子どもとニュースについて語れるか
ありがとうございます。元中学校教師のちーたろう先生です。
私の記事では、子育てに奮闘するお母さんやお父さんに向けて、今日からすぐに使える教育法や、大人にも通じる学習方法などをお伝えしていきます。
今回は【子どもとニュースについて語れるか】というテーマでお話します。
昨日【ニュースを見るな】という記事を出しました。その内容をざっくり説明すると『ぼんやりと受動的にニュースを見るのではなく、必要とする情報を自分から取得するようにしたほうがいい』ということです。毎朝なんとなくニュース番組を見るのではなく、知りたい情報があるからニュースを見るというように。
とは言っても、毎朝毎晩ニュースを見る習慣がついている家庭も多いでしょうし、おのずとニュースが見たくなってしまうでしょう。なので、せっかくニュースを見るのなら、その情報を子育てのきっかけに変えていきましょう。
今回の話は小学生~中学生を対象にしています。幼児期の子どもには難しいですが、ニュースによっては大丈夫かもしれません。
【ニュースで思考を深める】
昨日の記事においても説明しましたが、ニュースを見たあとに『自分は今なにをするか』というところまで考えたほうがいいです。ただ、これは大人の話です。子どもの場合は『自分ならどう考えるか』とアイディアを出します。
例えば、緊急事態宣言。ニュースでは緊急事態宣言が出されたのが遅かったという意見が取り上げられています。このことについて子どもに考えさせてみます。
「緊急事態宣言が出されるは遅かったと思う?」
このとき、子どもの返答が「わからない」ではいけません。たしかに、子どもには難しいし、国内情勢なんてわからないかもしれません。しかし、「わからない」というのは考えていないのと同じです。まずは、YesかNoでも答えてみましょう。
さらに、理由も言えるといいですね。
子「うん、遅かったと思う」
親「どうしてそう思ったのかな?」
と理由を聞いてみましょう。立派な理由じゃなくていいです。自分なりに考えたことが大切なのですから。
こうして物事に関して自分の意見と根拠をもつことに慣れると、何事にも興味をもちやすくなったり、自分の意見を堂々と主張しやすくなったりします。これはとても大切なスキルなので、子どものうちから鍛えておきたいですね。
トピックは子どもの成長過程に合わせてください。意見が分かれているニュースは考えやすいです。もう確定してしまいましたが、少し前であれば『東京オリンピックは延期すべきかどうか』など。
【他者の視点になって考える】
お子さんが小学校高学年~中学生くらいになったら、さらに『他者の視点』でも考えられるようになりましょう。
また緊急事態宣言を例に挙げますが、この事例を次に挙げる視点から考えるとします。
●政府 ●休業対象の企業や店で働く人々
●小さい子をもつ親 ●医療関係者 など
どの視点から考えるかで、物事の捉え方は大きく変わります。緊急事態宣言に困惑する人もいれば、やっと出された宣言に安堵する人もいます。
『他者の視点から考える』これを大人ができているかというとかなり微妙です。みんな主観で物事を捉えすぎますから。みんなが主観で物事を考えてしまうと、意見は衝突し、他者の気持ちを汲み取ることができません。
つまるところ、子どものうちから他者の視点で考えるようにしないと、大人になるときにはもう主観で考えることしかできなくなる、ということです。
たしかに、客観的に物事を捉えるのは難しいことです。だからこそ、ニュースについて家族で話し合って、親も子も思考を深めることができたらすばらしいですよね。
【ニュースの見えないところを予想する】
ニュースには別の楽しみ方があります。それが『ニュースの見えないところを予想する』です。
私はニュースのなかでも、どこの誰かもわからない人が起こした事件や事故は、見てもネガティブになるだけなので極力見ないようにすることをお勧めしますが、もし見るのなら、その事件の経緯を勝手に予想してみるのはどうでしょう。
例えば、以前このような事件がありました。
ある家族の話です。小学校高学年の女の子とその父親はいまだに一緒に入浴をしていました。親に裸を見られるのは平気という人もいます。仲のよい家族だったのかもしれません。しかし、後日その女の子は学校での先生との面談でこう言いました。「お父さんにわいせつされています。私はいやがっているのに体を触ってくるんです」この発言をもとに、児童相談所が動き、父親は逮捕されました。父親の刑が確定したのち、父親は独房の中、心臓発作で亡くなりました。
このニュースを聞いてどう思いますか?「ひどい父親がいるもんだな」と一言で終わらせますか?
父親が本当にわいせつ目的だったかどうかは見解が分かれます。もしかしたら悪意はまるでなく、純粋に娘と一緒に入浴をし続けていただけかもしれません。
ただ、世間的には小学校高学年にもなって父親と娘が一緒に入るのはおかしいとも思えます。
では、母親はこのことをどう思っていたんだろうか?とか、女の子はどうして父親と一緒にお風呂に入るのが嫌だと言うことを親に言えなかったんだろう?など、伝えられている事実だけではわからないことがたくさんあります。これらを予想するのです。
もちろん正解なんてわかりません。赤の他人のことを真剣に考える必要なんてありません。ただ、物事を予想するということは、とても大切なスキルです。少ない情報からたくさんのことを考えられるようになると、独創性や共感能力が高まります。
このようにしてニュースを見ると、おもしろい発想が出てきますし、もしかするとニュースでは捻じ曲げられてしまった真実が見えるかもしれません。
【まとめ】
今回は『子どもとニュースについて語れるか』というテーマで話しました。まとめると、
●ニュースは子どもの思考を深めるチャンス。子どもなりの意見で構わないので、ニュースに自分の意見をもたせるようにしましょう。
●他者の視点からニュースを見てみましょう。他者理解や客観視することができるようになります。
●ニュースで伝えられた情報をもとに、見えないところを予想しましょう。独創性や共感能力がアップします。
ニュースをぼんやり見るのは本当にお勧めしません。ニュースを見て、自分の頭で考えて、アクションをする。ここまでしてはじめてニュースの情報が活かされます。
たくさんの情報やニュースを知っていてもGoogleには敵いません。情報量ではなく、情報から何を考えるか、このことが大切です。
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