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ショウペンハウエル『読書について』の読書ノート

 今回は、ショウペンハウエル著『読書について』(岩波文庫,1960)の読書ノートです。読んだのはもう数年前ですが、最近、図書館について考えている中で思い出し、改めて読んでみました。ヘッダーは本題とは関係していませんが、ロゴ用に画像を作ってみました。地形図をイメージして描いています。

 この本は、「̻思索」「著作と文体」「読書について」の3つの章から構成されています。これらのことからショウペンハウエルが主張していることはとても単純で、かつ力強いメッセージです。

・「もともとただ自分のいだく基本的思想にのみ真理と生命が宿る」(P.8)

 この言葉から分かるように、書物などから知識をいかに得たとしても、最終的には自分の考えをしっかり持っていることが一番大切だということです。「すでに他人の踏み固めた道になれきって、その思索のあとを追うあまり、自らの思索の道から遠ざかるのを防ぐためには、多読を慎むべき」(P.16)という主張もあり、『読書について』の文章で「よい読書のあり方」が書かれていると考えていた私は驚きました。「読書について」の章のはじめに、「読書は、他人にものを考えてもらうことである」と書かれているのも同様の主張で、自分で考えることが大切だと何度も述べられています。

 もちろん、これを真に受けて、何も本を読まない方がいいということではなく、ショウペンハウエルはよい本(古典)はしっかり読むようにとも述べています。そして、「重要な書物はいかなるものでも、続けて二度読むべきである」(P.138)と書かれていました。読書において、古典を大切にすることは、いつの時代も大切なことだと思います。地理学でも、古典と呼ばれる著作はたくさんありますが、地理学では隣接分野(社会学など)と比べると古典が継承されていないようにも思います。私自身もきちんと読んでいない本ばかりなので、せめて自分に関係のある重要な古典は、しっかり勉強したいと思います。

 私はショウペンハウエルの生きた時代の学説については全く知識がありませんが、ショウペンハウエルはヘーゲルに対しての批判を何度も書いています。当時の思想的背景なども知っていると、さらにこの本を詳しく理解できるかもしれません。

 なんとなくですが、兼好法師の『徒然草』のような、生き方などについて鋭く考え抜く文章にも、同じような魅力を感じます。こうした文章が書けるようになる日は遠いですが、自分も自分の考え方としっかり向き合って、自分にしか書けない文章を書いていきたいです。

 ということで今回は短い内容ですが、『読書について』のお話でした。お読みいただき、ありがとうございました。

 

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