ベルリンのワークスペース事情
渡欧初日はベルリンです。
今回はインキュベーションスペースを中心に。
得た所感としては大きく3です。
そもそもスタートアップが多い
入居企業やリーチしている起業家の数が多いと感じました。
MOTION LABではハードテックスタートアップが約70社、270人ほどが利用者として登録しているそうです。「創業して1~2年くらいがメイン」と説明を受けましたが、電動バイクや自転車で移動する屋台など、日本のハードテックよりもずいぶん大きなものを手掛けていました。必ずしも技術の最先端を追っているわけではないようですが、それにしても多いです。
事前にスタートアップが多い、という話は耳にしていましたが百聞は一見にしかずです。
スタートアップの起業家がベルリンを第一起点に選ぶ理由
欧州の「スタートアップ首都」ベルリンはなぜ、巨大プラットフォームを批判し、循環経済を目指すのか
必要分だけ開かれたコミュニティ
コミュニティについては日本と比較するとクローズドに見えます。
アイディアレベルよりもプロトタイピング段階の起業家を重要視しています。また、コミュニティに参加するにおいてもある程度のコミットが求められています。自分が何をコミュニティに対して提供可能なのか明確に訊いてきます。"コミュニティといえば裾野を広く…”としがちな日本とは対照的です。この傾向はアメリカよりも強い印象です。日本がいつまでも"シリコンバレー"と言っているのはもしかしたらヨーロッパで相手にされていないのではないか、とすら思ってしまいます(シリコンバレーはオープンにすることでお金を稼ぐプレイヤーがいたり、一攫千金を目指す起業家が世界中から集まってくるため、"ぶっちゃけ誰がいつどう化けるかわからない"から仲良くしとく、という雰囲気を感じます)。とかく、何をコミュニティに提供できるかが重要です。
手前味噌ですが拙著、"コミュニティマネジメントとは何か"、の通りにコミュニティをマネジメントしているように見えます。
とにかく広い敷地面積
スペースの敷地面積がとにかく広いです。500坪や350坪の建物に3~5フロアもワークスペースを持っています(もちろん個室もある)。これだけ広いのに席を埋める圧が強いように見えません。ビジネスとしては純粋に不動産業を行っているケースもあれば(いや、それが成り立ってるのがおかしい)、行政の支援や企業・VCからの支援を受けているスペースもあります。調べてみるとベルリンの地価は2010年代に非常に安かったそうです。10年代後半になると上昇していったようなのでこの図のまま、というわけにはいかないでしょうが、床に稼いでもらわなければならない圧力が低かった可能性があります。その分先述のコミュニティに力を入れられたのでしょう。入居企業が大きくなって床を埋めてくれることでベースとして持っている不動産ビジネス上の矛盾が生じにくいからです。
蛇足ですが、ドロップイン可能な施設は調べた限りweworkくらいでした。日本ではない、weworkオンデマンドという一部の拠点を1日利用できるプランがあります(けっこう良い値段する)。
ということでベルリンのワークスペースについてまとめました。明日はウィーンについて書きます。