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マレーシア•デザイン留学の本音〜パイオニア?として留学した感想〜

こんにちは、ちりです🎨
私は2018年から2年間マレーシアのサバ州の大学でデザインの勉強をしていました。(2020年から起こったコロナウイルスのパンデミックの影響で学校に行けたのは実質1年でしたが……)
当時は同じような分野を専攻した日本人留学生もいなかったし、デザインの先輩がまず知る限り存在しなかったので今と違って情報すらない時代でした。(過去にはマレー半島の他大学でインテリアデザインを専攻した学生さんがいたそうですが、私は家具屋姫じゃないからなぁ……)
マレーシア留学の情報は知る事はできても、殆どがビジネスや観光を専攻してるマレー半島に留学してる学生の情報ばかり。ボルネオ島を留学先に選ぶ学生さんは殆どいないし、マレーシアでデザインや芸術を学ぼうと思う人もそんなにいないので、情報がないのは仕方ないと諦めていました。
今回は将来ボルネオ島でデザインを専攻しようと思ってる学生さん向けに書こうと思います🖋

1.授業は日本の学校とほぼ同じ
最初はPhotoshopやIllustratorなどの Adobeソフトの使い方を習いました。線の描き方や、基本操作を習ったので、これらは日本の学校と変わらないと思います。

2.マレーシア絡みの課題が出た
私がいた学期では、マレーシアの童話を元に絵本を描く機会がありました。マレーシアにも姫さまとかの童話があるなんて知りませんでした。
友人の学期では、マレーシアをテーマにしたイラストを描く課題がありました。
パッケージデザインの授業では、コーンフレークのパッケージデザインの課題の時にはハラールマークを入れました。日本では馴染みがないし、入れる概念もあまりないと思いますが、マレーシアではハラールマークを見て食品を買うか決める人もいるので必須でした。
でも思ったほどマレーシア絡みの課題は出ませんでした。2020年も学校に通ってたらもっと触れてたかもしれません。

3.ヌード画を描く機会はない
個人的にヌード画を描く事は絵を描く人生を選んだ身からしたら必須だと思いますが、マレーシアはイスラム教の影響なのか、ヌード画を描く機会はありませんでした。
私の学校ではスマホの画像を元にしたり、家にある物を持ってきて描くことが多かったです。
覚悟はしていたけど、やっぱりヌード画に触れる事は大切な事なんだと痛感しました。

4.展示ができるギャラリーは存在しない
私が住んでた時はコタキナバルには原宿や銀座にあるようなギャラリーはありませんでした。
なので同業者と出会ったり、話す、展示を見る、自分が展示に参加する機会はありませんでした。
コタキナバルに行く前は東京で展示に参加したり、自分が参加してなくても主催者さんとお話しする機会があったので、コタキナバルでは全くなかったのが辛かったです。

ちなみにコタキナバルにはSabah art galleryという美術館がありますが、私のような期間限定で滞在してる人はここで展示をする機会はほぼないと思われます。

展示ではありませんが、Jesselton Artisan Marketという不定期で開催されるイベントで自分のハンドメイドや絵を販売する機会はありました。私はVISAの関係もあったので参加できませんでした。仲良くなったイラストレーターさんからは、出店してよ!って言われた事もありましたが、VISAの関係でできなかったので悔しかったです。


5.同業者と繋がる事に興味がない
あくまで私の体験ですが、日本ではよっぽど合わない限り、同業者とSNSを交換して繋がろうとする作家さんが多い印象です。その出会いがきっかけでグループ展をやる事もありますし、人脈を広げたい人が多いです。
コタキナバルではギャラリーもないので、グループ展をやる機会もまずありません。環境が整ってないせいか(?)日本の作家さんほど繋がりを大切にする人はあまりいなかったです。

6.今後のマレーシア•デザイン界隈の課題 
あくまで個人的な意見ですが、以下の点を改善すればいいかもしれません。

•せっかくストリートアートが増えてるのだから、皆んなで描けるイベントを増やせばいいのでは?

•コタキナバルにアートカフェを開き、様々な作家さんの作品を見たり、交流する場があればいいと思う。

•マレーシアではすぐに買える画材が少なく入手が大変。今はネットで買えるとは言え料金も高く、コタキナバルの場合、離島な事もあり届くまでに時間がどうしてもかかってしまう。
もっと様々な種類の画材が買えたら表現の幅が増える。

7.マレーシア•デザイン留学はオススメですか?
結論から言うと、あまり大きな声でオススメできるとは言い難いです。

私の場合ですが

•美術館やギャラリーに行く機会が減った事
•画材がその日のうちに手に入らなかった事
•同業者と出会う機会の少なさコネクションを作る事の難しさ
•マレーシアで様々なテーマで作品を描くことは難しい
•現状、マレーシア×日本の2カ国がコラボしてアート絡みの何かをする機会は少なく、関心を持たれる機会も少ない(観光やビジネスに関心のある人が多いと思いました。)
•現在の時点でマレーシアでデザイン•アートを学んだ学生さんとの交流をする機会はない。あったとしてもおそらく出身地も住んでる所もバラバラで、リアルに会うのは難しいと思われる。
•人より作品に向き合う機会が多いので、ビジネスや観光系の学生と比べると、英語の伸び率は高くない(これは本人次第なのでなんとも言えませんが)

以上がマレーシア•デザイン留学中に超えられなかった壁で、デザイン留学をオススメできないと思いました。
この留学を通して、東京はすごく恵まれた場所だと思いました。

デメリットばかり書いてしまいましたが、メリットもあるのでご紹介します。

•日本ではない国のアート•デザイン事情を知ることができる。
•中進国でアートに触れられる。
•海外のアートブックが日本よりも気軽に買える(特にクアラルンプール近郊では)
•イスラミックアート、ヒンドゥー教のディバパリアート、少数民族のアートなど日本ではなかなか見かける事のないアートに触れることができる。
•現状、日本とマレーシアの2カ国間でアートをやる機会は少ないが、頑張れば何かチャンスは掴めるとは思う。
•欧米の大学に編入し、他国でも学べるチャンスがある。

以上がマレーシア•デザイン留学のメリットです。


現状、マレーシアを活かしたアート作品(ZINEやイラストなど)もそんなに描けてないので、将来はもっとイラストやアートを通してマレーシアを知ってもらえるような作品作りをしたいですね。
自分の学んできた事を活かし、イラストを通してマレーシアの観光や留学を知ってもらえるような仕事もできたらいいのですが、残念ながら私はまだ必要とされてるわけではないので、活躍できそうな場面もありません。でもめげずにこれからも関わりたいです。

最後まで読んでいただきありがとうございました😊


〜ちり〜
東京都生まれ、2018年~2020年までマレーシア•サバ州の大学でグラフィックデザインを学んだ自称パイオニア
どちらかと言えばアナログ作品の方が得意&好き
現在は日本へ帰国し、東京を中心に超マイペースにイラストレーターとして活動中
将来はイラストとテキスタイルデザインの仕事を掛け持ちしたいので模索中なり。
好きなマレーシアの食べ物はマンゴスチンとマンゴー

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