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留学

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歯科事変 日帰りロンドンと変なオブジェ

歯科事変 日帰りロンドンと変なオブジェ

 前回「歯科事変 飴、食べなきゃよかった」はこちら

 日本人がやっているというロンドンの歯医者はとっても高級感漂う佇まいだった。

 私以外の患者がみんなお金持ちそうな品のあるマダムしかいなかったからだ。ロンドンに住んでいるような日本人はお金持ちなんだろうな、そりゃそうかと思った。

 診断の結果は虫歯。治療はどれくらいの期間かかるかわからないと言われた。え!そんな悪いの。しかもわからないって毎

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歯科事変 飴、食べなきゃよかった

歯科事変 飴、食べなきゃよかった

 ご存知の方はご存知だと思うが、私の交換留学を語るには、歯医者の話は避けては通れない。

 数年前の話なので、私の記憶が書き換えられている可能性は多いにあるだろうが、覚えている範囲で書いてみる。何故こんな仰々しい書き方をして、かつ、もっともらしいタイトルをつけているかというと、当時の私には、それはもう、とても大変な出来事だったからである。

 最初に痛みを感じたのは、8月のpressesional

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ひとり渡航 最初で最後の

ひとり渡航 最初で最後の

 「ひとり渡航 英英辞典を覚える」はこちら

 帰りたすぎて、帰りたすぎて、2週間がやっと終わった時には、ほんっとうにせいせいした。こんなよくわからない言葉が飛び交う中で、大して目標もないのになぜこんな悔しい思いをしなければならないのか。つらい。むり。もう二度と留学なんぞしないと誓った。

 初日に入国審査で止められたのも大きな要因だ。出鼻を挫かれた。その次の日、親にもう帰りたいと泣きついたが、自

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ひとり渡航 英英辞典を覚える

ひとり渡航 英英辞典を覚える

 「ひとり渡航 何も言えない」はこちら

 授業の中で、自分の持ち物を他の人に売ってくださいと言うのがあった。つまり、商品を宣伝する謳い文句を考えろと言うのだ。もちろん英語で。

 日本語でも難しくない?と思った。そんな創造的な発想は持ち合わせていない。わたしはとりあえず何か言わねばとボールペンを売ることにした。頑張って、めちゃいいやつです、ブランドです(日本製ですは通用するのだろうか)と言う。簡

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ひとり渡航 何も言えない

ひとり渡航 何も言えない

 「ひとり渡航 助かったというか」はこちら

 こうして語学学校に行く生活が始まった。

 授業は月から金、朝9時から午後3時まで。だった気がする。2月下旬くらいに行ったので、午後5時になると辺りはもう真っ暗だった。右も左もわからないわたしは町を探検する元気も勇気もなく、授業が終わると真っ先に家に帰った。

 朝はバスで通った。時間は15分くらい。家から歩いて30-40分のため、バスでの乗り方を教

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ひとり渡航 助かったというか

ひとり渡航 助かったというか

 「ひとり渡航 もう帰りたい」はこちら

 わたしを見張ってたおじさんが気の毒そうに話しかける。中国人?って聞かれる。いや、日本人ですとかろうじて答える。英語圏の人からしたらアジア人なんて全部一緒に見えるんやろうなとか思った。ここで、少し世の中の広さを感じる。わたしの英語力では、もうこの1ターンを返すだけで精一杯で、その後は目の前の列が進んでいくのをただただ眺めていた。

 両親に助けを求めるも、

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ひとり渡航 もう帰りたい

ひとり渡航 もう帰りたい

 「ひとり渡航 空港着いた」はこちら

 入国審査の人はなんか気が強そうなお姉さんだった。パスポートと搭乗券を渡し、なんで来たのか、どこに泊まるんだとか質問される。事前に先生のとこで書いた、これ覚えておけば答えられるだろうリストを思い出す。すると、入国目的が語学学校へ行くことだと言った時、証明書を見せろみたいなことを言われた。証明書?そんなん持ってないわ…わたしの言葉と語学学校の資料だけじゃ信じて

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ひとり渡航 空港着いた

ひとり渡航 空港着いた

 「ひとり渡航 出国前」はこちら

 18才で初めて、ほんとうに1人で海外へ行くことになったのである。

 何が必要かもわからないのでとにかく考えられる必要なものを全てスーツケースにいれた。二週間の滞在で服は一週間分、薬、日本食が恋しくなった時用にインスタントのお味噌汁(結局飲まなかった)、あとパソコン(なんでも持っていったんだろう…)。話はそれるが、わたしは圧縮袋が苦手だ。全然圧縮されない。やり

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ひとり渡航 出国前

ひとり渡航 出国前

 大学一年生の春休み。

 2週間ほどイギリスの語学学校に行くことになった。贅沢。

 きっかけは当時通っていた英語の先生に、一回語学留学してみれば?と言われたことだった。以前より漠然と留学に行ってみたいということを話していた。しかし、いつまで経っても何もしないわたしを見かねて、先生が提案してくれた。

 そう言われた時、わたしはまさか自分が留学に行くとは思ってもみなかった。自分で言ってたのに。い

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