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ブランディングに魔法をかけるペルソナの設定

さて、今回はペルソナ設定のプロセスについて詳しくみてゆきます。

まずこの作業に入る前に3C分析とSTP分析をしておくことが定石です。これらの分析の中で、Customers(市場・顧客)Targeting(ターゲティング)がある程度あぶり出されているところからスタートします。

3C分析
Customers(市場・顧客)
Competitors(競合)
Company(自社)

STP分析
Segmentation(セグメンテーション)
Targeting(ターゲティング)
Positioning(ポジショニング)

自社の強みはなにか?
価値が評価され、商売が成り立つ市場がどこなのか?
「美味しいもの」を提供する相手が誰なのか?
はずせない価値は何なのか?
など

分析結果を横に置いて作業にかかりましょう!

では、よろしくお願いいたします。

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はじめに

ペルソナとは、自社の製品やサービスの象徴的な仮想ユーザーのこと。 ターゲットは集団・実在する全体からセグメントしたものです。

つまり、ターゲットが実在している『集団』であるのに対し、ペルソナは『個人』であり、実在していなくてもOKです。さも、そういう人が居て、生活の中でポジティブにブランドに接していそう。という仮説のもとにブランディングの調整をしてゆきます。

ですから、チームのメンバーや戦略判断する人などが共通認識として
ターゲット層の代表者として、この人が最適。といえるような人物像を設定することにより、ブランディングのプロセスがうまく回ってゆくのです。

そういう人「いるいる!」という感覚を大切にしてゆきましょう。

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ペルソナとは

ペルソナは、心理学者ユングが提唱した「仮面」を意味しているそうです。
マーケティングとしては、「架空の顧客像」という感じでしょうか?

「仮面」とか「架空」とか何か机上の空論なのではという印象を持たれる方も多く、ターゲットだけで充分なのではないか?という考えもあります。しかし、ペルソナの設定は、製品やサービス、自社の事業を見つめ直すきっかけにもなるのです。

「多くの人に届けたい」という想いには、「売りたい」というエゴが働き、それが強くなってしまうと売りたい相手が曖昧になってしまい、結果、メッセージが届きにくくなってしまうという状況に陥ってしまいます。

それを防ぎ、より鮮明なブランドイメージを仕立ててゆくために必要なプロセスなのです。

ペルソナを設定する際、年齢・性別・家族構成さらに、価値観・ライフスタイル・趣味・嗜好など、かなり詳細に設定していきます。

それは、自社都合ではなく、顧客目線を徹底し「この人に喜んでもらうためです」と明確に言えるようにするために、ペルソナの設定は重要なプロセスなのです。

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具体的な方法

■プロセス


まず説明した通り、3C分析とSTP分析をしておくことが定石です。これらの分析の中で、Customers(市場・顧客)Targeting(ターゲティング)があぶり出されているところからスタートします。


実際はもっと詳細情報を追加してゆきます。


①ターゲッティングのデータから基本を組み立てる

定量・定性データの中から基本的な指標を見つけ出し、属性などから対象となる要素をインプットしてゆきます。

・年齢・属性・年収・家族構成・生活圏(居住地・仕事場・学校など)
・消費行動などのアンケートデータなどを反映させる

②仮説立て
ライフスタイルなどの傾向から、イメージを膨らませ、人格を言語化してゆく。

・芸能人や有名人のイメージとリンクさせる
・知っている人(先輩の○○さん)など

③人物像の明確化
出来上がった、数人の生活者のイメージから、より解像度を上げ、具体的にその人の紹介ができるレベルにまとめる。

・名前をつける
・顔写真、イラストなど


■架空の顧客像の絞り込み

ここまでくるといくつかの顧客のイメージが出来上がってきたハズです。たとえば、チョコレートを購入する20歳女性は、社会人or学生? どんな趣味? チョコレートの愛好はどの程度?です。

絞り込みは、難しいと感じるかもしれません。言葉だけではなく、ビジュアルの雰囲気をつかむことも重要になります。自社ブランドを手にしている時の相性はどうか?フィットしているか?を基準に絞り込んでみてください。

■チェックポイント


ペルソナの設定は、マーケティングに応用できるかどうか?を判断基準にしてください。

①顧客視点の真のニーズが把握しやすくなっているか?
一人に絞り込むことでよりニーズの解像度があがっているか?
最大公約数的なチョイスでイメージがボケていないか?

②ブランドとのタッチポイントがみえているか?
商品・サービスを認知して検討・購入するまでのカスタマージャーニーを想像し描かれているか?
タッチポイントに対して効果的なマーケティング施策の検討ができそうか?

③ブランドパーソナリティとしても耐えられるか?
ブランドパーソナリティとは、ブランドから連想される人格です。たとえばCMで起用するタレントなどのイメージなど、そのような特徴が表現されているか?

