されてきた、日本のRPGでよくある世界観である。
異世界とは言え、基本的には人間の世界であり、地球で言うと中世くらいの技術・文化水準であることが多い。
そこに、エルフやドワーフ、精霊、獣人がいたり、魔物や魔王などもいたりする。
なので、このれらの物語を楽しむためには、「指輪物語」もしくは日本のRPGの世界観を知っておく必要はあると思う。
魔法の名称とか属性とか、エルフやドワーフの立ち位置とか何の説明もなく展開していくからね。
これまでにも、このようなファンタジー世界が舞台の物語はたくさん作られてきたが、そこに、現実世界の記憶のある人物が主人公として投入されることによって、物語の幅が広がるのである。
最初にこれ発明した人はマジで天才かと思う。
◎神の存在
これらの物語の中には神的な存在が出て来て、主人公が何らかの神託を受けたりすることがある。
神の見た目は、キリスト教的なものもあれば、地球上のどの宗教にも属さないような姿のものであったりする。
主人公はこの神を尊敬している場合もあるし、小バカにしているような場合もある。
神的なものが一切出てこないものもある。
◎主人公の特性:スキルについて
異世界にやってきた主人公は、何らかの特別な能力を身に着けている場合が多い。
よくある能力はこんな感じ。
・主人公によくある能力 1:現実世界の知識
これは能力ではないけど、異世界においては特殊能力と言っていいほどの効果を発揮する場合がある。
例えば、中世の世界に現代人が行った場合に有利になるような知識はいっぱいあるよね、ってことである。
また転生者の場合、赤子から始まるので、異常に知能や精神年齢が高い子供として育つことになる。
・主人公によくある能力 2:能力を数値で見たり、相手のステータスをデータとして取得できる
ゲームのような仕様が付与されるケースだ。
視界にメニュー画面のようなものが表示され、自分や相手のステータスを確認したり、アイテムを格納したりといろいろできたりする。
このような仕様の物語では、どこかゲームの中にいるような雰囲気になる。
・主人公によくある能力 3:無詠唱魔法
魔法の世界では、詠唱によって魔法を発動するのが常識となっている設定が多い。
そんな中で、主人公は無詠唱で魔法を使えてしまうケースがよくある。
・主人公によくある能力 4:全属性の魔法を保持
魔法の世界では、個人によって属性があったりする。
火・水・大地・風 とかいうものだ。
普通はこの中から1つ、多くても2つとかなのに、主人公は全部持ってる! なんて設定もよくある。
・主人公によくある能力 5:ユニークスキル(主人公だけが持つ固有能力)
これは、その物語の代名詞ともなるほど、特殊な能力を主人公が持つという設定だ。
代表的なものでは「死に戻り」「大賢者」などがある。
このような能力を使って、主人公は最初からいきなり最強、もしくは弱小から始まって徐々に強くなり、結果最強になる。
弱いままという主人公もいるかもしれないけど私が見た範囲ではいない…。
あまりに能力が高すぎたり、簡単に強くなったりするとチートと言われる。
チートというのは元々はゲーム用語で、バグを利用した不正行為のことを指すが、転じて主人公が他のキャラクターと比べて明らかに強すぎる場合や、ずるいと思えるほどの特殊能力を持っていたりする意味で使われる。
このように、主人公があまり独力せずに最強になるパターンが多い理由は、汗臭い修行などを好まない視聴者(読者)に向けた作品になっているからという説がある。
なので、転生・召喚ものの主人公には魔法使いが多い。
剣術を鍛えたりするのは汗臭いからだろうか。
しかし、もちろん剣術の鍛錬をするタイプの物語もあり、私はそっちも好きなのだった。
なにしろ剣術を駆使したアクションシーンが大好きなので。
・剣術も鍛える主人公たち
・追放される主人公もいる
主人公と言うのはだいたいみんなに好かれるものなんだけど、中にはそうじゃないのもいる。
何らかの理由によって仲間外れにされてメインの集団から離脱し、鬼強くなって戻って来るというパターンがある。
それを総じて「ざまあ系」というらしい。
代表的なのに以下がある。
◎主人公の仲間たち
主人公は異世界に来てから仲間をつくる。
現実世界で孤独だったからと言って異世界でも独りを選ぶ者はいないようだ。
で、ここで驚くのが、女性率の高さw
剣士だろうが魔法使いだろうが何だろうが、主人公のまわりはマジで女の子ばかりなんである。
俗に言うハーレム展開である。
いつくらいからこのような構造が出てきたのかな。
私がよく見てた30年くらい前のアニメにはなかったよな。
一人や二人の男友達がいる場合もあるし、全然ハーレムじゃない物語も中にはあるけど、かなり多くの物語で、主人公はハーレムを形成する。
そこに恋愛感情があるかないかは物語によって大きく変わって来るけど、だいたい女の子たちは主人公にメロメロなのだ。
現実世界で全くモテなかった者が、モテモテなのですよ。
主人公の多くは規格外の能力を持っていてとても強い。
しかも異世界へ来るという経験を経ているせいか達観しており、そして優しい。
こういう主人公に女の子たちがみんな惚れちゃうのはわかるのだけど…。
我々の住む世では、女の子ばかりが集合して、しかもみんなピュアで、さらにみんな仲良しなんてことは、まずないからなっ!!!
