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娘が生まれた日

チャイルドケア・オンラインサロン<ChildcareHOUSE>から、チャイルドケア講座を監修されている松本安彦先生の新着記事をご紹介いたします(*´▽`*)☆

~チャイルドケア講座監修 松本安彦先生~
自然療法治療室 松本鍼灸接骨院院長(東京・大田区)柔道整復師/鍼灸師/あん摩マッサージ指圧師/介護支援専門員

▼今回は、こちらの記事の続きです☆


その日、妻が病院に行くということは知っていたものの、まさか入院する事態になるとは思ってもみませんでした。当日の朝は、いつもと変わらずに妻は元気でした。まだ妊娠30週ということで、ようやくおなかも少し大きくなり始めたくらいで、「出産」に至るということには結びつかなかったからです。

職場から病院に駆け付けた時は、通常の入院部屋ではなく、分娩室の横の一室にベッドが一台用意され、点滴につながれた妻がいました。その時の医師の説明で、出産につながる状況が起こっているので、何とかここで少し落ち着かせていきたいが、早産になる覚悟はしてほしいといわれました。

そうは言われても、何せ30年前ですから、今のようにスマホで連絡を取ったり、症状を検索して詳細を調べることもできなかったため、状況がなかなかのみこめないまま、とりあえず家に帰りました。日付も変わりウトウトとしていた時に電話が鳴り、すぐに飛び起きました。

病院からの電話だということは察しました。不安で電話をとると、「赤ちゃんが生まれましたよ」と言われ、夢の中なのか現実なのかよくわからぬままその言葉を聞いているうちに、ジワジワと込みあがるものを感じました。

その時の気持ちをどう的確に言葉で表せばよいのかわかりませんが、不安や怖さというものではなく、何か大きなものがからだに入ったというか、おなかの底の方が熱くなるような不思議な感覚を受け取りました。今にして思えばそれは、責任という重さを実感したのかもしれません。「すぐに病院に向かいます」と伝え、仕度をしているときに焦る気持ちと、妙に冷静になっていく自分がいました。

そして、仕度をしながらいちばん最初に思ったことは「タバコを止めよう」ということ。なぜ急にそこで思い立ったのかよくわかりませんが、自分にできることは何かと思った時にそんなことしか思いつかなかったからかもしれません。

仕度が終わり、そのあとにゆっくりと最後の一本を吸ってから夜中の病院へ、それ以来タバコは一度も吸っていません。それからもう一つ「祈ること」。「妻と赤ちゃんが無事でありますように」としばらくの間、祈りました。

僕は特定の宗教を信仰してはいませんが、神や仏、ご先祖様に祈ることは幼少の頃からしていました。「祈ること」は、気持ちの整理であり、自分の意志を強くすることであり、他者を愛することだと思います。

夜中に病院を訪れ案内されたのはNICU(新生児集中治療室)でした。娘は生まれてすぐにNICUの保育器に入れられ、処置が施されていました。小さなからだにいくつもの細い管や点滴が繋がれ、心電計のモニターには頑張っている心拍数や酸素飽和度などが表示されていました。

それが娘と初対面したときのことです。昨日まで妻のおなかにいた赤ちゃんがこの子なんだと、驚きと同時に、目の前にいる小さな赤ちゃんの健気な様子を何とも言えない気持ちでみていました。目の前にいる我が子をすぐに抱くことはできず、僕に許されたのは保育器に手を入れ、わずかに触れることだけでした。

僕の人差し指を乗せることもためらうほどのか弱い小さなからだでしたが、人差し指で触れた時に、それまで感じたことのない愛しい気持ちがあふれ、やっと子どもの誕生を実感することができ、ジワジワと感動したことを今でもよく覚えています。そして、「生まれてきてくれてありがとう」「何としてもパパが君を守ってあげるからね」と娘に伝えたことを記憶しています。その思いは、「愛情」というものではあると思いますが、それは妻に対する想いとはまた違う、これまで感じたことのない別の感情が生まれたような瞬間でした。

父親は自分が生むわけではないので、なかなか親になった実感はわかないものだと聞きます。子を産んだお母さんはおっぱいをあげることができるので、肉体的にも母親としてつながりを感じることが多いですが、父親にはそういうものはありません。

ただ、僕の場合には父親としての実感というよりは、娘と最初に対面したときに、守らなければいけないという責任を強くもったことです。父親とはどういうものかというのは、具体的に考えたこともなかったので、ここから先は「父親」という線引きは難しいものです。でも守るべき存在ができたことで、僕の中の何かが変わっていくような気がしました。

そして、僕なりの父親としての子育てがスタートしました。おそらく長女のこの体験がなければ、僕が積極的に子育てに参加していたかどうかと思うことがあります。わずか1200gという小さな赤ちゃんが健気に精一杯生きようとしている姿に、突き動かされたものは大きいと思います。

長女の誕生は、僕の人生にとって意味があり、そして夫婦としての人生にも大きな影響を与えるものだったと言えます。子育てという括りだけではないものを得てきたと思います。とはいえ・・・日々日常となればいろいろなトラブル、ハプニングはつきものです。そんなお話も次はお話させていただきます。


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