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【インタビュー】人類みな友達。海外旅行で磨いてきた自己表現力

「海外旅行は、自分が持っていた海外の人や文化に対する意識を変えてくれる」

そう語ってくれたのは、小さい頃から日本にいながらも、外国の文化が身近にあったFumikaさん。
Fumikaさんは、どんな人に対しても、意見をはっきり述べることを恐れず、そして相手を尊重することを忘れない。それは国籍関係なく対等でいたいから。そして彼女がいるだけで、その場が明るくなる、笑顔がとても似合う女性です。そんな彼女に今回は、旅の魅力について伺いました。

本インタビューでは、彼女が旅を通して知った「偏見を持たずに接することの大切さ」について、語っていただきます。



両親がくれた、「旅が好き」

ーー小さい頃から旅行と海外が身近にあったFumikaさん。ご自身のこと、旅が好きな理由を教えてください。

京都出身の33歳、子どもが1人います。旅が好きになったきっかけは、旅行が大好きな両親の存在です。海外旅行も行ったし、とくにディズニーへは国内外問わず、たくさん連れて行ってくれたので、私も大好きですね。その影響を受け、ハネムーンはニューヨークとディズニーワールドへ行きました。

写真提供|家族と海外のディズニー旅行

今までに行った国の数は多い方だと思います。
アメリカ、中国、台湾はもちろん、ヨーロッパも6カ国ほどを周遊。オーストラリアへは、学生時代にホームステイもしました。中国は大学生の時に留学をしており、そのときに中国国内をたくさん周りました。社会人では、東南アジアを中心に4カ国ほどです。

両親の影響と私のアクティブな性格も合わさり、旅行をするという意識のハードルは、低いと感じています。長期休暇が取れれば、時間をかけてでも遠くに行きたい。しかも旅中は、不思議なことに、予想外なことが多く起きます。それすらも、結果的には楽しく感じることが魅力の1つ。もはや死ぬこと以外はかすり傷です(笑)


何が起こっても、地球上の人類みな友達

ーーマインドが強いですね(笑)。旅中の予想外な出来事について、具体的なエピソードはありますか?

2つエピソードがあります。
1つめは大学時代、友人とヨーロッパ旅行中に、同じ人たちに2回会うという体験を、2回もしたこと。

パリのオペラ座前で声をかけてきた、同年代くらいの日本人男性2人組と、翌日モン・サン=ミシェルでも遭遇しました。彼らは現地ツアーを申し込んで来ていたのですが、異国の地で2回も同じ人に会えたら、通常はお互いに声をかけるし、テンションが上がりますよね?

けれど当時、宿の手配など全て自分でしていたという過信があったからか、彼らに少しツンとした対応をしてしまい、あまり話さなかったのです。今で言う塩対応と言いますか……
今となっては、本当になぜそのような対応をしたのか、と反省しています。

写真提供|パリとモン・サン=ミシェルにて

その日の夜、自分たちの行動に恥ずかしさを覚え、友人と「出会えたことが奇跡だから、もし次のスペインで同じことが起きたら、ちゃんと交流をしよう」、そう決心しました。

移動した先は、スペインのイビサ島。
日中、街中を歩いていたとき、1回すれ違った同年代くらいの男性と、なんと夜にクラブの前で再会したのです。それまでの反省を活かし、交流を図ったところ、意気投合しました。帰国してからも交流は続いています。

余談ですが、学生であれば、電車に乗ってヨーロッパを周遊できるユーレイルパスはおすすめですよ!

2つめは、イタリア滞在中に、私たちの後ろを追ってくる人に出会ったこと。
遊園地で友人と、2人乗りのゴーカートのような乗り物で遊んでいると、私たちをじっと見ていた人たちが、別の乗り物を使って、私たちの後ろを追いかけてきたのです。怖くなり、すぐに降りたのですが、それでもずっと後ろをついてきました。

ーー見知らぬ土地で、女性だけということもあり、その体験はとても怖いですね。

ついには片言の英語で「コーヒー1杯だけお願い」と話しかけてきて。急いで大きな公園に逃げこみ、ベンチに座って友人と身を寄せました。それでも遠くから見てくる。すると突然現れた現地の男性の大学生が、話しかけてくれたのです。友人へのナンパですが(笑)。それでも「助かった」という安堵感がありました。

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ーーそのような怖い経験があったにも関わらず、なぜ旅行は良いと思えたのでしょうか?