まあ、ファンタジーということで。
そんな女子に囲まれた主人公はと言えば、それなりに性欲があってエロい目で見ている場合もあるし、その中の一人を一途に愛している場合もあるし、全員大切にはしてるけど恋愛の対象外としている場合もあるし、女の子として意識はしているけど誰にも手を出さない…というパターンがある。
ちょっと気味悪いのが「女の子として意識はしているけど誰にも手を出さない」である。
こと恋愛に関しては超絶初心になる主人公。
たぶん、この女の子たちは、主人公のものではないのだろう。
女の子たちは露出度の高い衣装を着せられていたり、やたらと胸を強調するような服を着てたりする。
女性である私はそのような服を見ると、ちょっと引きますよ。慣れてきたけど。
これはアイドルなのだ。
アイドルだから、誰かのものになってはならず、だから主人公はこの子たちに手を出せないのか。
なんか不憫だぞ、主人公…。
何にしても、男ばかり、女ばかりというのはこれからの時代はよろしくないのである。
ようはバランスの問題なのだ。
ジェンダー表現に偏りがあると私は違和感を覚えてしまう。
今後は、ぜひLGBTQも自然に交えていってほしいところである。
・ハーレム展開の物語の例
・非ハーレムの物語の例
◎女の子が主人公の転生・召喚もの
女の子が主人公のやつが見たい! と言う人のために、あつめてみよう。
私も見てないのたくさんある。順次見て行こう。
※現実世界で男性だったのが女性になるやつも含まれます。
◎まとめ
このように、ある程度のパターンが決まって物語が量産されていくのは、何も今に始まったことではない。
ロボットものや魔法少女ものだってそうだった。
こうして、転生・召喚ものは、新たなる物語の形式としてその地位を確立し、次から次へと新作が生み出されている。
今はそういう時代なのだと思う。
こんだけ数があると、その中でもヒットしている作品は、好みもあるけど、面白いと思っていいかと思う。
かなり突出したところがないと出てこれないと思うので。
だいたいタイトルがなんじゃそれ…という感じなのだけど、それは、星の数ほど作品群の中から、タイトルだけで興味を持ってもらえるようにする工夫が必要な土壌で育った物語なので、仕方ない…とスル―して、とりあえず見てみるのが得策だと私は感じている。
しかし、このように物語が飽和状態になると、いずれ異端が出現し、新たなるジャンルがそこから派生するのではないかと私は思っている。
この転生・召喚もの大量発生の後にはいったいどんなブームが来るのかな。
楽しみに見守っていきたいと思う。
(既にもう派生してたらごめん。知識不足。)
◎最後に私のイチオシを…
転生・召喚ものはとにかくたくさんある。
その中から私のイチオシを並べておこう。
※ちょいちょい入れ替わる可能性あり。
以上。
かなり長々と書いたけど、終わり~。
読んでいただきありがとうございました。
参考になった!という人はぜひスキをお願いします!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?