消えた政治局員(1)
中国のニュースを見ていると、
日本では報道されないニュースがあります。
理由は色々なのでしょうが、
日本のメディアにとっておいしくない、
視聴率が稼げないと言う理由かもしれません。
それでも、こんな話はたくさんあるので、
記事にしようかと思います。
2012年、落馬した重慶市北碚区共産党委員会の雷政富書記の場合。
2007年に重慶市のある不動産開発業者が仕込んだ18才の女性に誘われ関係を持ち、動画を撮っていました。
2007年から、雷氏にゆすりをかけ、2009年になって、ゆすりかける開発業者の要求がエスカレートしたため、手に負えなくなった雷氏(当時は副書記)は当時の上司となる重慶市共産党委員会書記の薄煕来氏に告白。薄氏は不祥事を起こした部下の処分を棚上げし、当時の王立軍、公安局長に捜査を命じ、ほどなくして開発業者と女性が拘束された。
女性は1ヶ月間勾留され、業者は印章偽造の罪で1年間の懲役刑を受けた。「この時、王の捜査チームは他にも多数の政府幹部の情事動画を押さえていた」らしい。
雷氏はその翌年の2010年に、薄元重慶市書記の元で、区の副書記から書記に昇進した。
表では犯罪撲滅キャンペーン「掃黄」を派手に展開した薄氏の裏が垣間みえる事件で、これは薄が地方勢力を仕切るやり方らしい。雷氏のような地元出身の幹部について、利用できると判断した場合は、不祥事が暴かされても公にせず、反対にトラブルを解消してあげることにより、自陣に加える。「地元派閥を解体させるためにも使われてきた手法と思われる。
薄氏の影響力が強い重慶市で封印された動画が、薄煕来の失脚で、公安局内部の人により日の目を見た。不正の暴露でひんぱんにブロックされてきた人民監督網も今回は問題ないらしい。「風向きが変わった」「当局内部の権力闘争の延長かもしれない」、それを裏付けるように、胡錦濤氏に近いといわれる団派の孫政才氏が重慶市のトップの座に就いた日に、雷書記の解任が発表された。
孫書記はその後「低俗で乱れた風紀に断固反対」「地位を利用して賄賂を受け取り、便宜をはかる行為を厳重に取り締まる」などと発言した。一方、北京では、政法(司法・公安)委の孟建柱、新書記も重慶市に精鋭を送り、孫書記の腐敗撲滅を応援すると中国は報じている。政法委は、薄氏の後ろ盾となる前政治局常務委員の周永康氏の牙城であったことも知られている。こういった流れから、孫書記の腐敗撲滅は、重慶市に未だはびこる薄勢力を一掃する方策だという見方が出来る。
公安局内部が入手した動画は全部で6本。雷書記以外に、1人は薄・王事件後に失脚し、残りの4人は「いまも政府幹部のポストに就いている」
雷書記の情事の相手となった女性も、「これは始まりに過ぎない」とコメントし、「もっと高いポストの人がまだ無傷だ」「彼らのたくさんの人を知っている」と検挙に協力する姿勢を示した。
だが、政府幹部の腐敗を掘り出したら、とどめが利かなくなるため、孫書記の腐敗撲滅は薄勢力をピンポイントに実施された。
中国の場合、掃黄と言う腐敗撲滅運動とは、プーさんが行う敵対勢力の追い落としでしかありません。