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素敵なあの人から「みる・きく」を学ぶ /命を想像力と行動力と助け合いで守ることが「防災」

※本投稿はオンラインサロン<ChildcareHOUSE>内の掲載記事を、一般公開用に縮小したダイジェスト版です。

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防災関連事業開発・防災支援事業コーディネーター・防災支援コンサルティング  山口和彦さん

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<プロフィール>
山口和彦(やまぐちかずひこ)
株式会社ラピタジョイエイト会長

会計業務及び経営コンサルタント業務をしていく中で、様々な出会いを通し、多種多様な事業を展開する。その時の出会いの中で日本の防災事情を知り、その状況や市場を知ることで、これでは物売りとしての取り組みだけで、命を守りつなぐという視点になっていないことに気づかされる。

そこで、防災をビジネス化し、システム化をすることと、さらに防災支援としての教育や指導をよりわかりやすくリアリティをもったカリキュラムを作り提案することで、誰もが災害に備える力を身に付けて命を守りつなげていくことができるよう日々切磋琢磨した活動を行っている。

現在まで日本地震対策推進協会の立ち上げ、防災対策士の資格事業の立ち上げと指導、防災の部分リフォームビジネスの提案、防災商材・グッズの企画・販売などを行う。現在は防災関連会社の会長就任など、日本の防災支援事業の立役者を担っている。また、防災を通したSDGsにも取り組んでいる。

現在は、コロナも命を脅かすものとしての災害と考え、コロナウイルス対策関連の商材・グッズなどの企画・販売にも広がっている。

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日本は今や「災害大国」といわれるほど、地震・津波・台風・大雨・火山噴火など、甚大な自然災害が日本のあちらこちらで起こるようになりました。そして、それらはいつも痛ましい傷跡を残していきます。今年も多くの災害が起こりました。被災されました皆様には心からお見舞い申し上げます。

そして、自然災害だけではなく、2年前からは新型コロナウイルスによる感染拡大もまた、命を脅かす災害と言えるのかもしれません。

「天災は忘れた頃にやってくる」という言葉もありますが、もうそのような構え方では、自身も、大切な人も守ることなどできません。チャイルドケアは、ホームケアを向上させることを目的にしていますが、「防災」への取り組みもホームケアとしてとらえていきたいと思います。

「【危険】だから防災をしましょう」ということではなく、よりよく暮らしていくためには正しい情報と必要な知識を事前にもって、日々の暮らしを地に足を付けて考えていきましょうというのがチャイルドケアのスタンスです。防災をネガティブとしてとらえるのではなく、安心安全な暮らしのためのポジティブなものだと考えることで、日々の認識を高め、慎重に、効率的に冷静に対処できると思います。

今回は、ある偶然から「防災」に対する取り組みを始められ、今は必然として防災支援のスペシャリストとしてご活動されている山口和彦氏にお話を伺いました。リアリティあるアドバイスは、すぐに意識変化となってお役に立つことでしょう。

インタビュアー:チャイルドケア共育協会 松本美佳

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日本の防災事情と防災ビジネス


――― 山口さんは、なぜ今のような防災支援事業を始められたのですか?

山口氏(以下敬称略):今から5年くらい前、前職の出版会社の代表の時に、防災対策の商品を製造販売されている企業の社長様をご紹介いただきました。その出会いが「防災」について気に留める機会になりました。私自身は、被災した経験もないので、具体的に「防災」について意識したことがありませんでした。それでいろいろ調べてみると行政で行われていること、つまり税金を投じて行われていることはありましたが、いわゆる命を守る防災をビジネスにしている中小零細企業はまったくありませんでした。

また、防災商社と言われている企業が提案している防災対策商品には、根拠も裏付けもなく商品を売るだけの形になっていて、いわゆるその商品をどう使っていけばいいのかという取り組みはなされていないので、これでは本当に命を守ることができるのかという疑問をもちました。

また、いろいろな方に話を聞くと、防災については、公助をあてにしていて自分で自衛、自助をするという意識も低かったんですね。防災に対して意識が高く、自衛・自助しようと取り組まれて活動している方もいますが、ほとんどボランティアで活動されている状況にも疑問を持ちました。

これでは助かる命も助けられない、命を守り、つなぐという意識を広げていかなければいけないと思ったわけです。そのためにはきれいごとだけでは具現化できないので、防災をビジネス化して黒字化できるシステムを作れば、中小零細企業にビジネスとしても取り組んでもらうことができるし、取り組んだことで、防災意識も広がっていくと考えたわけです。それで日本地震対策推進協会を立ち上げました。

