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映画『パラサイト』を見て感じた「違和感」の正体

今日は、映画『パラサイト~半地下の家族~』を見てきました。その感想を書こうと思うのですが、少しネタバレが含まれるかもしれないので、映画をまだ見てない方は見ないで下さい。

率直に言うとかなり面白かったです。
なんというか無駄がない。少ない巻数で終わる名作漫画を一気に見た気分。それこそ、漫画『寄生獣』を見たときに感じた、「すげぇ濃い内容なのにこんな短い話だったんだ!」という驚きと同じ感覚でした。

ストーリーの内容的には、納得いかないところはありませんでした。ただ、少しだけストーリーを進めるためのご都合主義が見え隠れする場面はありましたが。
(リアルだったら、普通そんなタイミングよく転げ落ちないだろ的な。笑)
しかし、そうした場面を最初に散りばめておくことで「コメディ映画ぽさ」が出ていて、後半のシリアスな展開がより際立っていたと思います。
前半ではあった観客の笑い声が、後半では全くありませんでした。

ここからタイトルにある「違和感」について書いていきたいと思います。

なんの「違和感」かと言うと、笑いに関してです。
先に書いたように、前半は比較的笑える要素が多かったです。なので、観客は私も含めて何度か笑いが起きていました。
しかし、後半に進むにつれて、
「あれ?さっきまで笑えてたけど、今だと笑えないなぁ。」
となってくるのです。
その決定的なシーンが、体臭をバカにされるシーンです。半地下で暮らす人の持つ特有の匂いを、金持ち男が「切り干し大根のような匂いだ」と言うシーン。
ここから会場の笑い声はこれまでの半分程になっていました。最終的にはゼロに。
ただ、その時にはなぜそうなったかがわかりませんでした。単に笑いの沸点が違っただけかもしれません。しかし、どうしてもそうとは思えなかったのです。それが私が感じた「違和感」です。

違和感の正体は映画を観終わってからわかりました。
会場は、「笑える人」「笑えない人」に別れていたのです。

前半の流れのまま続いていけば、ただの小ボケとして受け入れられました。しかし、話が進むにつれて、主人公たち一家の金持ちに対する嫌悪感が現れてきます。
格差社会の問題が目に見えてくるのです。
そうした、主人公たち一家の様子を見ると
「なんで人の不幸を笑ってしまってたんだ。。。」
と反省して観てしまうのです。
そして、最終的にはこれまで笑えていた発言が人を傷つける発言にしか聞こえなくなる。。。

こうした、話の展開の巧さから、笑いあり・社会風刺ありの作品をスムーズに観ることができたのだと思います。本当に話の無駄がなく素晴らしかったです。

余談ですが、この作品はR-12。私は既に成人してるので平気だろうと高を括っていましたが、普通にびくびくして見てました。ラストのパーティーのところ、こわすぎ。。。