身近な人へのプレゼントを思い出してください!
その人の好みや押しなどを想像して、驚きや喜ぶ顔をイメージして考えますよね?それが出来ていればOKです!

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インサイトを探る


インサイトとは、人を動かす隠れた心理のことです。その本人も気づいていない無意識の心理ですが、顕在化されていなが故に見過ごしている状態。

例えば、「おいしいチョコレートが食べたい」というニーズがあるとして。

なぜ食べたいのかを掘り下げると、「現実逃避をしたい」「おしゃれな気分に浸りたい」「違いが分かる格好いい人になりたい」などのニーズが見えてきます。潜在ニーズは欲求があるのにそれに気付いていない状態です。

さらにインサイトはまだ欲求さえないものを掘り起こす作業です。

たとえば、チョコレートの香りに徹底的にこだわる商品は、チョコレートはコーヒーや紅茶のように香りのバリエーションを楽しむべきだというのは、単純な掘り下げでは出てきません。

機能や品質が均質化されてしまった製品やサービスが、評価されるものは「新しい価値」や「体験」です。つまり誰もまだ気づいていない「インサイト」が発見されれば大きなチャンスにつながります。

①気づいていない深層心理をあぶり出す

②吹き出しをつける
その人が普段思っている事柄を洗い出し、その人の口癖やしゃべり口調でまとめてみる。


潜在ニーズの深掘りが弱い
少し深層心理に近づいてきた?

簡単な例をインサイトの例を示していますが、ターゲットに直接ヒアリング調査をしたり、チームでワークをしながらイメージを深める作業をします。

頭の中で考えているだけでなく、チーム全員が片田春菜さんになりきって、チョコを食べた後の一言を言い合うなど、固定観念を外してワークをすることによって新しい発見にたどり着けるハズです。


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BtoBとBtoC


BtoBの仕事をしているとペルソナの設定必要ですか?ということを質問されるケースがあります。

BtoBのブランディングでもペルソナを設定すべき!です。

メインの売り先が、経営層、マーケ関連、企画や開発、営業関連の人なのかによってペルソナはしっかりと設定すべきです。

たとえば、オフの時に何をしているのか?とか、食事の志向はどんな感じ?とか、BtoCとまったく同様に設定してみると、ビジネスライクな感覚から人間味がプラスされて、ブランドに好感を持たれる可能性があります。

そして最終的な顧客が、toCの場合であれば、BtoBとBtoBtoCのペルソナをそれぞれに設定し、価値観を分析してブランディングを調整してゆくことをオススメいたします。

また、ペルソナは一人ではない場合もあります。イノベーター・アーリーアダプター・アーリーマジョリティーなどブランドに対しての深度によって、それぞれ設定し検討してみるということもありえます。

臨機応変に楽しみながら考えてみましょう!


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まとめ

■ペルソナは嫌われる?

ペルソナは仮説の部分が多いので嫌われる場面が多いのも現実です。

市場の中でのN1を特定し、エビデンスを出すためには膨大な調査や分析が必要になり、「で、そこから何がえられるの?」となり、二の足を踏んでしまうこともあります。

そんな場合はチーム内のワークだけでも充分に効果があります。それは、マーケティングやブランディングでは、積み上げられたデータや知見からの直観による「仮説づくり」が重要だからです。

顧客のことをほとんで理解していない。生活行動のインサイト(背景・深層)に気づけていない。ことがほとんどではないでしょうか?
であればそれを深掘るプロセスが必要であり、ペルソナの設定は効果的と考えられます。

さらに、予算に余裕があれば、リサーチ会社でのディープインタビューなどで精度を上げてゆくことも可能です。


■AIの活用


AIでつくるペルソナが主流になるかもしれません。

かつては、芸能人や有名人をトリガーにペルソナに設定することがほとんどだったのでが、共通認識が薄れてきている現在では、AIなどを活用して人物像を探ってゆくことが主流になってゆくかもしれません。

今回の例の人物像は、Adobe Fireflyで制作してみました。
いかがでしょうか?

■ブランディングに魔法をかける


ペルソナは、ありきたりの日常に魔法をかけるような気持ちで取り組むことオススメします。ブランドと人とのつながりは、あたりまえの中に無くてはならない関係性を築く、とても楽しい作業のハズなのです。

自分が極めた愛すべき製品やサービスを
「大げさではなく、愛する人に喜んでもらうため」
というのはどうでしょうか?

いろいろな角度から理解を深めてみてくださいませ。


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いかがでしたでしょうか?

自分たちだけで取り組んでいると固定概念に縛られて
仮説だてがなかなか難しいんだよなーという時には

ぜひ、お声がけくださいませ!

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