詩『きこえる音』


生きている意味を車に乗せていたら

突然、エンジンがついて崖から独りでに落ちていった

少し離れた場所から僕はどうすることもできずにその様子を見ていたよ

ドドドと地響きを感じた瞬間に、僕は僕の聴力を失った

音がない世界でも自然はやっぱり偉大な存在で僕は全てがどうでもよくなった


薄っぺらい空を飛ぶ鳥は

鳴かない 決して鳴かない

激しく僕に降り注ぐ雨は

僕に何も言わない 言わない


崖の下を覗くと

ぐしゃぐしゃになった古い僕の車

車輪だけが回り続けている

飢えに苦しむ人間のようにもがいている


僕は聞こえる気がする

僕がまだブルースを口ずさんでいた頃に出会った名前も忘れたあの人の声

雨と泥で埋もれていく車の中から僕を刺激して刺す

車輪はぐるぐると回り続ける

ぐるぐる、ぐるぐる・・・

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