不安を湯気にする!もち・ふわ・ジューシー肉まん|中国・武漢のお母さんの中華料理
不安になると食べたくなるもの。それは、肉まん。
28歳で北京の広告会社に転職した時のこと。同僚は中国人の女の子ばかりで、お昼休みはちょっとだけ苦痛でした。まだ中国語もそんなに聞き取れなかったから、みんなが何で笑っているかもわからないし。同僚に気をつかわせたり、頑張って合わせて一緒にいるよりは、ひとりで過ごすほうが気が楽でした。
ある日のお昼休憩中、時間をつぶそうと近所を散歩してみたところ、アパート群のある団地の入り口で、とてもローカルな肉まん屋さんを発見したんです。お店はキオスクを半分にしたくらいの大きさで、普段着のオバちゃんが中にいます。「これください」と言うと、湯気でもわもわした木の蒸し器の中から、ぶっきらぼうにトングで肉まんを取り出し、紙袋に入れて渡してくれました。
いそいで近くのベンチを探し、まだ熱々の肉まんを頬張ってみました。さわると柔らいふかふかなおふとんのよう。ひとくち噛むともちもち、まもなくじゅわっと肉汁が溢れ出します。こ、これは・・・
手触りも、味も、食感も、すべてかんぺき。肉まん界の羽生結弦みたい。食べているたった数分でしたが、新しい職場での緊張がふわりとやわらぎ、湯気になっちゃったみたいでした。
それと交換で驚きの気持ちがわいてきました。中国ではこんなローカルな屋台でも、ここまで美味しい肉まんが食べられるんだ・・・!
それから7年後のいま。私は北京で転職したばかりの時のように、少しだけ不安な気持ちになっています。あの時と違うのは、小さなふたりの子供を抱えていること。そして、フリーランスになったこと。
「あの熱々、できたての肉まんが食べたいな」
本能的に、ふと思いました。
武漢に住んでいる夫の母は、じつは以前、日本の赤坂にある高級中華料理店で10年近く働いていました。そのお店は、肉まんがとても有名です。
「お母さん、肉まんのつくりかた教えてもらえますか?」
聞いたそばから、もう手順を暗記しているかのように、お母さんは電話越しに細かく教えてくれました。すると少し手間はかかったけど、簡単な工程で「あの肉まん」が完成したんです!
高級中華店の肉まんも好きだけど、自分でつくった肉まんはもっともちもちで、肉もじゅわっとジューシーで、とてもとても美味しかった・・・!自分でつくれた嬉しさと交換で、やっぱり不安な気持ちを少し手放すことができました。今日はそんな肉まんのつくりかたをお伝えします。
●まずは皮からつくります!
【用意するもの:8個分】
薄力粉 150g
強力粉 50g
砂糖、塩 各ひとつまみ
ドライイースト 5g
ベーキングパウダー 5g
サラダ油 小さじ1
ぬるま湯 100cc
ぬるま湯以外の、皮の材料をぜんぶボウルに入れます。そこにぬるま湯を少しずつ加えながら、手でこねていきます。最初は小麦粉が手にくっつくのですが、気にせずこねます。ある程度まとまってきたら、手についた小麦粉をはがしながらこねます。
弾力が出てきたら、親指のつけねの部分を皮に押し付けるように、グイグイ押しながらこねます。
3歳の息子にはちょびっと生地を渡したところ、小麦粉粘土のようにこねて遊んでいました。
粉感がなくなり、ひとまとまりになったらこねる作業は終わり。
濡れたふきんをかぶせて発酵させます。だいたい30分くらい。30度くらいの暖かい場所がおすすめです。
太陽の下に置いておくと早く発酵します。お庭に置いてみました。ちょっとシュール(笑)発酵させている間に、肉餡をつくりましょう!
発酵した皮がこちら。じゃじゃん!ビフォーに比べて、1.5倍くらい膨れ上がります。
●発酵中に、中身づくり!
