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“Receive. Imagine.” - An artistic learning space for a sustainable society. | 未来ある社会に繋ぐアートな “学び場” https://chiruda.com/

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マガジン

  • Column | Kummy.

    イラストレーター Kummy.  による不定期連載コラム。健康的で明るい負の喜劇がはじまる。

  • Artist Interviews

    CHIRUDAが選ぶアーティスト 取材LOG

  • Column | Writers

    様々なCHIRUDA Writers(通称CHIRUDERs)によるコラムシリーズ

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    アートプロジェクト " 〜 : CHIRUDA " を通して、大切にしたい勝手な思想と哲学ログ

最近の記事

湯の中から春泥論

今日も寒い、明日はもっと寒いのかと 眉をしかめつつ、週間天気は先の先まで一桁の気温が並んでいる。 着込みすぎて肩は凝り、頬は乾燥し眠りは浅く唇はよく剥ける。 温かい飲み物はすぐに冷めてしまうし、取り込んだ洗濯物はなんとなく冷たい。昨日と同じ厚手のコートを着なければいけないのかと、飽き飽きしてくるのがだいたい2月頃だろう。 寒暖差に嫌気がさしながらブーブーと鼻を擤み、春一番がぴゅぅと吹いて標本木を囲んで花を数え、早く開花宣言をしたい大人達が騒いでいる中バタバタと新年度が始ま

    • ベッドサイド ユスリカ

      一日の中で “入眠前” にだけ出現する暗雲がある。 まぶたが重く副交感神経が優位になっているはずなのに、 今日あった出来事を振り返り「あぁ、あれで本当に良かったのだろうか」と雑念の戸を叩いてしまう。 今日の失敗、明日の仕事のこと、漠然とした遠い未来のこと。 深い考え事が尽きず、ぼんやりと瞼上に昇るのは、なぜか決まって入眠前だ。 その思考に触れないよう身体を反らせ “無” という字を瞼の中でなぞり、静かに離れていくのを待ってみる。 そのままストンと寝落ちすることが実はほと

      • 幾日 時折 (3)

        少し前の話。 私生活が慌ただしく絵も描けない日が続き、久しぶりに描いた絵は心底気に入らなかった。間に合わせのものを並べたつまらないイメージの食卓、パッとしないし何だか味気ない。 机に向かったものの、次第に首が垂れ、椅子からずり落ち床に伏せ、悩み暮れるを繰り返す。 夜中にふっと降りてくるような絵の神様もご無沙汰で、しばらく放ったらかしにしてしまったばかりに、イメージの干ばつ状態だった。 そんな状態に陥り、鬱々しい中で攻撃的で破滅的に描いてみたりと少しでも刺激を送り、鈍った

        • 幾日 時折 (2)

          心に危うさを持っている時ほど、外へ向けた意識が過敏になる。 身の毛がジクジクしてくると全身の緊張が身体の中心に集積し、身の置き場を探しながらメモを開いている。   電車という空間が昔から苦手で、体質的に具合が悪くなりやすい場所だと身体が覚えてしまったせいで、30分以上乗る日、他人の体が密接するくらい混雑した車両に乗ってしまった日は、心拍が上がり激しい緊張感を持ってしまう。 といっても小学生から社会人まで、週5日以上は電車に乗る生活が当たり前だった。 慣れた電車移動のはず

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          幾日 時折 (1)

          運良く座れた祝日 昼の中央線 東京行き。 目深に被った帽子のツバでよく見えなかったけれど 新宿駅から乗り込んだ男女が私の前に立っている。 先輩後輩なのか、敬語混じりで楽しそうに喋っている。 まもなくお茶の水、とアナウンスが聞こえると よく日焼けした脚の女性から話始める。 「高2の時、お茶の水の予備校に行ってて。クラスが ABCDE って分かれてて、一番頭のいいクラスが E で私は下から二番目の B、でも秋のテストで A に落ちちゃって、懐かしいなぁ」 「そのクラスに別

