見出し画像

発達心理学と占星術発達年齢域*𓈒土星期♄

発達心理学でも占星術でも
自分のことしか考えられない人間は
年齢を重ねれば重ねるほど不幸であることを
教えてくれる𓂃

発達年齢域*𓈒土星期♄

占星術:土星♄期 発達年齢域55~70歳

占星術において土星は、
古くはグレート・マレフィック、
大凶星とされてきました。
天王星♅が発見されるまで土星♄は
太陽系の最も遠い星であり
絶対的な支配権を持つ天体。
ギリシア神話では土星♄は
時間を司るクロノスに割り当てられています。
時間はあらゆることに制限を与え、
時間の法則を与え、
誰もこの限界から逃れることはできません。
限界とは死であり、
生きている人間には必ず訪れるものです。

昔は人間の寿命も現代ほど長くはなかったので、
この土星♄期が人生の最後とされていたでしょう。
土星♄の象徴が
「制限、限界、現実、義務、責任、課題、縮小」
と、あまり好まれないものばかりなのはそういった背景があります。
しかし、人間の寿命が伸び、
土星♄よりも遠い天体が発見され、
意味づけされていった現代において土星♄は
その象徴の意味が変わってきています。

心理占星術において土星は、
「社会感覚、社会的活動、社会的責任」
といった社会を象徴する星として扱います。
天文学的な分類では、
土星は木星と同じく巨大ガス惑星です。
その天体の特徴の通り、巨大な社会全体を
象徴しています。
木星期同様、個人よりもっと高い視点を
持つことを促されている時期のようです。

心理学の発達年齢域では、
土星期の55~70歳は中年期から
老年期に入っていく段階となります。
老年期は人生の終幕となり現代人、
特に女性にとっては長く実に20年を超える
長い長い時間です。

老年期に入っていくこの時期は、過渡期であり、
土星の象徴するものと向き合わなければならない時期なのでしょう。
仕事から退く大事な節目の時期であり、
その後の老年期をどう生きるのかを
選択していく時期です。
発達心理学における老年期は、
生涯最も個人差が大きく、
人間個人としての生き方が問われる時期
とされています。


エリクソンによる
発達段階と心理・社会的危機では
老年期の対立命題は「統合VS絶望」です。
エリクソンは「統合」を
「一貫性と全体性の感覚」としています。

統合とは人生全体を統合することであり、
自分の人生を振り返り見つめ直し受入れること。

自分の人生を肯定できるかどうか。
受入れられなかった場合、
後悔となり絶望となってしまいます。
仕事、家庭、人間関係、成功、失敗、すべてを
この段階で後悔なくして全てを受入れることは
できるのでしょうか。

エリクソンは
老年期の対立命題の葛藤から生まれるものを
「叡智」とし、
「叡智」とは
「死そのものに向き合う中での、
生そのものに対する聡明かつ超然とした関心」
としています。

エリクソンの発達段階をみると
段階を上がるごとに、
自己へと向いていた関心が他者へ、
他者から社会へ、
そして人類全体へと
向けられるようになっていきます。

これは、占星術の発達年齢域や
12サインの成長段階とリンクします。
占星術の発達年齢域では、土星の次は天王星、
海王星、冥王星へと続きます。
もうすでに個人や社会を離れて、
普遍的なもの、あらゆる境界線を超えるもの
へと移っていきます。 

発達心理学において
老年期を充実させるためには、
「社会的ネットワーク」が重要とされています。

老年期は喪失の時期とされ、
「心身の健康の喪失」
「経済的基盤の喪失」
「社会的つながりの喪失」
「生きる目的の喪失」
があげられています。
これらの喪失を和らげるには
周りからのサポートが必要になってきます。
そのためには、老年期前から自分の周りに
社会的ネットワークを築き上げていくことが
大切です。
土星期前に仕事以外で
現実的に自分のできることで
社会的ネットワークの仕組みを
しっかりと作り上げていくことは、
老年期を充実させていく鍵になります。

アドラーも老年期を充実させるには、
仕事以外の共同体で自分の居場所を
重層的に作っておくことが
大切であるとしています。
また、
「共同体感覚」を身につけること、
そのプロセスが
幸せを生み出していくとしています。
共同体感覚とは
自分が考えていること、
行動しようとしていることが、
共同体にとって、自分のまわりの人々にとって
どのようなことであるか考えて
決断する能力です。

自分のことだけを考えている人間は、
エリクソンのいう「叡智」にも
アドラーがいう「共同体感覚」にも
辿り着けないないのです。

自分の利益や居場所を守るだけの
保守的な老害になるのか、
全体のために自分の知恵を活かせる
昔話の姥捨山に出てくる
知恵のある老人になるのか。

全ての発達段階は
断片的では無く連続性を持っていて、
どの段階を生きている人にとっても、
「今」この瞬間の生き方が
未来に繋がっているのです∗︎*゚

私が終わる時、世界も終わる。
みんなそう思っていたらきっと、
この世界はもう存在しない。

チ。ー地球の運動についてー第5集 帯の言葉
自分自身の人生を振り返り、
自分の在り方を問う中で、
自らの内面に「休止と生成」
の感覚を持ったものが、
自分を離れて次の世代へ、
さらには人類全体へと関心を
向かわせることになる。

すなわち死に直面しても
人生そのものに対して執着のない関心を
向けられるようになり、
人間存在の問題すべてにわたって
直視することができるであろうし、
次の世代へ一つの人生の終幕の生きた実例を
示すことができるのではないだろうか。
これは一人の人間としての自分と世界が
まさに「統合」された状態といえる。

そのためには
本当の知恵必要とするように思われる。
はたして私たちが、
このような境地に達することが
できるであろうか。

これからの課題である。

発達心理学の基礎Ⅰライフサイクル 平山諭/鈴木隆男 編著


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?