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ひの
2022年6月24日 17:29
どこにも居場所を見出せなくなって、また目的もないのに乗り継ぎに便利な駅の方向に近づきながら身体を揺られている。横たわっていないと世界との均衡が保たれないと思った。テスト期間で早めに下校し始める中学生の歓声が窓を叩く。私が衝動に乗っ取られるのは14、15時が多い。目を閉じても夢がないとわかったら、ベッドをビンタして立ち上がる。ちょっとフラフラしてから、オーバーサイズの服をスッと取り出す。気の
2022年6月13日 02:47
「色褪せてはいないけれど、このままにしておきたいよね。」刺激を求め、いつも私を置いて走り、だんだんと遠ざかり小さくなっていく彼の背中を見ているのが好きだった。でも、彼はそこまで速くない。時に立ち止まり、天を仰いで、考え事の過程と結論を照らし合わせている。人並みの自尊心なら、2歩進むごとに途中経過を誰かに見せては「偉いね」の一言が欲しいものである。物事の捉え方と価値観の多様化を謳う