          幾日 時折 (1)

          【お知らせ】Artist Interviewsの公開ページを移行いたしました

          いつもご覧いただきありがとうございます。 この度、これまでnoteにて公開していた各種アーティスト取材記事の公開先を、CHIRUDA オフィシャルWEBサイト内へ移行いたしました。 過去掲載分を含め、今後は下記URLのページにて更新をさせていただきます。 今後の更新分通知においては、ぜひ下記SNS等のフォローをご利用ください。 Instagram / X (Twitter) / YouTube 尚、コラムシリーズについては引き続き、こちらのnoteアカウントでの更新

          【お知らせ】Artist Interviewsの公開ページを移行いたしました

          "本物の答え" は社会の中?自分の中? | マルチメディアアーティスト Léo Allègre & グラフィックデザイナー Miyuki Wagatsuma Interview

          インターネットのおかげで「情報が早い」「すぐに、簡単に調べられる」という状態は、私たちにとってもはや当たり前の現象だと言っても過言ではない。それによって、あらゆる方面での効率アップが図られ、知らなかった世界に繋がり、新たな価値が生まれていることもまた、紛れもない事実だ。とても便利であることには申し分無い、非常に有難い!だけど、そのせいで私たちは何かを失い始めていないだろうか?あなたが容易に手にしたその「答え」は、本当にあなたにとっての100%だろうか?今回は、複数の手法で表現

          "本物の答え" は社会の中?自分の中? | マルチメディアアーティスト Léo Allègre & グラフィックデザイナー Miyuki Wagatsuma Interview

          人間のはなし

          約2年前のことになりますが、会社の参加希望者で行う「クリエイティブワーク」というものをやっていた期間があり、そこでは毎回(かなりアブストラクトな)テーマを設け、やや宿題的な形で個々に自由に考えては発表し合っていました。 この活動も、個人的には今の自分にとても繋がっていたなと振り返り感じるのですが、その6回目(?)のテーマが 「人間」 でした。 つい先日、ふと、このテーマに対して自分が発表した資料そして内容を急に思い出し、改めて読んでみると非常に面白かったので(自画自賛)

          人間のはなし

          「らしさ」のはなし

          あなたらしさ  私らしさ 親らしく 女らしく 男らしく 大人らしく 子どもらしく 妻らしく 夫らしく 一体誰が決め付けたのか? 誰も知らない。 そして私らしさを固定しなくてもいいと、 私は思っている。 女は男の前では化粧をした方が良いとか、 一番風呂は夫が入るだとか、 女は一歩後ろを歩いた方が良いとか、 夫より早起きした方が良いとか、 昔の〇〇らしくは今はどこか遠くの話になった。 私らしさってなんだろう?と考える時は正解がいつも見つからない

          「らしさ」のはなし

          読書のはなし

          ある日の、Alexの英会話クラスでのこと。 そもそもの主題はさておき、「時」について、「時」を感じる行動に何があるかを話していたところ、 と、私は答えました。 (これを書くにあたり、一部補足を入れていますが、) 続けて、 なんて答えながらクラスの話題はどんどん変わっていったのですが、これを書き始めた30分前くらいに上述の会話を思い出し、うん、やっぱそうなんだろうなと改めて感じたとある休日の日中。 学生時代はむしろ苦手だった読書という行為に有り難みを感じ始めたのも、大人

          読書のはなし

          あなたにとっての「自由」とは? | コラージュアーティスト Ache._ Interview

          「自由」とは一体なんだろう。 規律や秩序があってこそ得られるものが自由なのか、それとも、自由から規律が生まれ秩序に変化し、私たちを統治しているのか。 コラージュや映像作品を制作するアーティスト Ache._ に、表現することの尊さ、「表現の自由」とは一体何か、そして第1児誕生をきっかけに考える現代の教育について聞いた。 Ache._ 見た夢をそのままに再構築する「コラージュ」 Ache._: なんかめっちゃ昔、小学生とか中学生くらいの時に、思い出をちょっと面白く編集する