【用意するもの:8個分】
A:最初に混ぜるもの
豚ひき肉 150g
ねぎ 1/3本
生姜 10g
塩、砂糖 各ひとつまみ
卵 1個
水 大さじ1
たけのこ 50g ※なくてもOK。あると食感が良くなる
B:追加で混ぜるもの
醤油、酒、鶏ガラスープ(味覇や創味シャンタン)、サラダ油 各小さじ1
C:最後に風味をつけるもの
甜麺醤(なければ味噌)、ごま油 各小さじ1
五香粉 ひとふり ※なくてもOK
まずはAをすべてボールに入れて混ぜます。この時お箸で混ぜてもいいのですが、手をつかって混ぜると時短に!混ぜる方向は左か右の1方向だけに統一し、ぐるぐる混ぜると味が馴染みやすいです。生姜・ねぎは多めだと美味しいです。
次に、調味料Bを加えて混ぜていきます。引き続き手でぐるぐる。よく混ぜることで味が馴染みなめらかな餡に仕上がります。(この混ぜる工程がとても重要!)次に風味づけのため、調味料Cを加えます。
茹でたお湯に餡をティースプーン1杯くらい入れ、ゆだったら味見をします。ここでお好みにあわせ、醤油を少しだけ加えてください。皮があるのでしょっぱめのほうが美味しいです。
●皮で肉を包みます!
さあ、いよいよ包む作業。まず皮を8等分します。はかりで全体量を測り、8で割ってみてください。(だいたい33g前後になるはず!)
まずは直径9〜10cmくらいに綿棒で伸ばします。
中央の厚みだけ残し、まわりを薄くさらに綿棒で伸ばしていきます。皮を左手で回転させながら、右手で綿棒をくるくるすると高速で伸ばせます。直径13cmくらいにします。完璧な円にならなくてOK!
手のひらに皮をひろげ、その上に大さじ1くらいの肉餡をのせます。
そうしたら、利き手でヒダをつくりながら、くるくると包んでいきます。人差し指と親指でヒダをつまみ、次のヒダを中指で手前に寄せるイメージです。難しそうに見えるかもしれませんが、まあ、皮が閉じればそれでOK!
最後はフォークで飛び出てきそうな肉餡を押し込みました。ここだけ、義母ではなく私流(笑)
ふう、なんとか完成。まるっこい小さなフォルムが、なんだか愛おしい。
●寝かして10分蒸します
15センチ四方くらいにカットしたクッキングシートを肉まんの下に敷き、蒸し器の中に少しずつ間隔をあけてのせていきます。蒸し器の中で常温でさらに15分〜20分くらい寝かせると、さらにモチモチふわふわの肉まんになります。
もし蒸し器がない方、蓋のある鍋やフライパンの上に水を2センチくらい入れ、その上にクッキングシートをひき、肉まんをのせてください。
並べたらあとは蓋をして15分蒸すだけ。こう見ると形がかなりいびつだけど、初めてならこれでよし(笑)
●やっと完成ー!
ぐつぐつと蒸したら、ほら、完成!ふわ〜〜と湯気が。ああ、できましたできました。
まだ湯気をまとった肉まんは、湯あがりむすめのよう。色白で、むっちりしてて、いろっぽい(笑)
そして噛んでみると、中からあふれでるジューシーな肉汁。たけのこの食感が、シャクシャクといいアクセントに。もう、もちもちの皮とあわせて食べると、止まらないのです。
できあがった肉まんは、朝食に食べてもいいし。(ジャスミン茶との相性が最高にいい!)こんな風に、お昼ご飯や晩御飯のおかずに添えてもいい。もちろん、おやつにだって。
・・・とここまで見て「肉まんつくるのって、ちょっと大変かも」と思った方も多いはず。確かにちょっと手間ではあるのですが、すべての工程は案外簡単で「私でもできちゃった」というのが正直な感想です。
でもこんな手間な工程を、すべてオンライン電話で見ながら付き合ってくれた武漢のお母さんは、やっぱりすごい。私の知っている武漢の人はみんな、こんな風に誰かのために全力で尽くしてくれる人ばかり。
肉まんを食べたら不安な気持ちが、ふわっと湯気になったかな。なっていたらいいな。これからも、人を幸せにする武漢のお母さんの中華レシピを届けたいと思います。それではまた!
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小森谷 友美 (🐤Twitterはこちら)
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