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「統合と解釈」を制す者は「臨床」を制す

皆さんは「統合と解釈」という言葉をご存知ですか?
私は学生の頃に実習先でこの言葉を知りました。

理学療法評価過程で何が一番大事であるかと問われると、セラピストの多くは統合と解釈であると返答するものが多いと言われているほど。

しかし、統合と解釈についての報告は少なく、分かりやすくまとめているサイトも少ないのが現状です。

また、セラピストによって少し考え方が異なっていたりするので、一概にこれが正解であると言うことは難しいと思います。

統合と解釈について、以下の文献や参考書に記載がありましたので、それを参考に学んでいきたいと思います。

①西守らの「評価における統合と解釈」関西理学 2004年 
②畠らの「臨床評価ガイド」2022

今回は「統合と解釈」について学び直し、できる限り簡単に説明できたらと思います。



統合と解釈の定義と目的

畠らの「臨床評価ガイド」2022 p4の図を参考に作成

「統合と解釈」とは一体どういったものなのでしょうか。

【統合と解釈の定義】
患者の動作能力のレベルと検査結果との因果関係を結びつける作業である。

西守ら,評価における統合と解釈,関西理学.2004年 

これだけでは何だか難しい印象を受けますが、
まだ諦めないでください。読み進めてみましょう。

統合と解釈の目的には以下のものがある。

①活動制限とその原因の因果関係を解釈する
(例)活動制限:杖歩行中の膝折れ
   ⇔原因:大腿四頭筋の筋力低下

②参加制約を考慮し、活動制限の改善の必要性を解釈する
(例)参加制約:スーパーマーケット(距離500m)まで買い物に行けない
 →活動の制限の改善:500m以上の連続歩行能力が必要

③対象者の示す現象を解釈する
(例)現象:肩関節屈曲時の痛み
 ⇔解釈:肩腱板の弱化による肩甲上腕関節のインピンジメント

④障害の予後を解釈する、活動制限と機能障害の改善の可能性を考える
(例)脳梗塞発症後、1週間経過時のSIASが◯◯点
 →目標は自立歩行獲得が妥当

畠らの「臨床評価ガイド」2022 p12-13

統合と解釈の目的にはこのようにいくつかあるみたいですね。

患者の動作能力のレベルと検査結果との因果関係を結びつける作業である。という言葉の意味が少しわかってきたような気がします。


個別性に配慮した解釈

統合と解釈を考える上で重要なのが、情報を中立的かつ客観的に、そして個別性に配慮して解釈することです。

それはどういったことかというと、

身体機能や動作能力が標準よりも劣っていることを問題点として挙げることは適切ではないということ。

例えば、膝関節の屈曲可動域が70°であった場合、それが問題点であるかそうでないかは、他の情報との相互関係による。

歩行の自立には影響は少ないが、階段昇降や立ち上がり動作の阻害因子になるかもしれない。そのため、情報としては「関節可動域制限」ではなく「関節可動域が70°」という事実のみあればいい。


まとめ

多くの情報を集めても統合と解釈をして全体像を把握しない限り、目標設定や治療プログラムの立案に進むことはできない。

今回は統合と解釈について学んでみましたが、何回も文献を周回して読むことで知識が深まっていく気がしています。

簡単そうで奥が深い「統合と解釈」
この考え方を常に続けトレーニングしていく必要がありそうです。

今回私が読んだ文献のリンクを貼っておくので是非興味ある方はみてください。何か新しい発見がありましたら、私に教えていただけると幸いです。

「西守ら.評価における統合と解釈.関西理学,2004年 」

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jkpt/4/0/4_0_37/_pdf


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