――― 一般家庭での「防災」というと、まず自治体で情報を得るとか、防災グッズを用意しておくことぐらいで、具体的にこれで防災に備えているといえるかというと私の場合は全く自信がありませんね。お話を聞いてインフラも含めて公助に多くをゆだねていることに気づきます。自分で何とかしなければならないとなると、モノや道具は揃えてもその次に何をするのか、正直なところ未知のことなので、具体的なところまでわかっていません。

山口:そうなんです。「防災をする」ということは日々の中で言われるようになりましたが、それでも自助となると、それぞれの家庭の防災意識や価値観でずいぶん変わります。備蓄だけをしていても、様々な知識や行動ができなければ命を守ることはできません。

そして、最近の新型コロナウイルス感染拡大によって、災害が起こっても避難所に行くことがためらわれる状況が出てきています。また寝たきりの方や医療措置が必要な方もいらっしゃいますから、皆が同じように避難できるわけではありません。それぞれの家庭や状況に合わせた防災の取り組みも必要です。

――― 防災をビジネス化するシステムというのは、具体的にどのようなことなんでしょうか?

山口:かなり簡単な説明になりますが、私が目を付けたのは町の電気屋さんです。電気屋さんで家電を購入したときに設置してもらうと思いますが、そのときに転倒防止対策のひと手間をしてもらうことができますよね。もちろんそれだけではありません。

電気屋さんはさまざまな資格を持っていて技術もあります。ここに目を付けて防災の知識とスキルを習得していただければ、防災対策推進の一歩になると思ったのです。それが「防災対策士」という資格認定です。講習と実習で知識とスキルを習得してもらい、町の防災コンビニ店として、家庭の防災チェックとサポートをしてもらおうと思いました。

自然災害は発生することは止められません。ですので「防災」は出来ません。だから「減災」になるように努力が必要です。そのためには知識とスキルを身につける必要があるのです。

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――― 町の電気屋さんって電球ひとつでも取り付けてくれる安心感がありますよね。特に高齢者の方には、心強い存在ですよね。電気屋さんが防災にも詳しいとわかれば、相談もしやすくなりますよね。

山口:地域店舗を利用して、顧客や地域住民を対象にした防災教室なども開いたりしますが、そのためのノウハウの提供や運営支援もしています。

――― 今や家電を購入するときは、割安感で大型家電量販店ということも増えていましたが、地域の電気屋さんで安心代も入った金額であれば、地域で購入される方も増えるでしょうね。希薄になった地域のつながりが、ここで活性されますね。

山口:そこも狙いです。防災には地域やご近所同士の支え合い、助け合いは絶対に必要です。都市化して便利になる一方で、地域やご近所とのつながりが希薄になっていますから、住んでいる町の電気屋さんを通して知り合いや顔見知りになることで防犯につながると思います。

住んでいる場所の土地の特徴や歴史を知ること


山口:自然災害は、必ず起こるので正直「防災」は出来ません。でも人の行動で「減災」は確実にできます。そして「防災対策」と言われても、一概に言えないんですよ。住んでいる環境や場所、建物の構造や住んでいる人の生活状況などで提案もアドバイスも変わりますから、一般的に言われている「防災対策」だけでは、本当の命を守り、つなぐ防災対策にはなっていませんからね。

私はいろいろな場所や地域で防災のコンサルティングもしていますが、一戸建てなのか、集合住宅なのかということだけではなく、その場所や地域、地理、その場所が昔どのようなところだったのか歴史もしっかり調べて提案します。現代において住んでいる人たちは、昔のことやその地域の特徴も知らないことが多いのです。

――― ハザードマップとかでしょうか

山口:そうです。ハザードマップは、一般的に自然災害による被害の軽減や、防災対策に使用する目的で被災想定区域や避難場所・避難経路などの防災関係施設の位置などを表示した地図のことです。国土交通省のハザードマップポータルサイトですぐに調べることができます。スマホでもチェックできます。自分の住んでいる場所がどのような危険性を持っているのかをあらかじめ知る必要があります。地名にもその土地の特徴が表れていることも多いですよね。

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――― 防災・減災でまずやっておくことは、ハザードマップなどで自分の住んでいる場所の地理や特徴を知っておくことですね。

山口:次にあげるとすれば、住んでいる建物のリスクを考えておくことです。集合住宅などでは、設備やインフラ状態がどうなるのかを予めしっかり知っておくことです。それぞれの建物で違いがあります。地震が起こったら、例えば、排水管が壊れて漏水を起こすことがあるので、トイレの水などの排水行為全般をしてはいけないとかよくあります。自分のところだけならいいだろうとか、一回くらい大丈夫という軽率な行為が大きな被害になることがあります。

そのほかにも消火栓はどこにあって、どのように使うのか、水や下水はどうなるのか、電気はどうなるのかとか、また共同のごみ集積所は使えなくなるところもありますので、災害が起こったときにゴミはどうするのか、と意外に忘れていたり、知らなかったということもあります。一戸建てと違って、集合住宅は何かあれば全体に被害が出ます。

だから共有した意識をもって取り組まないとならないので、最近は集合住宅で住んでいる人同士のコミュニケーションを図ることを目的にしたイベントなども多く行われています。単に防災教室をするのではなく、参加したくなるようなイベントを企画しています。体感してもらうことでより具体的な意識が高まりますからね。

これだけは用意しておこう、防災グッズ

――― 数々の防災グッズなどありますが、これだけはそろえておくといいものがありますか?

