「おばちゃん」が無敵な理由

おばちゃんは無敵だ。

年を取るほどずぶとく厚かましくなり、怖いものがなくなる。

自分が自他ともに認めるおばちゃんになった今、それを実感している。

以前はおばちゃんが無敵な理由がわからなかった。

・どうして、恥も外聞もかなぐり捨てて図々しく厚かましくなれるのか？

・どうして、どこにでも土足でずかずかと入り込んでくるのか？

・どうして、離婚して生活に困窮してもなお、明るいおばちゃんが多いのか？

しかし今ならわかる。

極端な話、命（と我が子）以外失って怖いものがないからだ。

失うものが少ないおばちゃんは本当に無敵だ。

女性はおばちゃんになるまでに

男性と比べ物にならないほど多くの理不尽に直面し、

男性と比べ物にならないほど、多くのものを失い続ける。

そしてこれからもずっと、死ぬまで、

男性が一生知らずに済む理不尽に直面しつづけるだろう。

十分な経済力を得る機会をことごとく奪われ、

社会で力がある男性に心身ともに殴られ、

自分が思い描いていた未来や希望をことごとく打ち壊され、

さらにいくつになっても男性による性的な嫌がらせを受け、

それに抗えば二次災害、三次災害、四次災害……を延々と受け続ける。

また、結婚すれば嫁ぎ先の男衆から何度も繰り返し

お前には人権などない

お前に人権を語る資格などない

跡取りを生まない女は人間失格

跡取りを産んでも何かあればお前が全部悪い

と、散々な仕打ちを受け続け、

籠の鳥のごとく世間からその行動を制限され続け、

たまりかねて声を挙げればさらに危険な目に合いかねぬ。

地べたを這いつくばるように

耐えて

耐えて

耐え続けた結果

無敵のおばちゃんが完成する

そんなわけでおばちゃんは逆境にめちゃくちゃ強い。

苦労して子どもを一人で育ててきた母はさらに逆境に強い。

ただでさえ理不尽を飲み込み嫌がらせを受け続ける女性の人生。

それで何かを失っても

なにふりかまわず　恥も外聞も捨てて生きていく。

おばちゃんは仕事を選ばない。

生きるためならなんでもやる。

それがおばちゃんの強さだ。

変なプライドなど持っていたら生きていけない。

生きるためにあえて男性に付き従う道を選ぶ人もいる。

だからこそ女性は強い。おばちゃんは無敵。

そういう生き方をさげすむ人もいるだろう。

人としてどうかと思われるかもしれない。

しかしどんな生き方であろうと

人生そのものからドロップアウトしなければいい。

死んだらすべておしまいだ。

女性の多くはそのことを本能的に理解している。

だから長生きする女性が多いのだ。

叩かれれば叩かれるほどおばちゃんは強くなる。

自分と我が子を守るためならなんでもできる。

多分男性が決してできない類のことまでやってしまう。

権力をものともしないおばちゃんも多い。

とにかくなにふりかまわずなんでもやってしまう。

怒ったおばちゃんは「最恐」だ。

多分冷静に考えれば恐ろしいことでもやる。

おそらく常識では考えられない行動にさえも出る。

それは歴史が証明している。

だから言う。

おばちゃんを舐めてはいけない。