人類みな友達だから。

旅を通じて、さまざまな人に出会うことで、相手に対する捉え方が変わっていきます。イタリアでの出来事があったからと言って、海外が嫌いになったわけではありません。追いかけられた時間は、確かに怖かった。しかし時間が経つと、もし片言の英語の人とコーヒーを一緒に飲んだとして、「何喋るんだ?」と冷静に思い始めたのです。英語もきっと伝わらないでしょうし。

すると少しずつ、笑い話になっていくんですよね。また友人への、後を絶たないナンパの嵐を隣で見たことは、なかなか日本では味わえない貴重な経験でした。日本だったら通報されるかもしれない(笑)

こういった良し悪しに出会えることも、旅の良さです。

写真提供|歩けばナンパの嵐を受けた友人と

百聞は一見にしかず。覆された意識

ーー今までの旅行の中で起きた、1番のハプニングとは?そこで得たこととは?

ハプニングと言いますか、私の持っている固定概念を変えてくれた出来事があります。ここで言う固定概念とは、「きっとこの人はこういう人だ」と、相手の中身を決めつけてしまうこと。この考えが変わったきっかけは、ハルビンから北京へ帰る電車内で助けてくれた、酔っぱらいのおじさんとの出会いです。

ハルビン|中国の最北端にある黒龍江省の省都。シベリア横断鉄道の支線の建設にあたり、ロシア人技術者が流入してきたことにより発展|Googleマップ
写真提供|ハルビン駅

当時のハルビンから北京行きの、高速鉄道の終電時間は、確かお昼過ぎ頃と早かった。そのチケットを取っていたにも関わらず、私と日本人の友人は、現地の美味しいポトフを食べていて、乗り遅れてしまったのです。しかし留学中に滞在していた寮の退寮手続きの関係で、何がなんでも帰らねばならない。

どうしたら帰れるかと、急いで調べたところ、鈍行列車で約17時間かけて戻れることが判明。寝台車両は満席。とはいえ北京に帰ることが最優先。椅子の車両でもいいという判断で、急いでそれに飛び乗りました。

写真提供|美味しいポトフを前にするFumikaさん

時間が経つにつれて、襲ってくる空腹感。しかし勢いで乗ったために、ご飯を持っておらず、途方に暮れていたところ、突然酔っぱらいのおじさんが声をかけてきたのです。そして一言。

「ラーメン食うか」

「……食べる」

私たちがこう答えると、おじさんは電車内の給湯場所でカップ麺にお湯を注ぎ、それを渡してくれたのです。

雰囲気とは違い、とても親切な人で、第一印象で抱いていた「変な人に絡まれた」という恐怖はなくなりました。なぜその感情を抱いたかというと、その年は、日本の総理大臣が「尖閣諸島は私たちのもの」と宣言した年だったから。

ーーとてもセンシティブな時期ですね。

そうなんです。
とくに国慶節の時期のニュースで見たような暴動は、身の危険を感じました。実際にハルビンでも同じ雰囲気は、あったかもしれません。この地は戦時中、日本がよくないことをした歴史的背景もあるので、現地に対する不安はありました。

「どこから来た?」という質問に対し、「日本人です」と回答する恐怖。答えるものなら、何か攻撃されるのではないかという疑心。

しかし、それらは私の偏見だったのです。
現地の人全員がそうではなく、同じ回答をしても、酔っぱらいのおじさんのように、私たち日本人に優しく接してくれる人もいることを知りました。結果的に、そのおじさんと仲良くなり、道中とても楽しい旅でした。

このときの体験のおかげで、自分がいかに偏見を持っていたか、ということに気づかされました。噂は大体悪いイメージがつきますよね?だからこそ実際に見る/感じる/話すことは、自分の視野を広げるという点で、とても大事。そこで感じたことは、相手にもそのときにちゃんと伝える。
そうすることが、自己表現力を磨くことに繋がると考えています。

これが旅を続けている理由です。


次の世代へ。繋げたい思い

写真提供|今年5月に家族と出雲旅行へ

ーー最後に。Fumikaさんは、旅の良さや魅力をどのようにお子さんに伝えていきたいですか?

子どもはまだ小さいですが、旅の良さや魅力を伝えるためには、まず親である私たちが全力で楽しむこと。これは大事に思っていることです。私も、両親がとても楽しそうに旅行をしている様子を見て、「楽しいものなんだ」と直感的に理解していました。

また、たくさんの経験を両親からさせてもらったので、同じように私もできるだけ多くの場所に、連れて行ってあげたい。そしてさまざまな文化や違いを感じ、経験を積んでいってほしい。そして感じたことを言語化することを、恐れないでほしい。
子どもの成長を楽しみながら、一緒に旅行をしていきたいです。

なので、社長!給料あげてください!(笑)


◾️編集後記

旅の先々で、ご自身の持っていた考えやイメージが、アップデートされていく姿が、とても印象的でした。とくに中国での経験は、Fumikaさんにとって、偏見を無くし、相手を尊重して接していくという今の生き方に、繋がっているように見受けられます。現在は母親として、子どもにどういった世界をこれから見せていきたいのか。Fumikaさんの旅は、これからも続いていきます。

取材・文・編集/Chisato

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