九官鳥(4)

六十三日目(鐘が鳴る風景)

「[お金]?それについて、あなた方は聞いているの?[お金]?[紙幣]?[通貨]?あたしたちには概念自体のないものね。あなた方の言う[お金]って言うのはどんな仕組みなの?」白い服の人間たちは私の大好きな窓の前でしかめっつらをもっと醜い顔へと変えていく。
彼らは扉の外へ出ていくとやいのやいの言っている。
しばらくすると再びあたしの前に現れ、そこでその続きを始める。
やいのやいのとね。
あたしはその様子にうんざりするのさ、いつもがいつもこんな調子なのだもの。
少し時間がたった頃、あの顔の色をコロコロ変えた白い服があたしの前にやってくる(そう、あたしのかごを倒した人間だ)
「そらぁお前、[お金]は生活を豊かにしていく、また、平等に飯を食ってく為の仕組みに決まっているだろう。そう言う仕組みに、人間は[価値]を見出しているのさ。まぁお前みたいなものにどこまで理解できるかわからんがな」この人間達はあまり物を考えたりしないのだろうか、先ほどからの長い会議で導き出したものはこんな事しかなかったのか?
はたまた私に言っても理解しないだろうという事なのだろうか?
あたしはがっかりしながら
「少し聞きたいのだけれどもイイだろうか?」
白い服の人間は何を問いかけられるのだろうかとビクビクしてキョロキョロしている。
そこにあたしはズドンと話しだす。
「あたしは今まで自分の食事を摂取する行為について、[お金]だなんて思ったことがないものだからね。良かったらあなた方の言うところの[お金]と言う名の食事の様を見せていただけないだろうか?」
白い服の人間たちはみな顔を見渡す。
中には少し笑みを浮かべて指をさしている人間なんかもいる。
そんな中、少し髪の紅い人間が
「先ほどの話は、少し極論でしたね。わかりづらくてすみません。私たちの暮らしの中には[通貨]と言うものがありまして。それを用いると[名誉]と言うものが手に入ったり。それこそ[ぜいたくな暮らし]をしたいなんて人もいるでしょう。[お金]があれば何でもできると勘違いをしている人も多くいます。うまく言えませんが。その、あなた方には[お金]って概念がないのですよね。あぁ、気を悪くしないでください。悪い意味で言っているわけではなくて…。多分、必要としていないのですよね、[お金]なんてものを。自然、自然の中では生きるために必要ではないですものね」
少し髪の紅い人間は、必死に言葉を紡いで紡いであたしに説明をしてくれるのさ。
けして上等な言葉の言い回しではなかったかもしれないけれど、あたしの心には響いた。
鐘が鳴るように。
「あなた方には申し訳ないのですが、今から私はこの人間としかお話しすることはないでしょう。理解できました?」伝える終わりにニタリとしてやった。
人間たちはすごい勢いで慌てている。
紅い髪の人間を他の人間が取り囲む。
「お前のせいだ」「なんてことをしてくれたんだ」「お前はわかっているのか」
つまらない事をやいのやいの
それを見ていて本当に嫌な気分になってね。


「最後に忠告ですが、あなた方こそがまるで[価値]のないものなのですよ。例えばあなたたちが今している事は[お金]を得る行為なのですか?その行為は生活を豊かにするための事なの?」とね。
そう尋ねると彼らは肩をがっくり落としてこの部屋から出ていく。

ひとまずストックがなくなりましたので これにて少しお休みいたします。 また書き貯まったら帰ってきます。 ぜひ他の物語も読んでもらえると嬉しいです。 よろしくお願いいたします。 わんわん