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*素敵なブックカバーに惹かれて

『あずかりやさん』
著:大山淳子

「一日百円で、どんなものでも預かります」。東京の下町にある商店街のはじでひっそりと営業する「あずかりやさん」。店を訪れる客たちは、さまざまな事情を抱えて「あるもの」を預けようとするのだが…。「猫弁」シリーズで大人気の著者が紡ぐ、ほっこり温かな人情物語。

ふらっと立ち寄った本屋で出会ったものです。

カラフルで可愛いブックカバーに、なんだか妙に惹かれてしまって、手にした本。

あらすじと、最初の数行から溢れ出る雰囲気から、

あぁ、これ、たぶんきっと、好きだなぁ…

と、私の心がつぶやきました。

そして少し迷いましたが、購入を決断。

家に読まずに積まれている本があるにも関わらず、わたしはよく、本を衝動買いしてしまいます。

ただ、本との出会いで、ハズレたことはあまりありません。今回だって、大当たり。


ここからは本の紹介と感想。


物語は、明日町こんぺいとう商店街にある「あずかりやさん」を中心に進んでいき、各章、お客さんが訪れるところからストーリーが展開されていくから、短編小説のような雰囲気で読みやすい。

物語がだんだんと進むにつれて、よく利用する常連さんが現れたり、お客さんとお客さんが実は繋がっていたりして、読み手を楽しませる感じも忘れていない。

それから、語り手が毎回違う。

お店にかかってるのれんだったり、預けられる自転車だったり、お店に佇むガラスケースだったり。

店主を取り囲む者たちが語り手となってる。

それぞれの視点で描かれる店主の姿や、それぞれが抱えている店主に対する思いが細かく描かれていて、この世界観にすごく入りやすいの。

それがまた好きだなって思えるところ。


ドラマにするとしたら、主人公である店主がいて、お店によく来る世話焼きなおばさんがいて、そこに毎話毎話、違うゲストが現れて、1話完結型のドラマになるだろうな。

語り手は朝ドラのナレーションみたいな感じでさ。

それから私の中の店主は、松坂桃李。正直最初は性別もわからず年老いたおばあさんを勝手に想像してたけれど全然違って、性別や年齢がわかってきてからも誰もしっくり来ないまま読み進めていたけれど、一度彼で想像してみたらもうそこからはずっと彼。我ながらナイスキャスティングと思うほど。

本を読むとき、ついつい頭の中で勝手にキャスティングしてしまう癖がついている。

必ずしも実在する人物に当てはめるわけではないけれど、自分のなかでなんとなくのビジュアルを想像しながら読んでいく。というか、そうしないと読み進めれないのです。

だからか、描写が細かく書かれている本の方が好きだったりするかも。


本の内容としては、心温まるほっこり系。

店主がとても優しい人で、柔らかい、穏やかな印象で、そんな店主だからか、訪れた人がみんな「あずかりやさん」に来たことをきっかけに、前を向いて自分の人生を歩んでいこうとするの。

ときたま心がぎゅっとなる話もあるけど、終始やさしいぬくもりに包まれているような感覚。


初めて手にしたときに抱いた「きっと好きだなぁ」という直感は、読んでいる最中も、読み切った後でも裏切られることはなく、出会えて良かった、あのとき購入して良かったと、心から思えています。


読み終わってふと思いましたが、私が惹かれたブックカバーは、こんぺいとうをモチーフにしているのかな。明日町こんぺいとう商店街にちなんで。(見出し画像のです)

これ、栃木の本屋さん「うさぎや」が、「この本を一人でも多くの人に読んでほしい!」という思いから作ったオリジナルカバーらしいです。今では全国の書店に広がっているそう。

このカバーがなかったら、もしかしたら手に取っていないかもしれません。そう感じさせるほど、本当に素敵なブックカバーです。



では、最後まで読んでいただきありがとうございました。続編があるみたいなので、また今度読んでみようと思います。


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