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親が子どもをほめてなにが悪い

世の中にはなぜか、「親が子どもをほめるべきではない」と固く信じている人がいる。年配の人ほどそのようなことを言う。その信念をもって孫の子育てにまで口を出す、迷惑な祖父母も多い。

彼らが言うには、その理由は次のとおり。

・子どもをむやみにほめると子どもが調子に乗りつけ上がる
・親にほめられると子どもは謙虚さを忘れ、実力以上に己を過信する
・己を過信してつけ上がった結果社会に通用しない人になる

以上の理由から、「子どもが優秀であるほど変なプライドをへし折り、自分が大勢の中の一人にすぎないことを思い知らせるべきだ」と力説するのだ。

私は、かねてからそのことに大きな疑問をもっている。何?その横並び意識!!親がその手で子どもの才能や可能性を潰すつもりなの?!と喉まで出掛かりグッとこらえたこともある。

ここで断っておくが、私は教育者ではないから専門的なことはわからない。でも子育て歴が長いからこそ見えるものもある。その範囲で言わせていただけば、子どもをほめてはいけないと言っている人たちの多くは、「自信」と「自慢」の区別がついていないような気がしてならない。

親が誰かの前で子どもの行いなどを必要以上に自慢すれば、多分間違いなく世間からは白い目で見られる。人間は実に醜い生き物で、多くの場合、他人のよい話など聞きたくもない人が多いからだ。

それに、過度の自慢は子どもを王様にする可能性もあることも否定しない。

しかし、子どもがほめられる行いをしたとき、子どもの一番の理解者であるべき親が子どもをほめず、かえって「調子に乗ってはいけない」とばかりにけなすのは、どう考えてもおかしい。それではいつまで経っても子どもが生きる上で必要不可欠な「自信」が身につかないではないか。

自慢も度をすぎなければその人の「自信」となり、本人の「自立」につながる。それを「調子に乗るな」と否定する親は自らの手で我が子の自立を妨げていることになぜ気づかないのだろう?

親が子どもに放つ否定的な言動は、子どもにとって自分の出した結果のみならず、自らの存在自体を真っ向から否定されることに等しい。

子どもは一番自分を認めてほしい親に認められなかったことで、大きく自信を失うだろう。それで子どもがまともに自立しないと親が嘆くのは滑稽極まりない。自立のきっかけを親自らがことごとく潰しておいてなにを言わんや……だ。

親が子どもの優れた部分を「事実」として認め、全面的に肯定して何が悪い? 子どもを肯定することこそが、親として本来あるべき姿だ。

もし子どもが調子に乗り、いただけない態度を取る場合があっても、それはその時親や周囲が諌めればよいだけの話。うぬぼれる前から「調子に乗るな」と子どもを否定する必要などないはずだ。

それがわからないままだと子どもが引きこもりになったり、最悪「誰でもよかった」と言いながら人を殺す人間を作ってしまうのだろう。

おそらく子どもを素直に褒められない親は、自らがほめられずに育ち、ほめ方を知らないのだろう。また、子どもより世間体の方が重要なのかもしれない。

自分でそのことに気づいて改めることができる親はいいのだが、そうでない親の方が圧倒的に多い。そのような親の元に生まれてしまった子は実に辛いが、せめて自分の子どもは全面的に肯定してあげてほしい。それが悪い連鎖を断ち切り、子どもの自立をサポートするための第一歩だと思う。

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