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私達の支援がこどもを「生き辛く」しているかもしれないことについて。



「こどもが泣いて嫌がっても、この練習は続けたほうがいいのでしょうか?」
という質問をよくもらう。


遅れをとっているこどもに成長してもらいたいという思いと、
我が子が目の前で泣いているのにも関わらず負荷を与えて良いのかという
母の葛藤の元、このような疑問が生まれてくるのだろう。


先日、興味深い本をおすすめしていただいた。
「人間脳を育てる 動きの発達&原始反射の成長」という、
発達支援コーチが書かれている割とサラッとした本だ。
発達神経症(発達障害)などを抱えつつ日常生活を送っているこどもたちは、本当にたくさんの試練と日々戦っている、ということを対談形式でとてもわかりやすく書かれている。



本書のスーパー序盤を読み、

「おそらく”ここ"ができていない支援や教育がこの世には多いので、こどもが生き辛くなるのではないのだろうか」


ということをふと思いついた。ので書く。よし!



人間の生命の誕生というものは、母親の体内で受精卵として命を宿し、そこから数多の細胞分裂を経て体の各部分が形成されていき大きくなり、時が来たら出産となり見事この世にオギャーと生まれてくる。

この細胞分裂の時期に、
ハイ、次は腕ね!次はお腹ね!次は目ね!次は心臓ね!
と順番に作られるのではなく、いろんな臓器が同時進行で作られていく。
そのなかで心臓は心臓の順番に沿って、脳は脳の順番に沿って作られていく流れになる。


かめスク7月のテーマ 「 低・極低出生体重児の 発達について」 【令和3年7月開催】より抜粋



人間は体の働きのどれが欠けても人間らしく生きていくことができない。

心臓が全身に血液を送ってくれたり、
口や喉の筋肉が食べ物を噛み潰したり、飲み込んだりして、胃腸が消化してその後エネルギーとなり、元気に日常生活を送ることができる。

この生命維持や人間らしい活動をスムーズに行えるのは、
脳から正しい司令が出て、その司令どおりに体の各臓器が分担して働いてくれるためだ。


そう、脳。


ではその脳はどのように作られて、どのように発達していくのだろうか?

本書では、脳は内側から外側に作られ、発達していき
右脳から左脳に発達していくと書かれている。

そう、脳の発生の順序は
・脳幹(生命中枢) 【内側】

・大脳辺縁系(動物的本能) 【中間】

・大脳新皮質(人間的思考・行動) 【外側】

この順序で発生していき、この順序で発達していく。

なので発達の土台としては

呼吸・睡眠・嚥下など生きるのに必要な要素が安定して行えて→脳幹
不快な思いや危険な思いを避けた段階で→大脳辺縁系
思考、運動、五感が発達していく。→大脳新皮質


ということなのでは無いかと思う。

ここの発達の順序を飛ばしてこどもの発達を提供すると、凸凹に発達が進んでいってしまう。

なのでやはり脊椎・脳幹の原始的な反射が整ったり、生命中枢の働きが担保された段階で快・不快を司る辺縁系が育ち社会性や「人間らしさ」を司る新皮質と育っていく、という順序を踏みたいのだが、

どうしても先に新皮質からアプローチしてしまう、支援者あるある😅


呼吸が苦しかったり、不快な思いをしていたらぜっっったいに新皮質は育たない。と思う。だからまずはここを取り除くことから始めないといけない。
なのだが、みんなこの脳幹や辺縁系をすっとばして
やれ感覚入力、やれ運動発達、やれ経験を積ませる。をする。してしまうのだ。だってそっちほうが「セラピーやった感」があるもん🥺



はい、自戒。(定期)




なので上記の「こどもが泣いて嫌がっても、この練習は続けたほうがいいのでしょうか?」の質問に関しては、

発達の順序の説明をした後、「ギャーッと辺縁系で泣いてたら止めます。"テメェチクショー"的に新皮質で泣いてたら(理由のあるぐずり)ちょっと様子をみましょう。」というような言い方をします。



で、表題にもどるわけだが
この実は大脳辺縁系の「嫌だ、気持ちが悪い、」とか「好き、心地よい」をすっ飛ばして新皮質レベルのアプローチを受けたこどもたちが
大きくなった時環境に順応しようとしたときにここで躓くのでは無いかと思う。
不快も必ず理由がある。ここを紐解いて、こどもの中で落とし込めるようになったら新皮質のアプローチでいいんじゃないかな、とも思う。
もちろん同時進行もあると思うのでそこは評価が必要。


ちょいと真面目なお話でした。ちゃんちゃん



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Posted by こどもリハビリかめきち on Sunday, October 23, 2022



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