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読書感想文-好きに書いていいんだよ幻想

@nanngin
[前略]「読書感想文」って必要なくない?
あれで読書が憂鬱になるし、いちいち本読んだ後に普通、感想文とか書かないでしょ?日本人の読書嫌いと作文嫌いを助長していると思うのよ。国語の教員なのにこういうこと言うのはどうかと思われるかもしれませんが、ぜひ意見ください。

今日、このツイートが話題になっている。

私に言わせてみれば、我々がすぐわかること-わからないこと、出鱈目-型という対立図式の、それぞれ前者を追い求めてきたがゆえに、読書感想文不要論が出てきたのだと思う。タイトルの「好きに書いていいんだよ幻想」というのは、すぐわかることを出鱈目に書けばいいと思い込んでいることである。

先に私の意見を述べると、読書感想文の要不要はどちらともいえなくて、もし読書感想文を書かせるのなら、ある程度の枠組みを児童生徒に提供する必要があると思う。これだけ読んでもらったら私の記事の大筋は理解でき、あとは補完部分なので、暇な人だけ読み進めてほしい。

テーマの整理

読書感想文は必要ない

必要ない理由の整理

・読書感想文を書く意味が見出せない

・読書感想文の書き方がわからない

・教師も読書感想文をどう教えたらよいかわからない

・読書とは、好きな本を読んで、好きなように感想を持つもの

(・)子どもが読書感想文を書くと、大人の業界が盛り上がる(下記引用を参照)

@nanngin
なんだって「第66回青少年読書感想文全国コンクール」とかあるわけ???
しかも内閣府、文科省の後援よ。
暴露しちゃうけど、このコンクールの感想文集の売上が図書館担当の先生たちの研究会の出張費用とかになっているの。[以下略]

※これについては、今回の私の主張から話が逸れるので言及しない。

私の意見

冒頭で述べたように、キーワードは「すぐわかること」と「出鱈目」である。感想文は、自分の考えたことを理路整然と説明する必要がある。

ただし、読書の感想とは、一言では言えない・まとめられないことを、おそらく世の人々は知っている。日本の小学校教育を受けてきた人々なら、例えば、「ごんぎつね」の結末、撃たれたごんを見た兵十の気持ちを一言でさらっと言えないことはわかるだろう。

「ごんぎつね」に限らず、入り混じった気持ち・感情を紐解きながら、読者である自分がどう読み取ったのかを、文章にする作業が必要で、おそらくこの作業を感覚的にできる人は読書感想文が得意だと思えるのだろうし、時間がかかる人は、嫌いになるのだろう。

説明文でも同じで、筆者の主張を自分の感想と照らし合わせながら書く作業ができるかどうかというところ。

私の感覚としては、若手から中堅の人に見られることだが、「好きに(自由に)○○していいよ」と言うことを美徳とする教師が一定数いる。これが厄介で、あらかじめ手立てを教えてもらわないと、子どもは暗中模索の中で作業に取り組むことになる。例えば、レポートのテーマを自由に設定していいよと言われても、レポートが何なのか、調べたいことに行き着かないからレポートが書けない。また、好きな絵を描いていいんだよと言われても、描きたい絵がわからないから描けない。

読書感想文もきっと同じで、「好きに書いていいんだよ」と教師が言うと、子どもは混乱する。そこで、あらすじと感想を、手当たり次第に文にして、。でつなげて文章にする。そして感想文を書いたことにする。この作業に何の意味があるのかもわからなければ、熱意ある先生から赤ペンで修正されたり、なんちゃらコンクールに出品されたりする。しかし、当の子ども本人は、感想文が何たるかわかっていないので、結局よくわからないまま大人になる。こういった構図だろうか。

私の提案としては、作品に対しての「誰が」「何をして」「どんな気持ちから」「どんな気持ちに変わって」「私はどの部分について印象に残って」「何を思ったのか」「なぜそう思ったのか、具体的な経験は?」と、枠組みを提示して、それに沿って書かせる。これが国語教育の本流とは違う気がするが、こうして枠組みを子どもに提示すると、ちょっとはやりやすくなる気はする。

補論:法則化運動について

こういう作業は、法則化運動(教育技術の法則化運動・向山洋一氏主宰)が感想文指導の本を出しているはずで、この記事を読んでいる皆様も一度読んでみることを薦めたい。そう言う私があまり読んでいないのであるが(本を読まない教師を向山氏はボロクソに言っていて、浅学非才で恥ずかしいのだが)、とりあえず法則化運動の本を読んでみると、私の言う型の指導の具体的な提示があるはずだ。

私は法則化運動関連の関係者ではないのだが、冒頭に引用したツイートを見たときに、「おそらく法則化系(TOSS系)の人が読んだらボロクソ叩くんだろうな」と反射的に感じた。ちょっと怖い人たちではあるが、熱い思いを持った人たちである。指導に迷っている人は、amazonか何かで探して読んでみてほしい。

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