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[勝手に大橋ちよ賞] 短歌編 [十六夜杯]

十六夜杯の勝手に賞やります~。
これは公式ではなく私設賞です。どうぞよろしく。

短歌編。
詠み人伏せた状態で全歌拝見して選びました。

短歌はエモいですね。文字数が多いだけに、表現の幅が広がって面白かったです。
※各賞ごと並び順は投稿順です

◎勝手に金賞


電線のはざまに見ゆる名月の
光こぼして届くづらし

詠み人:つるさん

私、実は電線フェチなんですよ。
月と電線の写真をこれまでに何枚撮ったことか…。
なので、この歌で情景がばっちり浮かんだのでした。

つるさんの字も絵も素敵です。



くちびるが重なる前の2秒前
近づくきみの獣の匂い

詠み人:オラヴ153さん

上の句と下の句のギャップでぎゃふんです。
何かとてもわかります。
遥か昔ですが、私もそんな匂いを嗅いでいたかもしれない…。

で、それとはちょと違うんですが、獣の匂いと言えば、先に天国に行ってしまった飼ってたイヌの匂いがすることがあるんです。ふわっと。

姉弟のように一緒に育ったイッヌです。

外犬だったのでかなりの獣臭なのですが。遊びにでも来たのかなーと思ったりしてます。

ワンちゃんの歌も詠まれていたので、獣の歌と併せてそんなことを思い出しました。



ジョバンニの眼をよぎる流星が宇宙の底に吸われていきぬ

裏街でニヒルな犬が吠えている人工衛星軌道外れて

詠み人:汐田大輝さん

汐田大輝さんの歌は二首選んでいました。
どちらもとっても好みの世界観です。
眼→宇宙の底、裏街の犬→人工衛星など、視点がぐわっと大きく移動してかっこよいです。
絵に描いてみたい世界です。



俯いた首に日焼けの痕残りバス停の子の秋は深まる

詠み人:林白果さん

むむむ!!! なんかとてつもなくエモい!!!!
物語の始まりのワンシーンのような。

バス停の子がどんな子か、想像によって印象が変わる歌と思います。
小さい子として読むとほのぼのです。

私は年頃の女の子かもなーと妄想しています。
首筋に目が行ってしまうような。ぐはぁ…。

これも絵にしたい一首です。



ぐずぐずと居座る夏に遠慮して
勝手口より上がる秋かな

詠み人:かっちー(雪ん子⛄)さん

おとぎ話のような、絵本のような、漫画のような、そんなほっこりする場面でありながら、「え!? 秋、いつのまに!?」という実感も表していて、すごく面白い~と思いました。

自分が家の中にいる間に、季節がやって来ては去っていくようで少し怖さもあったりして。自分だけ時が止まっているような…。



漆黒の海に群がる幽霊の
すり抜ける手の狂おしき泡

詠み人:ひろ生さん

とても絵画的な歌!!! と思ったらひろ生さんの歌でしたのね!!
ひろ生さんの絵のように、読む人によって様々な印象を持てる一首かと思います。

私はわりと海が怖いです。昼間はまだよいですが、夜の海はとても怖いです。
命を産むけど奪いもする海。その暗黒面。
泡となって消えた人魚のように黒い海に引きずり込まれそうです。



天空を超えて次元の狭間までシュレディンガーの猫たちと行く

詠み人:四四田鹿辰さん

私には妄想癖があります。この宇宙という現象は何なんだ…と考え始めて朝になったり。
この人生は決まった運命の上を走っているのか、それとも単なる行き当たりばったりなのか。
それとも起こらなかった方の現実がどこかに存在して無限の平行世界を作っているのか。
開いてみるまでどっちも存在する未来をずっと追いかけている…そんな妄想をしちゃいましたよ。

すばらしい歌!!!!!



◎勝手に銀賞


ふるさとや車降りれば一斉に虫ら鳴く鳴くゆう涼風りょうふう

詠み人:リコットさん

子供のころから聞いてた声なのかなと想像してます。
虫の声と共に香りもしてきそうな歌です。



子守宮は生まれながらに自立して
地球の重み独りでに背負しょ

詠み人:緋夢灯ーhimutoーさん

人間は生まれたてでは本当に何もできないようで、でも、本能的にいろいろなことができてすごいなと思ったのを思い出しました。
子供はほっといても勝手に成長する部分もたっくさんありますね!



隠された秋の名前が現れる赤く硝子の色づいたころ

詠み人:につきさん

秋の真の姿。実は最強…みたいでかっこよいです。
ギャップ萌えにはたまらない感じです。

今年は特にそうですが、秋は急に秋になりますね。



階段を二段飛びして駆け上がるカメラ片手の満月の夜

詠み人:ゆずさん

シャッターチャンスって本当に一瞬なんですよね。
私も何度も、あ! いまこの空!!! と思いつつ立ち止まれなくて逃した情景がたくさんあります。
そんな気持ちが伝わってきました。



君のそば行きたいけれど柴犬の一歩たりとも動かぬ頑固

詠み人:白さん

踏ん張ってる姿が目に浮かびます。

うちにも、シェパードと柴のミックスの子がいました。
急に石みたいに動かなくなることあるんですよね。全身で「やだ」と言いながら…。
かわいいなぁ。



花尽きて人気も絶えしつるバラに秋明菊は今も寄り添う

詠み人:酒井にゃにゃこさん

バラと秋明菊を人間に例えると胸アツな物語です。
秋明菊のごとき友を決して失ってはいけないと思いました。



自分こそ傲慢だったと知った夜
朝日を受けて生き返れ、我

詠み人:恵子さん

昔の自分の言動を思い出して胸がぎゅっとなることがあります。
自分が間違ってたって気が付けたのがせめてもの救いと思いつつ。



柿を食べ栗に梨食べ林檎食べ
葡萄も食べて秋果満喫

詠み人:美味しい蒸しエビさん

いやはや食べましたねぇ!!!! かく言う私も食べましたよw
特に梨が好物です!!



ろうそくの炎のように揺らめいて夕日の方へ歩いて帰る

詠み人:葵花さん

その後ろ姿が見えるようです。
ふらっふわっと消え入りそうに歩いているところに夕日が力を送ってる感じがします。
夕日の方へ歩いているのがすごくよいです~。



以上です。
すばらしい短歌をたくさんありがとうございました!!!

★勝手に賞は、本当に誰でも勝手にやってよいのです★
ぜひみなさまも!!

▼俳句の予選ラウンド 投票は
10/30(日)20:00まで


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