          あなたにとっての「自由」とは? | コラージュアーティスト Ache._ Interview

          どこから来て、何に共鳴し、何を繋いでいきますか? | アイヌ文化発信 関根摩耶 Interview - Vol.2

          ≪  Vol.1 - 生い立ち、家族と地域、子どものいる環境 世代と関心、決して "特別" ではないアイヌ 関根: アイヌ語にも方言差があったりとか、文様にも地域差があったりするので、「アイヌ」と一言で言っても色んな個性があります。 そんななかでも私は沙流川流域の方言で「沙流方言」を学び、地元平取の文様を見て育ちました。 関根: 私が何か一緒にできるとしたら、私の地元二風谷とお繋ぎしたり、私が知っていることをお伝えすることくらいかなと思っていました。 とはいえ、札幌

          どこから来て、何に共鳴し、何を繋いでいきますか? | アイヌ文化発信 関根摩耶 Interview - Vol.2

          どこから来て、何に共鳴し、何を繋いでいきますか? | アイヌ文化発信 関根摩耶 Interview - Vol.1

          CHIRUDAの母体である株式会社Yomが運営するMARLMARLの直営店が北海道・札幌にオープン。北海道地方では初の出店となり、店舗内には子どもが楽しめるタッチモニターを常設、ブランド初となるアニメーションを上映しています。 "アートな学び" をテーマに製作したアニメーション本作『シマフクロウのえだ』は、ディレクションをCHIRUDAが担当しつつ、アイヌ文化アドバイザーとして関根摩耶さんに監修協力を依頼。製作を進行するうえでお話を伺い、一般概念として捉えられているアイヌと現

          どこから来て、何に共鳴し、何を繋いでいきますか? | アイヌ文化発信 関根摩耶 Interview - Vol.1

          エミリーとパリのはなし

          「ねえ何?めっちゃ楽しそうだし、みんなおしゃれ!」 「かわいい〜憧れる〜ッ!」 と、密かに思っているそこのあなた。 ですよね、心の底から共感します。 これは Netflix でシリーズ公開されている『Emily in Paris(エミリー、パリへ行く)』というドラマからの1枚。 2020年10月2日から配信がスタートした本作は、リリー・コリンズ主演、『セックス・アンド・ザ・シティ(SATC)』のクリエイター、ダーレン・スターが手がける新ドラマシリーズ。 Season1 の

          エミリーとパリのはなし

          森と土壌と人と未来 のはなし

          日本の土壌で育ったオーガニックな植物たち。 それはありがたい"資源"である。 その資源がただ廃棄されるのではなく、廃棄予定の和精油にリデュースして、 アロマで人にも環境にもやさしいエシカルなアイテムを作りたい そんな近田りえこさん(日本オーガニックアロマ協会代表 調香デザイナー)が 『Muku』という和精油ブランドをプロデュースした。 そのお披露目会に子どもたちと伺ってきました。 海外製のアロマは精油を取るために、わざわざ植物を植えたりするらしく農薬を使うことが多い

          森と土壌と人と未来 のはなし

          知らないおばあちゃんと巻き寿司のはなし

          はじめまして。 イマナカショウタと申します。 僕は趣味、いや、半分仕事ですが写真撮影の仕事をしています。 この話はウイルスによるパンデミックが起こるちょうど1年くらい前の話です。何でもない日常の一部分ですが、お付き合い頂ければ嬉しいです。 あの日は確か、とても暑い夏の日でした。 いつものように大阪のとある裏路地を、カメラを持って歩いていました。 すると自前の手押し車に座った80代くらいの御老人が、コインランドリーの前に座っていました。 暑くないのかな?とも思いながら

          知らないおばあちゃんと巻き寿司のはなし