山口:これも各家庭の状況や防災対策への価値観の違いで、予算も異なるので、一概には言えないことです。だから個々の家庭、ひとりひとりに合わせた提案が必要ですね。だから個人的におすすめしたいものをご提案しますね。

食品の備蓄関係は、すでに自治体などで配布されているリストなどもあると思いますが、水は1日ひとり3ℓ必要と言われています。だから家族の人数分と給水車が来る日までを考え最低でも3日分は揃えておいてください。さらに浄水器があるといいと思います。

食品はローリングストック法で1週間分あるといいといわれています。防災用じゃなくても普段使っているレトルトとか缶詰などがいいです。備蓄用で用意するといざ使う時に賞味期限が切れていることも多いです。それとはちみつと梅干はおすすめです。はちみつは殺菌作用もあるし、腐りません。梅干しも疲労回復にもなるし、日持ちします。

それとカセットコンロ。1週間電気やガスが使えないことを想定して、ガスボンベも6~9本用意しておいた方がいいでしょう。蓄電バッテリーも余裕があれば用意されることです。

あとは情報を得るものとしては、最近はスマホが必須ですから充電が必要です。手回し充電できるワンセグテレビラジオがあると便利です。明かりは、3種用意があるといいですね。震度を感知して電気がつくものがあります。寝室のコンセントに一つつけておくと、停電になったときに使えます。後は懐中電灯とランタンがあるといいです。ランタンは最近では100円ショップにもありますから、それで十分対応できます。

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そして何より用意してほしいのが簡易トイレと防臭関連グッズ。水が止まり、トイレが流せないとなると、一番困るのはその始末です。成人は一日5回トイレをするとすれば、家族の人数と数日間分の汚物はどう処理すればいいのか、意外にイメージされませんね。とにかく悪臭はストレスになります。簡易トイレと同時に防臭のビニール袋を用意してください。

山口:いつ何が起こるかわからないからこそ、日常から習慣にしておけば負担にはならなくなりますね。イメージを持つことは本当に大切です。こんなときどうなるのかという想像が足りないことで被害にあいます。例えば、川の氾濫や、内水氾濫で水の中を避難する際に長靴をはいたりすることはNGですが以外に知られていません。水が入ったら重いですし動きづらいし、避難するときには、スニーカーなどの靴がいいと思います。

ちょっと考えてみればできること、わかることもあるのですが、ただでさえ災害時は慌ててしまうので、慌てないためにもいろいろイメージして、危険を回避するトレーニングが必要ですね。

また、指示されてはじめて行動していては、間に合わない場合もあります。家族や地域の方々と日頃から話せる習慣があるといいですよね。やはり防災は助け合いでチームワークですから、コミュニティー強化をすることが大切です。コロナ禍で人との距離を保たなくてはいけないとか、密室はNGだったりと、集団生活がより難しい状況になっているので、今は防災だけではなく、殺菌や消毒関連の企画生産販売も始めています。

様々な状況下の中で命を守り、命をつなげていくことを考えていくためには、一人一人の想像力と行動力、そして思いやりがあれば、減災していくことはできます。

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チャイルドケアでなぜ「防災」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、いのちのケアを考えた時に、災害を乗り越えていく力も生きる力につながると以前より考えていました。今日は貴重なお話をお聞きすることができました。そしてすぐに用意できることや試しておこうと思ったこともいくつもあります。しっかり備え、対処できるようにしていきたいと思いました。

皆さんのお住いの地域の自治体では、防災ガイドブックを作っていると思いますので、あらかじめ情報をもっておきましょう。地域によっては全世帯に配布されているわけではありませんので、チェックしてみてください。またお住いの地域によっては防災アプリなども作られています。事前に情報収集がとれるように準備しておきましょう。そして家族としっかり話し合い、家庭の中で避難訓練もされるといいですね。

今は防災キャンプといって、防災を考えながら、キャンプでサバイバル体験をすることも注目されています。咄嗟のときに慌てないためにも準備しておきましょう。

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